『ポケモンレジェンズ アルセウス』の御三家とアイヌ文化の関りを詳しく調べてみた

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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

今でも定期的にイベントが開かれている『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』ですが、2023年4月7日には『最強ダイケンキ』とのレイドバトルも開催されており、攻略のためにポケモンを育てた方も多いのではないかと思います。

私も『もふもふ』でサポートに特化した『ハカドック』をレベル100まで上げて、友人に手伝ってもらいながらなんとかダイケンキを捕獲できました。

パルデアにも終結する『ヒスイの御三家』たち

そんな『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』では、2023年4月14日から『最強バクフーン』のレイドバトルも告知されており、これで『ジュナイパー』『ダイケンキ』『バクフーン』と続く形になります。

この3匹といえば2022年1月28日に発売された『ポケモンレジェンズ アルセウス』の最初の3匹、いわゆる『御三家』の最終進化系で、『ヒスイのすがた』ではないものの、まるでパルデア地方にヒスイ地方のポケモンが参戦する前触れのようです。

ヒスイ地方の御三家は『モクロー』『ヒノアラシ』『ミジュマル』とバラバラの世代で選ばれていて、なぜこの選出なんだ…?と当時は話題になりましたが、今ではヒスイ地方のモチーフである北海道、ひいては先住民族の『アイヌ』と関連していることが広く知られています。

しかし調べてみても具体的に関連性が説明されている記事はそこまで多くなかったので、今回は『ヒスイ地方の御三家とアイヌ文化との関り』を少し詳しく調べてみようと思います!

アイヌで守り神と呼ばれる『シマフクロウ』と『モクロー』

『ポケモンレジェンズ アルセウス』で最初にもらえるポケモンの1匹『モクロー』はフクロウの姿をしていて、その丸みのあるフォルムから非常に高い人気を誇っています。

南国のアローラ地方が舞台である『ポケットモンスター サン・ムーン』で初登場したので、ヒスイ地方とはかなり環境の違いもありそうですが…、図鑑を見る限り『暖かい場所を好む』などの記載もないため、意外と適応力が高いのかもしれません。

アイヌと関わりの深いフクロウとして名前が挙がるのが『シマフクロウ』と『エゾフクロウ』で、なかでもシマフクロウは北海道固有の種であり、広い地域で『神』として崇められてきたそうです。

アイヌ語では神のことを『カムイ』といい、どうやら調べてみると『自然の中にあり、自然の恵みであるもの』を全般的にカムイと呼んでいたようで、フクロウはもちろんヒグマ、キツツキ、タンチョウ、囲炉裏などの人工物まで神として扱っています。

シマフクロウは夜になってもジッと村を見続けることから『村を守る神』と呼び、他にも『フムフムと鳴く神』『木の枝を所有する神』『大地を守る神』などなど…かなり深い関りがあるようでした。

参考資料はこちら

モクローはラベン博士が他の地域から連れてきたポケモンですが、極寒の地であるヒスイ地方の環境に耐えるため独自の進化を遂げた『ヒスイジュナイパー』は原種とはまたかなり違った風貌をしていて、こちらの方がよりシマフクロウのイメージにも近しいように思えます。

呼び名の1つである『フムフムと鳴く神』はあまり具体性を感じませんが、シマフクロウの鳴き声はアイヌにとって重要な意味を持っていたらしく、変事を知らせたり、悪いものを遠ざけたりすると考えられていました。

『夜の暗闇が割れるほどの大声で闇から忍び寄る魔物をどなりつける』『集落に忍び入る悪魔を叱り飛ばして追い払う』という伝承も残っており、まさに『村の守り神』という言葉がピッタリです。

ヒスイのジュナイパーは原種より荒々しく、風来坊のような見た目をしているので『守り神』とは違ったコンセプトデザインに思えますが…、また別のところでアイヌ文化とかかっている部分はあるのかもしれません。

数々の伝承がアイヌに残る『火山信仰』と『ヒノアラシ』

ヒスイ地方の御三家の1匹である『ヒノアラシ』はその名の通り『ヤマアラシ』をモチーフにしたポケモンですが、日本にヤマアラシは生息しておらず、そこまで関連性がないように思えます。

これはむしろヤマアラシではなくバクフーンの『噴火』にかけていて、北海道には30以上の活火山が存在し、現在も9つの火山が常時観測火山として監視されています。

火山の噴火は非常に恐ろしい災害ですが、古くの人からすればそれは人知の及ばない神の所業と考えられていて、降り積もった火山灰は時が経てば養分を含んだ土になり、樹木が育ち、多くの動物を養う…と自然の恵みの一部として捉えられていたようです。

アイヌにも火山に関する伝承や記録が数多くあり、1822年に発生した有珠山(うすざん)の大規模な噴火は『悪神が引き起こしたもの』と考えられ、長老など役職者は太刀を抜いて祈祷を行い、善神に噴火を鎮めるよう祈ったと資料が残されています。

