こんにちは、こんばんは、『みう太』と書いて『みうた』と申します!(Xアカウント)
1983年7月に発売された『ファミリーコンピューター』は、現在40周年を記念したイベントがいくつも企画されていますが、2024年7月18日には『ニンテンドーワールドチャンピオンシップス ファミコン世界大会』の発売も予定されています。
13ものタイトルから150を超えるお題が用意されているらしく、中には『スーパーマリオブラザーズ』の最速クリアを目指すような、上級者向けのミッションまで用意されているようです。
※この記事は2021年1月27日に投稿した記事を再構築したものです。
スーパーマリオブラザーズに語り継がれる『-1面』『256W』
そんなファミコンを代表するタイトル『スーパーマリオブラザーズ』ですが、それほど高い完成度のゲームでありながら、とあるバグを利用して隠されたステージに行く裏技が存在していて、『-1面』『256W』『アンダーカバー』など様々な名前で呼ばれていました。
バグ技はファミコンのソフトや本体に悪影響を与える可能性があるため、推奨される行為ではないにも関わらず、『隠しステージ』という大きな話題性から、ゲーム雑誌などのメディアに取り上げられることも少なくなかったようです。
近年の『ニンテンドークラシックミニ版』や『Nintendo Switch Online版』では再現不可能だった中、2020年11月13日発売の『ゲーム&ウォッチ スーパーマリオブラザーズ』にはこのバグが残されていて、それだけでコアなファンから注目を集めていました。
タイムを競う『ニンテンドーワールドチャンピオンシップス』ではさすがに使えないバグ技だと思いますが、当時なぜそれほどの話題性があったのか、今回は改めて調べてみようと思います!
【2024年7月18日追記】
『ファミコン世界大会』にて『-1面』を試そうとすると、ゲームから禁止プレイと警告されるようです。
予期しない『ノイズ』から生まれた256の裏ステージ
『256W』や『-1面』と呼ばれるステージはバグから生まれたものなので、普通にプレイしているだけではその原因を突き止めることはできず、当時子供たちの間では『幻のワールド9がある』という噂だけがまことしやかに囁かれていました。
その噂を広めたのがゲーム関係の情報誌で、今となっては考えられませんが、当時のゲーム誌は『バグ技』を『ウル技』と呼んで特集したり、読者からの投稿を編集部が検証したり、バグも1つのコンテンツとして子供たちの人気を集めていました。
もちろん『スーパーマリオブラザーズ』のバグ技も様々なメディアで取り上げられ、未知のステージに挑める『ワールド9』はかなり大きな話題性を持っていたようです。
検証の結果、スーパーマリオブラザーズは正規の8ワールドを含め、全部で256通りものステージが内部的には存在することから、本来行けないハズのステージを『256W』や『アンダーカバー』と呼ぶようになりました。
256Wを再現するにはただゲームをプレイするだけではなく、何度もファミコンのカセットを抜き差ししたり、本来想定されていない動作を行う必要があるのですが、それにより『ファミコンが壊れた』という問い合わせも少なくなかったといわれています。
特に有名なのがファミコンソフト『テニス』を使った方法で、起動中のスーパーマリオブラザーズのカセットを電源を切らずにそのまま抜き、そこにテニスのカセットを差し込んだら少しプレイ、再びスーパーマリオブラザーズに差し直すことで、通常とは違った256Wのステージを遊べるようになります。
256Wはドカンやキラー大砲が空中に浮いていたり、敵の配置がランダムだったりと通常ではあり得ないステージが表示され、ゲームの途中でフリーズすることも珍しくありません。
開発者の宮本茂さんはインタビューにて、原因はファミコンに発生する『ノイズ』だと明かしており、同時に正常な動作ではないため、ファミコンを壊してしまう可能性もあると警告しています。
ファミコンの周辺機器である『ファミリーベーシック』を利用すれば、プログラムを入力して好きなワールドを呼び出すことも可能ですが、電源を切らずカセットの抜き差しを行うため、こちらも決して推奨できるバグ技ではないようです。
唯一安全に冒険できる無限ループの『-1面』
ファミコン本体やカセットの故障の原因となる『256W』ですが、ソフトの抜き差しなどをせず、ゲーム内だけの裏技で行ける特殊なステージが『-1面』です。
これはプログラム的には『ワールド36のエリア1』が指定されているのですが、画面上では『36-1』の『36』が空白スペースに置き換えられ、表示されないため、ユーザーからは『-1面』や『マイナス面』と呼ばれています。
