こんにちは、こんばんは、『みう太』と書いて『みうた』と申します!(Xアカウント)
『スーパーマリオブラザーズ』シリーズの主役といえば、双子の兄弟である『マリオ』と『ルイージ』に他なりませんが、彼らの職業は実は冒険者ではなく、任天堂公式サイト『マリオポータル』によれば「配管工」と明記されています。
配管工とは給水管や排水管、ガス管などのライフラインに関わる設備を担当する仕事で、管材を切断したり接合したり、専門的な知識や技術も必要になる、まさに「職人の世界」といえる職業です。
スーパーマリオシリーズにたびたびドカンが登場するのも、マリオたちが配管工である設定の名残といえるのですが、一方で直接的に配管作業をするシーンは未だほとんどなく、どのように生計を立てているのかは気になるところです。
実は公式でも設定が揺れていた「配管工」の仕事
今や任天堂の顔となったマリオの初登場作品は、1981年にアーケードで稼働開始した『ドンキーコング』なのですが、当時はまだキャラクターに正式な名前が付けられておらず、「ジャンプマン」や「ミスター・ビデオゲーム」といった通称で呼ばれていました。
「マリオ」と初めて名前が与えられたのは1982年発売の『ドンキーコングJR.』で、翌年の『マリオブラザーズ』ではルイージも初登場、このときから「職業は配管工」という設定もすでに決められていたようです。
1985年に発売された『スーパーマリオブラザーズ』が世界的に大ヒットすると、マリオは任天堂のアクションを代表するキャラクターとして一躍有名になりましたが、一方で配管工としての描写はほぼなくなり、いわば「死に設定」とすらいえたかもしれません。

実際、2017年のマリオポータルでは「実は昔、配管工のお仕事もしていたこともあるらしい」と書かれていて、実質的に配管工はすでに廃業したかのような紹介がされていました。
翌年には改めて「職業は配管工」と書き直され、この一文が現在も残っているのを考えると、任天堂としてもマリオの職業を配管工として扱うかどうか、ちゃんと定まっていなかった時期があったようです。
というわけで今回は、そんなマリオが配管工として活躍していたゲームがどのくらいあるのか、過去のゲームを振り返りながらまとめてみようと思います!
パイプから飛び出てくる敵を撃退した『マリオブラザーズ』

マリオとルイージに配管工という設定が与えられたのは、1983年発売の『マリオブラザーズ』からで、本作は画面の左右に配置された太い管から飛び出てくる「カメさん」「カニさん」「ファイターフライ」といった敵キャラクターを、地形を利用してひっくり返しながら撃退するゲームです。
この左右の管は、今見るとマリオシリーズでおなじみのドカンに見えますが、取扱説明書には「パイプ」と紹介されていて、マリオの「配管工」という設定を意識した言葉選びになっているようです。
当時のゲームは、限られた残機の中でできるだけハイスコアを目指すのが主流で、ストーリーやキャラクターの設定がゲーム内で語られることはほとんどなく、本作においても説明書にすら物語の詳細は書かれていませんでした。

しかしマリオとルイージが配管工であるならば、およそ「パイプから謎の生き物があふれ出てくるようになってしまい、それを解決するべく活動している」のであろうことは読み取れますし、少ない情報からシチュエーションを想像するのも、当時の楽しみ方のひとつだったのではないかと思います。
とはいえ問題のあるパイプをどうにかするのではなく、そこから出てくるモンスターを撃退しようと働いている時点で、すでに「配管工」より「冒険者」の素質の方が強かったのかもしれません。
また、マリオといえばピーチ姫の統治する『キノコ王国』を中心とした物語が多い印象ですが、この頃はまだキノコ王国そのものが登場しておらず、『マリオブラザーズ』の舞台は土管のたくさん存在するニューヨークの地下、恐らくブルックリンだろう、というところまで何となく決められていたそうです。

1993年に公開されたハリウッド版の実写映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』では、配管工を営むマリオとルイージがニューヨークのブルックリンを舞台に活躍していましたが、この『マリオブラザーズ』の構想を反映した結果といえます。
もともとマリオはイタリア系の移民でブルックリンに住み、ブルーカラー(肉体労働者)というイメージでデザインされたそうなので、1981年の『ドンキーコング』では大工として、1984年の『レッキングクルー』ではビルの解体屋としてなど、様々な仕事を渡り歩いていたのも頷けます。
最近は『スーパーマリオメーカー』などでヘルメットをかぶり、ハンマーなどの工具を身に付けた「ビルダーマリオ」の姿もたびたび見られますが、かつての労働者としてのイメージが根本にあるからこそ、現代でもそのコスチュームに違和感をあまり感じないのかもしれません。
なぜかドカンと深いつながりのある『スーパーマリオブラザーズ』

1985年に『スーパーマリオブラザーズ』が発売されると、本作はその完成度の高さから全世界で4,000万本以上を売り上げ、後世の横スクロールアクションゲームにも多大な影響を与えました。
本作は舞台をニューヨークから架空の国『キノコ王国』に移し、ご存じの通りクッパにさらわれたピーチ姫を救い出すのが目的とされていますが、特にマリオの「配管工」という設定はゲーム内においてほとんど表現されていません。
しかし、当時ディレクターだった宮本茂さんのインタビューによると、『マリオブラザーズ』で地下の配管工事をしていたところ、キノコ王国に通じるドカンを見つけ、王国で事情を知ったマリオとルイージがクッパ城を目指し冒険する、という裏設定があったそうです。