結果としてこの大噴火では72名にも及ぶアイヌの人々が犠牲になっていますが、これは祈祷ののち一時的に大雨が降り、『祈りが通じて善神が優位になり悪神が劣勢になった』と信じ集落に戻ったから、という推測が有力です。

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ヒスイのすがたの『バクフーン』は原種と違って穏やかな性格であり、ゆったりとした動きが特徴に挙げられていますが、一方で怒り出すと原種以上に感情を爆発させ、灰も残さないほど燃やし尽くしてしまう…と、まさに火山のような性格に変異していました。

また、ヒスイ地方のテンガン山は北海道の地図に照らし合わせると『日高山脈』が当てはまるのではないか…といわれていて、ヒスイバクフーンにゴーストタイプが追加されたにも関連しているのかもしれません。

ヒスイバクフーンはテンガン山の霊気に影響されて姿が変化したとされていますが、例えば日高山脈の『幌尻岳(ぽろしりだけ)』は霊山として有名で、狩猟によって捕獲されたクマを山に返す儀式がかつて行われており、神聖な場所と現在も伝えられています。

他にも日高山脈とは関係ありませんが、天の神が『キラウシコロカムイ』という神を下界に遣わせたところ、キラウシコロカムイが欲張って幸福を独り占めしようとし、神の怒りに触れ地獄に落ちた入り口が有珠山の火口になった…なんて伝承も、ヒスイバクフーンの由来に少しかかっていそうです。

アイヌの言葉が語源になった『ラッコ』の『ミジュマル』

これまでは神様や信仰をベースに紹介してきましたが、『ミジュマル』のモチーフである『ラッコ』もアイヌとは深い結びつきがあり、かつては北海道から千島列島にかけて生息していました。

ラッコというとなんとなく身近な海の生き物に感じますが、近年でも日本で見つかることは稀であり、現在は絶滅危惧種にも登録されている貴重な存在です。

実はラッコは極寒である北の海に適応するため進化したカワウソの姿で、アイヌでは『アトゥイエサマン(海のカワウソ)』と呼ばれていたのですが、『夜にこの言葉を使うとカワウソが化けて出る』という言い伝えがあり、別名である『ラッコ』を使うようになった結果、それが日本全土に広まりました。

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北海道の南部に流れる『楽古川』は、はるか昔にこの地に珍しい海獣が流れ着き、『これが噂に聞くラッコではないか』という話から『らっこ川』と名付けたのではないか、ともいわれているようです。

守り神であったフクロウや、神の力そのものと考えられていた火山と比べるとややスケールが小さく感じるかもしれませんが、『アイヌ英雄叙事詩』には『黄金のラッコ』の伝説が書かれていて、捕まえようと腕に自信のある男たちが挑むも、みんな死体になって岸に打ち上げられた…とされています。

(この英雄叙事詩はいろいろ調べたのですが、元の資料の言葉が古くてまとめるのが難しく…、気になる方は『虎杖丸の曲』を見てみてください)

もちろんミジュマルはそんな特別な力を持っておらず、進化系のヒスイダイケンキも『黄金』どころか『あく』タイプが追加され、この伝説がモチーフ…というわけではないのかもしれませんが、他にラッコに関連する伝承はあまり見つかりませんでした。

ダイケンキが初登場した『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』は多様性がテーマでもあり、エンブオーが『中華』、ジャローダが『洋風』、そしてダイケンキが『和風』のデザインになっていました。

あくタイプの追加された明確なモチーフは調べても資料が見つからず、そもそもダイケンキがラッコではないので『北海道とラッコの関り』を調べても出てこないのかもしれませんが…、全体的に和の雰囲気が強い『ポケモンレジェンズ アルセウス』とは親和性も高く、お気に入りの方も多いのではないかと思います。

専用技『ひけん・ちえなみ』などもあって武士に近い風貌でありながら、アイヌはあまり鎧で身を固めることもなかったようで、まったく違うところにモチーフがあったのかもしれません。

いずれもアイヌでは深い関りを持っていた

というわけで今回は『ポケモンレジェンズ アルセウス』の最初に選べる3匹、いわゆる『御三家』と『アイヌ』について関りを調べてみましたが、神様や信仰など文化に根深い要素でつながりがあるようでした。

こうやって改めて調べてみると思った以上に伝承が残っていて、確かに『ヒスイ御三家』に選ぶにはピッタリの3匹が選出されているな…と思います。

とはいえ半日くらいかけていろいろ調べてはみたのですが、やはり残っている資料の言葉などが古く、もっと歴史的に調べれば分かることもたくさんあったのかもしれません。

個人的にはアルセウスに限らず、『ポケモンレジェンズ』シリーズとして他の伝説のポケモンも取り上げてほしいと思うのですが…、今後どのような扱いになるのかも気になるところです。

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