ゲームのリアリティ向上に伴う表現や反応の変化、ソニーにも任天堂にも

年々クオリティが高まっているテレビゲームですが、リアリティが増すほどに表現方法や、ユーザーの反応に変化が生まれている事が話題になっています。

生々しさを感じる程の『暴力性』

フランスで開催されたPS4のゲームイベント『Paris Games Week 2017』にて公開された、ノーティドッグが開発する『The Last of Us Part II』のトレーラーが物議をかもしているとATOMATONが伝えています

※暴力表現があるので視聴にはご注意ください

 

このトレーラーでは豪雨の降り注ぐ中、冒頭から1人の女性が腕を縛られたまま引き摺られていきます。

女性は妊娠中である事を示唆するセリフの後に、腹を切り裂かれそうになったり、ロープで首を吊られ苦しむ姿が映し出されます。

その後も、同じく囚われの身となっていた女性の腕がハンマーで砕かれたり、男性が弓矢で撃ち抜かれたり、敵のリーダー格であった女性もハンマーで頭を殴られ息を引き取るという、暴力的な要素が数多く含まれています。

このような暴力表現が含まれるトレーラーなどは今では珍しくありませんが、海外メディア『Polygon』は『意味のない暴力を売りにしている』と問題視しているようです。

Polygonも暴力表現自体を批判している訳でなく、前作『The Last of Us』のゲームやトレーラーにも暴力的なシーンは含まれていますが、それには物語で必要な要素として適切に扱っていると、肯定的な意見を出していました。

それに対して今回の『The Last of Us Part II』のトレーラーでは、女性に対する暴力に物語の意味を見い出せず、暴力そのものをプロモーションに利用している事を批判しています。

しかし、2016年に公開された本作のアナウンストレーラーでは『あいつらを見つけて、殺してやるんだ。必ず、最後の一人まで』というセリフがあり、クリエイティブ・ディレクターの『憎しみの物語』という発言と一緒に考えると、まったくトレーラーに物語が見い出せないという訳ではありません。

また、なぜ妊娠中の女性がターゲットになり吊るされたのか等も、細かくトレーラーを見る事で憶測を生むことができ、メッセージ性を含んだものになっている事が分かります。

ただし、それはあくまで作り手が意図した内容であり、受け手はそこまで細かくトレーラーをチェックしない人も多く、女性に意味のない暴力が振るわれているように見えかねないという意見も間違っていません。

パブリッシャーとなっているソニー・インタラクティブエンタテインメントヨーロッパ(SIEE)も、今回の反応に対してコメントを出しています。

 

Jim Ryan氏「『The Last of Us』は言うまでもなく、大人によってつくられた、大人のためのゲームです。まだ判断するには早すぎるのですが、おそらく本作のレーティングは18歳以上対象になるでしょう。そして、そうしたゲームを好む人たちのための、そうしたゲームを好む大人のためのマーケットが存在します。私たちはその需要に応えようとしているのです」

 

Jim Ryan氏「私たちがショーケースで成し遂げようとしているのは、各タイトルの特徴を描き出すことです。ですが4分か5分の映像のなかで、数10時間におよぶゲームプレイ体験すべてを凝縮してお見せするというのは難しいことだと思います。また、繰り返しとなりますが、我々のスタジオが描こうとしたのは、大人向けの作品としてレーティングされることが想定されたゲームなのです」

 

本作はまず、リアリティを求める大人の為の作品であり、そのようなゲームを求める需要に応える為、『暴力的な表現』にも妥協せず力を入れている一面があります。

また『AUTOMATON』では、こういった批判的な意見も恐れず、ノーティドッグが作りたい物語や世界観、人物を突き詰めている意思表示にも取れると指摘しており、これも開発陣の譲れないこだわりなのかもしれません。

しかし、このトレーラーが公開されたのは多くのユーザーが見ていた大きなイベントで、いきなりスクリーンに映される無慈悲で暴力的なシーンは、嫌悪感を覚える人がいるのも仕方ありません。

また、昔であればグラフィックがここまで精密ではありませんでしたが、ゲームエンジンの進化によってリアリティが向上し、まるで本物の人間が暴力を受けているような生々しさが増した事も、無関係ではなさそうです。

マリオオデッセイに子供がいない理由も話題に

ゲームのリアリティ向上に伴う変化は、ソニーだけでなく任天堂にも見られるようです。

2017年10月27日に発売された『スーパーマリオ オデッセイ』には、これまでのマリオシリーズとは違い、等身の高いリアル指向な人物が登場します。

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都市の国『ニュー・ドンクシティ』では多くの人々が生活をしていますが、そこに住む人物は大人ばかりで、子供が一人もいません。

この違和感に関してTwitterでは『怪談話』として扱われていますが、これもゲームのリアリティと関わりがあるかもしれません。

本作はマリオが自由に動き回り、数多くのオブジェクトに干渉する事が出来ます。

『ニュー・ドンクシティ』に住む人々に対しても同様であり、例えばジャンプで頭を踏みつけ更なるジャンプが可能になります。

この表現はゲーム内では比較的コミカルに描かれていますが、人物の等身がリアルに表現されている以上、子供を踏めるようにすれば過剰な暴力表現と取られる可能性も出てきます。

他のオープンワールドゲームに関しても子供の扱いは難しく、例えば『グランド・セフト・オート』では直接的には子供は登場せず、『フォールアウト』などでも子供や動物には『不死属性』が付いており、暴力的な表現が緩和されています。

このように『リアルな都市』としてニュー・ドンクシティは登場しましたが、リアルにした結果として子供を登場させる事が出来ず、違和感のある都市としてTwitterで取り上げられているようです。

他にも『スーパーマリオ オデッセイ』は、シリーズ初のCERO B(12歳以上対象)になりました。

この理由に関しては任天堂も把握していませんが、小泉氏は『軍事車両である戦車がリアルになったからかも』と答えており、ここでもリアリティの向上に伴う変化が生まれているようです。

今ではゲームエンジンやプラットフォームの進化に伴って、どのような表現でも自由に出来るようになりましたが、その表現がユーザーにどのように受け取られるかの考慮も大切になりそうです。

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