25年以上続く『新作でも変わらないポケモンらしさ』とは何かを紹介してみる

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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

2022年11月18日に発売された『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』ですが、シリーズで初めてのオープンワールドが導入され、広大な世界にポケモンがまさに息づいているようで、私も毎日少しずつ進めています。

見たことのなかった新ポケモンはもちろん、これまでと違って決まったルートのないストーリー展開は次の目的地を考えるのも楽しくて、ついつい寄り道してしまいます。

新しさの中に見える『ポケモンらしさ』

そんなシリーズ最新作『ポケモンSV』は過去作と比べても異なる点が多く、まさに新しい一歩を踏み出した作品…といえるのですが、それだけ新しくなってもしっかりと『ポケモンらしさ』が残っているのがすごいところです。

2022年1月に発売された『ポケモンレジェンズ アルセウス』でも、広いマップを自由に移動してたくさんのポケモンを捕まえるシステムが真新しく、斬新さとお約束を掛け合わせたハイブリッドでした。

作品を重ねるごとに進化を続けているポケモンシリーズですが、今からおよそ12年前『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』が発売されたころのインタビュー記事を読んでみると、新しさを取り入れながらも絶対に譲れない『ポケモンであるためのもの』があるそうです。

当時の記事はこちら

というわけで今回は当時の記事を読み返しながら、25年以上続いてきた『ポケモンらしい変わらない要素』をとりあげてみようと思います!

始まりは『ポケットモンスターの世界へようこそ!』

『ポケットモンスター』が初めて発売された1996年には『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』なども大きな人気を持っていて、『RPG』というジャンルはすでに根付いていましたが、収集や育成といった要素は当時珍しく、他のRPGとまた一味違った魅力を持っていました。

今でこそ『ポケモンの世界』というのは広く知れ渡っていますが、当然1作目に当たる赤・緑の発売当初はポケモンがどのようなゲームなのか知らない人も多く、導入部分でこの世界にはポケモンという生き物が多く生息していて、人々はそれをペットにしたり助け合ったり…という博士からの説明が定番になっています。

ポケモンは作品によって舞台となる地方が違い、生息しているポケモンも異なるのでシリーズごとに違った楽しみがありますが、そのワクワク感を引き立てるのが最初に表示される『ポケットモンスターの世界にようこそ!』というセリフで、この言葉を見るとポケモンが始まった実感が湧く人も多いと思います。

近年ではオープニングの案内役が博士ではなく、『ポケットモンスター ソード・シールド』ではガラルポケモンリーグ委員長のローズが、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』ではアカデミーの校長であるクラベルが務めていましたが、この変化も新しい地方での冒険を思わせる要素になっていそうです。

過去作における博士は主人公を見守る立場であることが多かったですが、ポケモン剣盾ではマグノリア博士の孫娘であるソニアが作中で博士へと昇格したり、ポケモンSVのオーリム博士やフトゥー博士は物語の本筋に関わってきたりと、案内役にとどまらないポジションになってきたのも関係しているかもしれません。

そしてポケモンの冒頭でおなじみといえば『3匹のポケモン』で、ほのおタイプ、くさタイプ、みずタイプの中から旅のパートナーとなる1匹を選ぶのが恒例になっています。

この3つのタイプはそれぞれ弱点をつき合う3すくみになっていて、ポケモンにおける相性のチュートリアルも担っていますが、26年間この最初に選べるポケモンのタイプは変わっていません。

これは2022年11月12日に開催された『スプラトゥーン3』のフェス、『パートナーに選ぶならどのタイプ? くさ vs ほのお vs みず』のお題にもなるほどおなじみのもので、発売前から『今回はどのタイプを選ぼう…』と悩むのもポケモンらしさといえます。

友達と最初のパートナーを合わせて共に成長を比べあったり、あえて違うタイプを選んで進化した姿を見せ合ったり…、この赤・緑から続くコミュニケーション要素がもっとも強く受け継がれている楽しみ方かもしれません。

スケールは大きくても根本は『ひと夏の虫取り少年』

ポケットモンスターの物語は世界に生息したポケモンを捕まえて図鑑を完成させること、そして各地のジムバッジを集めてチャンピオンになることが基本ですが、その冒険の過程で世界の危機を目の当たりにすることも少なくありません。

ポケモン赤・緑でも『ロケット団』という悪の組織が登場し、彼らはポケモンを利用して金儲けや暴力的な行為、さらにシオンタウンのガラガラを殺害するなど非道な行いを繰り返していましたが、主人公はリーダーであるサカキを打ち倒し組織の解散にまで追い込みます。

このできごとだけを切り取ると1人の少年が成し遂げるには現実味がなく、かなりスケールの大きな話に聞こえますが…、実際は育て上げたポケモンたちの力があるからこそ可能なことで、主人公の力だけではないことはシリーズでも一貫して描かれています。

博士の悲願であった図鑑を完成させ、四天王とチャンピオンを打ち倒し、悪の組織まで壊滅させる…となると壮大な物語ですが、それだけのボリュームがありながらエンディングにたどり着いたときに思うのが『ひと夏の思い出』のような規模感で、まるで不思議な冒険をした夏休み…という感覚になります。

