マリオの本名が「マリオ・マリオ」という噂はどこから生まれたのか調べてみた

キャラクターの話
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こんにちは、こんばんは、『みう太』と書いて『みうた』と申します!(Xアカウント

今の任天堂を代表するキャラクターといえば、もちろん『スーパーマリオ』シリーズの主人公である『マリオ』で、その知名度は2011年に「ゲーム史上、世界で最も知られているゲームキャラクター」としてギネスに掲載されているほどです。

Mと書かれた赤い帽子、丸みのある鼻に豊かなヒゲ、青いオーバーオールなど特徴的な見た目をしていて、アクションのみならずスポーツやレース、パズル、タクティカルシミュレーションなどなど、様々なジャンルのゲームで活躍しています。

そんな世界に名を馳せるマリオですが、細かなプロフィールについてはまだまだ謎に包まれている部分も多く、特に本名については一時期「マリオ・マリオ」という噂が広まっていたこともあるようです。

ゲーム内では意外と語られないマリオファミリーの設定

マリオは1981年に稼働開始したアーケード版『ドンキーコング』が初登場作品になりますが、マリオというキャラクターの知名度を確かなものにしたゲームといえば、1985年にファミコンで発売された『スーパーマリオブラザーズ』に他なりません。

敵に触れるとミスになるのがアクションゲームの常識だった当時、踏みつけて攻撃できるシステムは画期的で、シンプルかつ奥深いゲーム性から全世界で4000万本以上を売り上げ、後のゲーム開発にも多大な影響を与えました。

しかし容量の都合もあって、ゲーム内でキャラクターの性格や設定が語られるシーンはほとんどなく、説明書のわずかな情報から読み取って想像を膨らませるのが、当時のユーザーからすれば当たり前のことでもありました。

そのため、長きに渡ってマリオは「マリオ」としてしか扱われていなかったのですが、1993年に公開されたハリウッドの実写映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』ではフルネームを「マリオ・マリオ」と名乗っていて、そこから「本名はマリオ・マリオ」という噂にもつながっているようです。

しかし2025年現在、ゲームにおけるマリオの名前はあくまで「マリオ」と明言されているので、なぜこのように呼び方が分かれてしまったのかを今回は調べてみようと思います!

時が経って再評価された?ハリウッド版のスーパーマリオ

まず1993年に制作された『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』について簡単に説明すると、本作はニューヨークのブルックリンを舞台に、配管業を営むマリオとルイージが、さらわれたダニエラ(ポリーン)とデイジーを救出すべく奮闘する物語になっています。

製作費は4,800万ドル、当時の日本円に換算すると約53億円もの製作費がつぎ込まれ、キャッチコピーでも「マリオが、ハリウッドを本気にさせちゃった。」とそのスケールの大きさをアピールしていましたが、ビデオゲームを題材にした長編実写映画は当時前例がなく、残念ながら日米ともにヒットには至りませんでした。

この結果を受けて、任天堂の宮本茂さんは「作家性の持った違う解釈ができる作品は面白いです」と後のインタビューでコメントしてはいるものの、自社の作品を映画化することに関しては慎重になり、2023年に『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が公開されるまで、実に30年もの月日を要したのは記憶に新しいところです。

キノコ王国ではなくニューヨークが舞台であるように、ゲームの『スーパーマリオブラザーズ』とは設定の異なる部分は多く、グンバ(日本語でいうクリボー)がキノコではなく退化した恐竜人だったり、クッパが地下世界に広がる帝国『ダイノハッタン』の大統領だったり、あまりなじみのない設定も少なくありません。

マリオとルイージの関係性も実写映画化に伴って変更されていて、まず本作の2人は血のつながった双子ではなく、孤児院に預けられていたルイージをマリオが引き取った、という過去になっています。

名前もアメリカの一般的なフルネーム「姓(ファミリーネーム)+名(ファーストネーム)」を意識してか、マリオは『マリオ・マリオ』、ルイージは『ルイージ・マリオ』と名付けられており、イタリア系の名前を持つマリオ兄弟をアメリカ風にアレンジしたのではないかと思われます。