いわれてみれば、スーパーマリオブラザーズではドカンを通じて様々なワールドへワープが可能なので、そのドカンの中にキノコ王国とニューヨークをつなぐものがあった…というのも、なかなか設定としては面白いのではないかと思います。
後に発売された『スーパーマリオRPG』や『マリオストーリー』では、キノコ王国の郊外にマリオ兄弟の家が建てられていますが、スーパーマリオブラザーズの取扱説明書ではマリオの『遠征』と表現されていて、「異国からやってきたマリオ」であることを示唆していたようです。
ちなみに、キノコ王国はいたるところにドカンが配置されていますが、これはクッパの魔法によって姿を変えられたキノコ王国の住人ではないか?という噂があります。

確かに説明書によれば、本作に登場する岩やレンガ、つくしなどは、クッパに姿を変えられた住人であると明記されていますが、ドカンが住人だったという記載はなく、もともとキノコ王国に存在していたドカンだと考えられます。
ドカンとは本来、排水用の下水管として利用されることがほとんどですが、キノコ王国を中心としたマリオの世界ではなぜか通路として利用されることが多く、1988年発売の『スーパーマリオブラザーズ3』ではまさかの『土管の国』なるワールドまで登場しました。
メタ的なことをいえば、マリオの「配管工」という設定の名残が世界各地のドカンに表れているのだと考えられますが、ここまでマリオを象徴するシンボルになるとは、当時の任天堂も予想だにしていなかったのではないかと思います。
ほとんど描かれなかった配管工要素を映画で確かなものに

その後もマリオの活躍はとどまるところを知らず、アクションゲームのみならずRPGやスポーツゲーム、レース、パズルなどなど…、任天堂のあらゆるジャンルにおいて欠かせないキャラクターにまで成長しました。
しかし、かつての名作として『マリオブラザーズ』がリメイクされることはたびたびあれど、配管工、ひいては肉体労働者というイメージは作品を重ねるごとに薄くなり、特に若い層にはほとんど馴染みのない設定だったのではないかと思います。
そんな中、2003年にGBAで発売された『マリオ&ルイージRPG』では、黒幕『ゲラゲモーナ』の罠でマリオたちが地下水道に落とされると、ハンマーを駆使して排水管を修理し、塞がれた扉を開くギミックが用意されていました。

ゲーム内でマリオたちが配管工と補足されるシーンはありませんが、本作は歴代シリーズの要素をオマージュした場面が多く、この配管工事もコアなユーザーに向けたファンサービスのひとつといえます。
その後は再び配管工らしい描写がめっきり減り、冒頭で紹介した通りマリオポータルでも一時期「かつて配管工だったらしい」と紹介されるほどで、たとえドカンをモチーフにしたワールドやコースがあったとしても、マリオたちがブルーカラーというイメージにはなかなか結びついていなかったようです。
そんなマリオたちのイメージを大きく変えたのが、2023年に公開された映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』で、本作は「職業は配管工」「出身はニューヨークのブルックリン」と、1983年発売の『マリオブラザーズ』の設定を反映しており、配管の修理に赴く様子まで描かれています。
映画内でマリオたちが全財産をつぎ込み作ったとされるCMは、現在Youtubeにて視聴可能で、また当時はプロモーションの一環として配管会社「スーパーマリオブラザーズ」の公式ホームページまで公開されていました。
サイトは現在閉鎖されていて、閲覧できないのが残念ですが、配管工らしく工具を持ったマリオたちの写真や、その世界の住民が書き込んだ口コミなどまで掲載されていて、本物の業者さながらなクオリティは当時大きな話題になったのを覚えています。
ハリウッドで制作された『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』は、制作に宮本茂さんが一切関わっておらず、あくまでゲームとは切り離された作品になっていたのに対し、こちらの『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はすべてゲームに準拠した設定らしく、今後「マリオたちが配管工」という事実も揺らぐことはなさそうです。
作業員なマリオのゲームがまた出ても良いのかも?
というわけで今回は「マリオが配管工として活躍した作品」をいくつか紹介してみましたが、調べてみると1990年以降のゲームに配管工のスキルが活かされたことはほとんどなく、ドカンだけが様々な形で名残として配置されているようでした。
しかし映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の影響で、改めてマリオたちは配管や大工の仕事ができると周知されたのであれば、『マリオブラザーズ』や『レッキングクルー』のような、作業員として活躍するゲームがまた出てきても良いのかもしれません。

最近ではマリオたちがオリジナルのコースづくりに勤しむ『スーパーマリオメーカー』なんてタイトルも発売されていますが、より専門的なスキルを前面に出して、いっそ『マインクラフト』のように3Dの空間を作り出すゲーム、なんてのも面白そうです。
2Dアクションのコースに関しては、『スーパーマリオメーカー2』でほぼすべての要素が出尽くしているようにも思えるので、もし次回作があるのであれば、3Dマリオを再現するようなゲームになる可能性も十分にあるのではないかと思います。
コメント