最新作のポケモンSVには3つの大きなシナリオが用意されていて、どれもアカデミーの生徒にスポットを当てた濃密なストーリーでありながら、日常の生活から根差した身近さも感じられました。

もともとポケットモンスターというゲームの原点が『昆虫採集』で、生みの親である田尻 智さんは効率の良いクワガタの捕まえ方を調べるうちに生態に詳しくなり、見せ合ったり交換したり…という経験がポケモンの誕生につながっているそうです。

参考記事はこちら

そのコンセプトは今でも変わっておらず、まだ持っていないポケモンを捕まえたり、見たこともないポケモンを求めて走り回ったり…、少年時代に多くの人が感じたワクワク感がポケモンらしさの根っこの部分なのだと思います。

スマートフォンでリリースされた『ポケモンGO』を始め、戦闘を介さなくても直接ボールを投げてポケモンを捕まえられるようになった『ポケモンレジェンズ アルセウス』や、広いフィールドで木の上や海の沖まで探索できる『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』ではより昆虫採集の雰囲気が強まりました。

草むらに潜んでいるポケモンだけでなく、ここで釣りをしたらどんなポケモンが釣れるのか、木を揺らしたら何が落ちてくるのか…そのちょっとした楽しみの積み重ねがポケモンの本質なのかもしれません。

ポケモンの作法になった『ここは○○の町』

ポケモンは赤緑、金銀、ルビー・サファイア…とシリーズが続いていましたが、いずれもポケモンを捕まえてレベルを上げながらジムに挑む流れは共通で、シナリオの道筋としてもほぼ一本道でした。

赤緑では関東地方、金銀では近畿・中部地方、ルビー・サファイアでは九州地方、ダイヤモンド・パールでは北海道の樺太…と日本の地域を切り取ってモチーフにしていましたが、ブラック・ホワイトからはアメリカのマンハッタンなど海外をモチーフにした舞台となり、新しいステージへの移り変わりを感じさせました。

そのポケモンBWの中心都市であるヒウンシティは過去作以上に多くの高層ビルが並び立ち、数えきれないほどの人々が大通りを行き交っていて、まさに『ポケモン』というゲームの進化を感じさせる演出だったのですが、そこにたどり着くまでの町々は従来とあえて大きく変えなかったそうです。

ポケモンがどのようなゲームか知っている人は今や非常に多いですが、もちろん『今回初めてポケモンを遊ぶ』という人も少なからずいて、この町のここにはポケモンセンターがある、こっちのジムに挑戦するとバッジがもらえる…という流れを順序立てて説明するのが倣いになっています。

ヒウンシティにたどり着くまでは従来のポケモンらしさを大切にして、シリーズ初心者でも迷うことなく進められるように配慮しながら、慣れてきたら開放的なマップで自由に遊べるように意識されていました。

そして町の入り口には『ここは○○の町』という看板がお約束でしたが、ポケモンBWでディレクターを務めた増田 順一さんもこれは1つのポケモンらしさだと捉えていて、そこには町を紹介する一文が添えられていたのですが、『マサラタウン マサラは まっしろ はじまりのいろ』『ヒウンシティ ヒウンは 飛ぶ雲 めでたい雲』といった文章は新しい町に着いたときの楽しみでもあると思います。

最新作のポケモンSVはオープンワールドになった影響もあってか、ポケモンセンターやフレンドリィショップがガソリンスタンドのように気軽に立ち寄れる作りになりましたが、従来とはまた違ったその形式からしっかりとゲーム内に使い方の説明が用意されています。

町の入り口の看板はシンプルなものになりましたが、どのような町かの紹介は近くの住人が教えてくれるようになって、『ここは プラトタウン ぷらっと 立ち寄る 安らぎの町』といった文章を見るとポケモンの世界をより実感するかもしれません。

シリーズ経験者でも楽しめるポケモンの出会いと成長

当時のインタビューでBWのプロデューサーだった石原 恒和さんは、ポケモンらしくあるために大切だと思うことに『2回目の人も、10回目の人も、みんなふつうに、同じようなスタートを切ることができる』という点を挙げていて、誰でもポケモンの世界を新鮮な気持ちで遊べることが大切だと答えています。

ポケモンのストーリーは基本的に一本道で、誰が遊んでもその結末はおおよそ同じになりますが、どのポケモンを捕まえて育ててきたか、どれだけ図鑑を埋めてきたか、道中のトレーナーとどれだけ戦ったか…その過程は大きく異なります。

例えばポケモンは手持ちのタイプをバランスよく整えたいところですが、ポケモン赤緑でも序盤でポッポを育てたかオニスズメを育てたか…そこから人によって違ってきますし、両方を最後まで連れていた人もいるハズです。

ここに初心者か経験者かの差はあまりなく、初心者だから同じタイプのポケモンが集まってしまった人もいれば、経験者だからこそ手持ちのタイプを偏らせて遊んでいる人もいて、知識に差があっても同じスタートラインからゴールを目指すことができます。

