昔のマリオは子供向け?20年かけて払拭されたイメージのいきさつを紹介してみる

任天堂のゲーム
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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)のオンラインサービスでは現在NINTENDO64のタイトルが複数配信されていますが、2022年11月2日には『マリオパーティ』と『マリオパーティ2』の配信も開始され大きな話題を集めました。

私も当時リアルタイムでよく遊んでいたゲームなのですが、フレンドとオンラインプレイも可能なのでぜひ機会があれば誰かと遊びたい今日この頃です。

宮本さんが嫌った『マリオは子供っぽい』イメージ

そんなスーパーマリオは1985年に『スーパーマリオブラザーズ』が発売され、2020年には35周年記念のキャンペーンも行われました。

35人のプレイヤーが最後の1人になるまで競う『スーパーマリオブラザーズ 35』は非常に好評でしたが、キャンペーン終了に伴ってこちらの配信も終わってしまったのは残念なところです。

しかし2023年4月28日には『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の公開も決定していて、今や知らない人はいないほどの知名度を持っているマリオですが…、過去の宮本茂さんへのインタビュー記事を読むと『だんだん子供向けになっている』ことを嫌っていたそうです。

当時のインタビュー記事はこちら

近年の『スーパーマリオ オデッセイ』などを見ると決して子供っぽいというイメージはありませんが…、確かに昔のマリオは『主に子供が楽しむゲーム』という印象があったかもしれません。

というわけで今回は『子供向けから20年かけて変わってきたマリオのイメージ』について簡単に紹介してみようと思います!

『マリオ』の対象年齢をこちらから限定したくなかった

スーパーマリオシリーズはもともと2Dのアクションゲームで、子供はもちろん大人も熱中するほどのブームになりましたが、その後『スーパーマリオカート』や『マリオパーティ』などファミリー向けのタイトルも多く発売され、その活躍はアクションにとどまらないものになりました。

しかし今から23年前、1999年の宮本さんのインタビュー記事によると『ドラえもん的展開』というものを嫌っていて、これは『ドラえもんが嫌い』というわけではなく、『ドラえもんは子供向けのものだから商品も子供向けにしよう』というイメージが嫌だった…と話しています。

実際にドラえもんは原色のピンク色を使った印刷物などが多いのですが、これは子供の識別度がひときわ高いことに起因していて、『マーケティングを考えればこの色が良い』という考えが基のようです。

当時ドラえもんは『小学一年生』や『てれびくん』といった児童向けの雑誌で連載していたので、ターゲットの年齢層を考えれば間違っていないのですが、宮本さんはそのような枠に当てはめることでさらに低学年化が進んでしまい、それがマリオにも当てはまりつつあるのではないか…と考えていました。

『マリオ』というキャラクターは宮本さんが27歳のときに生み出したキャラクターで、ファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』を見れば分かる通り、決してもともとは子供向けにデザインされたキャラクターではありません。

ところがNINTENDO64の時代になると4人で遊べるパーティゲームが大きな広がりを見せ、小学生を中心に一定のシェアを獲得した一方で『任天堂はターゲットを小学生に絞っているんですか?』と聞かれることもあったそうです。

もともと宮本さんは18歳くらいの人たちが集まってワイワイ遊ぶのを理想として生み出したキャラクターが無理に小学生向けに扱われているように感じたので、マリオのイメージを当初のものに戻して、年齢層をこちらで限定したくないという思いをコメントしています。

実際に当時は『中高生になったら任天堂は卒業する』というイメージが少なからずあって、それを宮本さんも危惧していましたが、重要なのは5年後を見据えることで、任天堂作品を遊んでいる今の子供たちが5年後に卒業しないモノづくりを大切にしていました。

もちろん当時も売り上げや市場調査のデータが出ているので『市場開拓』や『競合商品』は議題になりますが、宣伝で見た目を変えられてもモノづくり自体はそんな短いスパンで切り替えられるものではなく、それをやっていると作るべきものを見失ってしまう…という考え方は、大人でも多くの人がマリオを遊ぶようになった今こそ正しかったといえるかもしれません。

お約束を崩してイメージを作った『スーパーマリオサンシャイン』

『スーパーマリオブラザーズ』が発売された1985年頃はアーケードゲームの全盛期で、『ゲームは大人が遊ぶ』というイメージも強く、ファミコンでも『麻雀』や『ゴルフ』といった大人向けのものが多く発売されました。

しかし時代が進んでスーパーファミコンが発売されると『スーパーマリオワールド』や『星のカービィ スーパーデラックス』『ヨッシーアイランド』など子供にも手に取りやすいタイトルが増え、家庭用ゲームに対する年齢層が広がってきました。

そしてNINTENDO64になると3Dグラフィックを活かしたゲームの開発が進み、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や『バンジョーとカズーイの大冒険』といった1人で深くやり込めるゲームもリリースされていましたが、それ以上に『マリオパーティ』や『マリオテニス』といった多人数で遊べるゲームが注目を集め、『誰でも遊べる』を優先した結果、より『子供向け』という印象を根付けたのかもしれません。

任天堂はゲームにおいて『伝統的なお約束』を大切にする傾向がありますが、宮本さんはお約束を崩してデザインをもう少し良いものにしようと考えていて、ゲームキューブで発売されるマリオ(スーパーマリオサンシャイン)から多くの話し合いがあったようです。

例に挙げているのが『マリオのVサインをやめよう』という話で、『スーパーマリオワールド』でゴールしたときや、『スーパーマリオ64』でスターをゲットしたときはマリオがVサインするのがお決まりでしたが、こういった要素の固定化が低年齢向けというイメージを強めていました。