そしてこの隠されたステージはファミコン実機だけでなく、2020年に発売されたゲーム&ウォッチ版や、現在配信されているNintendo Switch Online版でも再現することが可能なようです。
方法はワールド1-2の地下ステージ終盤、地上へ続くドカンの上のブロックを右端だけ残して壊し、残ったブロックの横から体当たりを繰り返すと、いつしかマリオが壁にめり込んでいき、そのままワープゾーンの『WELCOME TO WARP ZONE!』が表示される前に、左のドカンに入れれば成功です。
-1面の中身は7-2とまったく同じ構成で、一見すると普通の水中ステージに見えますが…、最後のドカンに入るとスタート地点に戻されてしまう無限ループになっていて、実質的なクリアは不可能とされています。
そのため敵にぶつかってミスをするか、タイムオーバーになるまでステージを遊び続けるしかなく、特別な地形や敵キャラクターも存在しないので、256Wのようなバグを期待していた人からすれば、少し面白みに欠けるかもしれません。
ただ、『スーパーマリオブラザーズ』にはディスクシステム版も発売されていて、こちらもゲームの基本的な内容は通常版と同じなのですが、なんと-1面のステージ構成だけはファミコン版と異なっています。
ディスクシステム版の-1面はループではなく、1-3と同じ構成の水中ステージから始まり、クリアすると吊り橋ステージの-2面、さらにクリアすると地下ステージの-3面に続いていて、-3面をクリアするとタイトル画面に戻され、ステージセレクトができるようになります。
ちなみにアーケードで稼働していた『VSスーパーマリオブラザーズ』などの派生作品にも、内部データとして-1面は存在するものの、バグの原因であるブロックが削除されていたり、アクセスできないよう対策が施されているようです。
バグをオマージュして作られた続編への追加要素
本来はただのバグでしかない『256W』や『-1面』ですが、後の作品ではこれらのステージをオマージュしたステージや要素が存在しています。
例えば1986年に発売された『スーパーマリオブラザーズ2』では、本来水中にいるはずのゲッソーが地上ステージの8-1に出現し、前作のバグステージから逆輸入される形で空中ゲッソーが登場しました。
空中ゲッソーの登場するゲーム自体は多くありませんが、ここ数年では『スーパーマリオメーカー』や『スーパーマリオ35』でも見かけることがあり、予期しないバグから生まれたキャラクターが様々な場面で活躍しているのは、少し不思議な状況かもしれません。
また、スーパーマリオブラザーズ2ではワープゾーンを使わずに最後までクリアすると、『256W』を意識した隠しステージ『ワールド9』に挑戦できて、このワールド9では海に水没した地上ステージや、ゴールフラッグ前にクッパのいるステージなど、まるでバグったかのような雰囲気のワールドを楽しめます。
スーパーマリオブラザーズ2の難易度はシリーズの中でも高く、一筋縄ではいかないとはいえ、ワープゾーンの使用が禁止されているだけであり、ミスやコンテニューに制限はかけられていないので、根気と練習次第で誰でもワールド9に挑戦することは可能です。
ただし、ワールド9は4つのステージをループする作りになっていますが、8-4をクリアした時点で残り人数がすべてスコアに変換されてしまうため持ち越せず、残機1の状態で挑むことになる点には注意が必要です。
推奨はできないけど子供のロマンだったバグステージ
というわけで今回は『ニンテンドーワールドチャンピオンシップス』にも収録される『スーパーマリオブラザーズ』について、有名なバグ技である『256W』や『-1面』を調べてみました。
私もファミコン世代ではないので、なんとなく存在するという噂しか知らなかったのですが、-1面に限っては現代でも再現可能なので、機会があればちょっと遊んでみたいな…と思う今日この頃です。
ファミコンのノイズが原因の256Wは、さすがにリスクが高くオススメできる行為ではありませんが、マリオに限らずレトロゲームのバグ技は一種のロマンのようなもので、当時マネしたいと考えた方は多かったのではないかと思います。
今では自由にステージを作って遊べる『スーパーマリオメーカー』が高い人気を誇っていますが、中には当時のバグステージを意識してコース作りをしている方もいるのかもしれません。
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