また、ポケモンはストーリーをクリアした後も様々なやり込み要素がありますが、2周目、3周目と初めから遊ぶとしても『前回とは違ったポケモンで旅をしてみよう』という遊び方ができて、これが他のRPGにはないポケモン独自の新鮮さにつながっていそうです。

そして世代を超えても遊び続けられるのがポケモンの魅力で、ポケモンの新作となればその地方に生息する新しいポケモンに注目が集まりますが、過去作で自分が育てていたポケモンを見つけたときの喜びもまた特別なものがあります。

シリーズ初心者の人はまだ見ぬ未知のポケモンに胸を躍らせ、過去作の経験者も世代を超えて好きなポケモンに出会える…ここにポケモンの変わらない面白さが詰まっていると思います。

ポケモンSVもパルデア地方の新しいポケモンが目玉ではありますが、今作はこれまで以上にポケモンが世界に根付いていて、イーブイが水辺では犬かきのような動きで泳いでいたり、アマカジが本物の木の実のように枝にぶら下がっていたり…おなじみのポケモンでも新しい発見が見つかります。

ポケモン金銀で昼と夜に違ったポケモンが出現するようになって、ルビー・サファイアでは『とくせい』によってポケモンの個性が強まり、X・Y以降はポケモンが3Dになったことでよりポケモンへの理解も深まりましたが、既存のポケモンにも常に新鮮な要素があるのが変わらない『らしさ』なのかもしれません。

25年以上続くポケモンの世界を作った『ラブ&ピース』

これまでポケモンのシステム的な部分や遊び方について変わらない部分を挙げてきましたが、増田さんが世界観的に大事にしているのが『ラブ&ピース』で、『電車に乗っても、優先席がないとお年寄りに席を譲らない』みたいな世界にはしたくないと答えています。

ポケモンの主人公はチャンピオンになれば目的が達成できるので、それだけを考えれば極論『人助け』という行動は不要なのですが、どのシリーズにおいても主人公の優しさが物語にカギを握ることは珍しくありません。

ネタバレになることは書けませんが、特にポケモンSVでは主人公のその優しさがアカデミーの友達を巻き込み、より大きなことを成し遂げる様子が描かれました。

ポケモンを悪用する組織というのもシリーズでは定番で、ポケモンSVに登場した『スター団』はアカデミーのはみ出し者が集まった不良集団…のようでしたが彼らにも事情があるらしく、物語を進めるとまさにラブ&ピースを感じられる…かもしれません。

トレーナーだけでなく『ポケモンに対する愛情』もシリーズの最初期から重視されていて、ポケモン赤緑でも最後はチャンピオンに君臨していたライバルと戦いますが、主人公に敗れたライバルに対してオーキド博士は負けた理由を『ポケモンへの信頼と愛情を忘れているからだ』と説きます。

その後の作品でも金銀のライバルを始め、BWのチェレンやソード・シールドのビートなど強さを重視するトレーナーは少なくないものの、主人公とのバトルや様々なできごとを通じてポケモンとの信頼関係を築くようになり、本当の強さとは何かを考える描写が見られます。

勝つために強いポケモンを育てることも正しいですが、金銀の四天王であるカリンの『強いポケモン弱いポケモン そんなの人の勝手 本当に強いトレーナーなら 好きなポケモンで勝てるよう頑張るべき』というセリフが多くの人の記憶に残っているように、苦楽を共にしたポケモンへの愛着は確かにかけがえのないものがあります。

『ポケットモンスター ピカチュウ』からはポケモンへの『なつき度』が導入され、現在では『なかよし度』となっていますが、ポケモンと仲良くなることで進化したり、致命的な一撃を受けたときに踏みとどまってくれたり…絆の力がゲームにも反映されるようになりました。

ポケモンリーグのチャンピオンと図鑑の完成はあくまで自分の目標ですが、その過程にはいろいろな人の助けがあり、自分のためだけではない冒険がポケモンらしさとして引き継がれているようです。

子供のころから変わらない楽しさと新鮮さ

というわけで今回は過去のインタビュー記事を参考に『変わらないポケモンらしさ』を紹介してみましたが、シリーズが始まって25年以上が経つ今でも何より面白さは色あせていないのがすごいところです。

私もゲームボーイの『ポケットモンスター 緑』からポケモンの世界に触れ、今まさに最新作である『ポケットモンスター スカーレット』を遊んでいますが、代を重ねれば重ねるほどポケモンを探すワクワク感も強まっている気がします。

しかし大切なことは残しながらもちろん変わったこともたくさんあって、例えばポケモンBWでは『わざマシン』が使い捨てではなくなったり、石原さんも最初に話を聞いたときは『そこは変えても良かったの!?』と思ったことも多いそうです。

フィールドが広大なオープンワールドになり、野生のポケモンがシンボルで表示されるようになり、空を飛んだり崖を登ったり…過去作とは大きく変化した最新作ですが、町の看板のようなちょっとした『ポケモンらしさ』に注目して遊んでみるのも面白いかもしれません。

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