これはあくまで、実写の世界にマリオたちを落とし込んだからこそのネーミングであり、ゲームの設定とは別物として考える必要があります。しかし「マリオ・マリオ」という名前の響きはインパクトも強く、一部のファンの間でコアなトリビアとして密かに広まっていたのかもしれません。

ちなみに30年以上前の作品である『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』ですが、2023年9月には4Kレストア版が新宿ピカデリーなどの劇場で公開され、その後WOWOWによりテレビでも衛星放送がされました。

2023年に『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が公開されると、この『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』のブルーレイも猛烈な売り上げを記録し、「ゲームのマリオとは違うけど、これはこれ」として再評価の流れが来ているようです。

一度は宮本さんが認め、のちに訂正された『マリオ・マリオ』

ハリウッド版スーパーマリオで名付けられたマリオの本名『マリオ・マリオ』ですが、インターネットの発達していない当時からこの噂が広まっていたわけではなく、一般的に知られるようになったのはもう少し後の話です。

具体的にいえば2015年9月、スーパーマリオブラザーズ生誕30周年を祝うイベント『スーパーマリオ30祭』にて宮本茂さんが登壇すると、「マリオの本当の名前はマリオ・マリオなんです」と発言し、これがSNSを始めとしたネットでも話題になりました。

当時の記事はこちら

その直後メディアサイトが任天堂に問い合わせると、広報室から改めて「宮本にも確認したところ、やはり『マリオ』が正式名称で、マリオ・マリオではありません」と訂正がなされましたが、一度広まった「マリオ・マリオが本名」という噂はなかなか収まらず、未だに間違った情報のまま記憶しているファンも見られるようです。

似たような例として、マリオのパートナーとして高い人気を誇るヨッシーも、『Tヨシザウルス・ムンチャックパス』が本名とたびたび噂されていますが、こちらも任天堂から公式に発表された情報ではなく、ヨッシーは「ヨッシー」が正しい名前で間違いありません。

この情報の発端は、X(当時のTwitter)で公開されたニンテンドー・オブ・アメリカの内部資料で、そこに「T. Yoshisaur Munchakoopas」と表記されていたことから、これが話題性のあるトリビアとして独り歩きし、「ヨッシーの本名」という形で広まったようです。

公開されたキャラクターガイドは一般向けに販売されておらず、ゲーム内でヨッシーがヨシザウルスと呼ばれたこともないので、この設定が現在も生きているとは考えにくく、公式情報と扱うのは難しいのではないかと思います。

ちなみに、任天堂のキャラクター名は実在する人物から取られていることも多く、例えば「マリオ」はニンテンドー・オブ・アメリカが拠点として借りていた倉庫の大家、「マリオ・セガール」と偶然にも特徴が一致していたことから、ゲームのキャラクターも「マリオ」と呼ぶようになったそうです。

ルイージも「マリオにそっくり(類似)だからルイージ」といわれることがありますが、これは正しい経緯ではなく、イタリア人に多く語呂の良い名前を模索した結果、偶然にもルイージになったことが明かされています。

最初期の『スーパーマリオ』キャラクターは、「のこのこ歩くからノコノコ」「イカのゲソから取ってゲッソー」など、かなり分かりやすいネーミングがされていたので、むしろ劇場版限りとはいえ、「マリオ・マリオ」のようなフルネームを与えられる方が異例なのかもしれません。

これからも変わらず任天堂の『マリオ』

というわけで今回は『マリオの本名はマリオ・マリオ』という噂を基に、その経緯を簡単に説明してみましたが、この名前はあくまでハリウッド版映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』に限った話で、ゲームにおいては「マリオ」が正式名称で間違いないようです。

2025年には『スーパーマリオブラザーズ』が発売されて40周年、これまでもこれからも任天堂の「マリオ」であることは変わりなく、不変のシンボルとして活躍し続けるのではないかと思います。

しかし近年になって改めて注目されている『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』ですが、実は私は小学生の頃、この映画のビデオテープを中古ショップで300円で見つけ、何度も見返していたのを思い出します。

このビデオは友人に貸したまま返ってきておらず、今思えばなかなかの掘り出し物だったな…と惜しい気持ちもありつつ、確かにアクション映画として見れば普通に面白かったので、興味のある方は一度調べてみると良いかもしれません。

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