では一方でVサインを続けていれば小学生のユーザーを取り込めるか…といえばそうでもなく、作り手側のデザインでユーザーを絞ってしまうのはマリオの目指すところではなかったのだと思います。

実際に2002年に発売された『スーパーマリオサンシャイン』からはマリオがVサインをしなくなり、アクションをしたりシャインをゲットしたときも大げさに声をあげなくなりました。

開発陣も『スーパーマリオ64』を踏襲しながらこれまでのマリオとは違う点をアピールしていて、当時のインタビューでもディレクターの臼井さんは『マリオシリーズ初の泣けるエンディング』を見どころとして紹介しています。

当時の記事はこちら

『スーパーマリオRPG』でクッパはボスでありながらコミカルな性格になったり、『ルイージマンション』でルイージが臆病で控えめな性格になったりとキャラクターのターニングポイントがありましたが、マリオにとってこの『スーパーマリオサンシャイン』が1つの分岐点…だったのかもしれません。

『新しさ』と『懐かしさ』で作られたみんなのマリオ

2004年にニンテンドーDS、2006年にWiiが発売されるとゲームはより一般的なものになり、これまでゲームを遊んでいなかった人や長らくゲームから離れていた人も『どうぶつの森』『脳を鍛えるDSトレーニング』などを入り口にゲームに触れるようになりました。

マリオも例外ではなく、中でも2006年にDSで発売された『New スーパーマリオブラザーズ』は『スーパーマリオUSA』から14年ぶりに発売された完全新作の2Dマリオブラザーズシリーズで、3Dのマリオが定番になっていた当時は大きな話題になりました。

しかし『スーパーマリオブラザーズ』といえば誰しもが知っている名作で、そのタイトルだけでもどのような面白さを持っているかは分かりやすく、『親が子供に買い与えるゲーム』としても一定の安心感があったと思います。

また、ゲームを遊んでいた人が離れてしまう原因に『今のゲームは難しそう』というのがありますが、当時のインタビュー記事を読むとデザイナーの影山さんもゲームを遊ばなくなった両親が『New スーパーマリオブラザーズなら遊んでくれるかな』と思いながら制作していたそうです。

当時のインタビュー記事はこちら

2007年にWiiで発売された『スーパーマリオギャラクシー』も『5歳から95歳まで楽しめるもの』をコンセプトにしていて、球状の地形を自由自在に歩ける新しさと、スピンを絡めた初心者でも遊びやすい設計が好評を博しました。

一方でスーパーマリオの根幹には『体育会系の面白さ』があって、たとえ簡単にはクリアできないマップも繰り返し遊んでいつかクリアし、そこに大きな達成感がある…というのがお約束でしたが、ユーザーの層が広がるにつれてすぐに諦めてしまう人も増え、『みんなが遊べるもの』を作るのはある意味難しくなっていたのかもしれません。

当時の『社長が訊く』はこちら

実際に『スーパーマリオギャラクシー』も当初は誰でも遊べるように低難易度の路線を考えていましたが、宮本さんは『簡単すぎて緊張感がない』と意見を出し、『やさしくても緊張感のあるゲーム』を目指すことになりました。

その要素の1つが『ライフは3つだけ』という部分で、『スーパーマリオ64』や『スーパーマリオサンシャイン』ではライフが8つありましたが、ライフを失ってゲームオーバーになることはそこまで多くなく、それが緊張感にはつながっていないと感じていたそうです。

そこでライフを3つにまで減らし、結果マリオは何度もミスを繰り返すかもしれませんが、その分リスタートできる地点を多く作って、1UPキノコもたくさん取れるようにして…と1回1回のプレイに緊張感を持たせることで初心者から上級者まで、幅広い層に受け入れられるタイトルになりました。

そして2017年に発売された『スーパーマリオ オデッセイ』は旅行をテーマに様々な国を巡るゲームになりましたが、そのスケールの大きさと世界観に『子供向け』というイメージはなく、日本でも発売から3日で51万本以上と3Dマリオでは過去最高の売り上げを記録し、まさに子供から大人までが興味を持ったタイトルでした。

『帽子投げ』や『キャプチャー』といった新しい要素に加えて、かつてマリオ作品でヒロインを務めた『ポリーン』が再登場したり、ファミコン時代の2Dマリオを操作するシーンがあったり…『昔を知っている大人』が楽しめる要素がふんだんにありました。

『5歳から95歳まで』という考え方は今でも変わっていないと思いますが、ゲームを始めたばかりの子供はもちろん、昔からマリオを好きだった人にしか得られない感動があることを考えると、今やむしろマリオは十分『大人向け』といえるのかもしれません。

マリオもドラえもんも今ではみんなのもの

というわけで今回はかつてマリオが子供向けになっていた時期があって、それが今では覆されている…という話を簡単にまとめてみましたが、確かに『スーパーマリオ』や『ポケットモンスター』から離れて写実的なゲームに熱中していた時期…というのは私にも覚えがありました。

しかし『スーパーマリオ オデッセイ』はもちろん、今やマリオに子供向けというイメージはなく、むしろ子供のころより熱中して遊んでいるくらいだったりします。

1999年のインタビューでは宮本さんは例として『ドラえもん』を挙げましたが、ドラえもんも今では子供だけでなく親が一緒に視聴したり、『ドラ泣き』というテーマで人気の高かったエピソードを描いたり…大人をターゲットにしたコンテンツが成功を収めています。

そういった意味ではマリオもドラえもんも『子供向け』というイメージが同時期に定着していましたが、あれから20年以上が経ち、当時子供だった人たちが大人になった今でも好きでい続ける…というのは、宮本さんの言葉通り『5年後に卒業しないモノづくり』の成果なのかもしれません。

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