【レビュー/感想】『The First Tree』は世界観を重視したシステムが面白いと感じられるかがポイント

3.0
ゲームレビュー
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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

近年では『ポケモンユナイト』や『遊戯王 マスターデュエル』など短いサイクルで楽しめるゲームが増えてきて、2022年9月9日には『スプラトゥーン3』の発売も控えていますが、一方で手を付けられていない『積みゲー』がかなり増えてきた今日この頃です。

特にセールになっていたインディー系のゲームはかなり数が溜まってしまったので、少しずつでも消化しようと手を付け始めています。

キツネと豊かな自然に癒されるアクションゲーム

そんな中、以前Steamのセールで購入したまま遊べていなかった『The First Tree』というゲームを先日プレイしたのですが、3時間程度でクリアまでたどり着けるお手軽なボリュームでした。

本作はキツネを操作して広大な世界を冒険するアクションアドベンチャーで、広大かつ美麗に描かれた大自然、ピアノをベースにした美しい音楽など…世界観の作り込みが特に印象的です。

特に複雑な操作も必要とせず、たとえ3Dのアクションゲームが苦手でも問題なくエンディングが迎えられる難易度でしたが、なりよりもその世界観の作り込みの深さには感心しました。

アクション要素が主でありながらノベルゲームのような読み物要素が多分に含まれていて、かなり人によって好みが分かれそうな内容だったので、今回はそんな『The First Tree』について簡単なレビューを書いてみようと思います!

美しい世界をゆったりと楽しめる探索要素

本作のあらすじは『行方不明になった子ギツネを探す母キツネの物語』なのですが、実はこれはジョセフという男性が見た夢の話で、この世界にはジョセフの思い出にまつわるものがあちこちに散りばめられています。

子ギツネを探す過程で母キツネは様々な思い出の品を見つけますが、それを手に入れるたびにジョセフのモノローグがが挿入され、『キツネの物語』と『ジョセフの父との思い出』が並行して進んでいく二重構造の仕組みが特徴的です。

とはいえ基本的にメインになるのはキツネの視点で、ゲームをプレイしてまず思うであろうことがその世界の広大さと、光と影のコントラストに彩られた風景の美しさです。

このゲームにはモンスターとのバトルもゲームオーバーも存在せず、ジョセフの記憶が混同した不思議な世界をひたすらに探索することになるのですが、時間制限もないので美しい風景を存分に堪能しながらゆったりと楽しめます。

操作は移動とジャンプをベースに複雑なものはなく、やや二段ジャンプは挙動にクセがあって慣れが必要なものの、誰がプレイしても『クリアできない』という事態にはならないと思います。

本作はいくつかのチャプターに分かれていて、それぞれ雪山や森、草原など違った世界を楽しめるだけでなく、大自然の中に打ち捨てられたスクールバスや学習机など…、ジョセフの記憶と合わさった何かメッセージ性を感じる光景も印象的です。

一方で人工的なものが少ない弊害か目印になるオブジェクトがあまりなく、本作にはミニマップなどの機能も用意されていないので、3Dのゲームに慣れていないと迷って同じところをぐるぐる周っていた…なんてこともあり得ると思います。

美しい世界を堪能する目的であれば少し迷うくらいそこまで問題ではありませんが、物語を早く進めたい…というときにはやや不親切に感じるかもしれません。

ジョセフの語る物語のメッセージ性をゲームとして捉えられるか

雄大な自然に囲まれた空間で癒されたり、ジャンプを駆使して世界に隠された思い出を探し当てたり…などの要素が盛り込まれている本作ですが、何よりも合間合間に語られるジョセフのセリフが高いメッセージ性を含んでいて、そこが『The First Tree』の核でもあると言えます。

物語を語るジョセフは父を亡くした直後で、母キツネが子ギツネを探す過程とリンクしながらその思い出が紐解かれていきますが、世界の美しさに反して現実は必ずしも綺麗なものとは限りません。

その対比や、キツネを通して見えるジョセフの感情などを汲み取ってこそ本作の面白さを体験できますが、その魅力はかなり受け手に委ねられているので、刺さらない人はまったく面白く感じないかもしれません。

メッセージ性が強いあまりゲーム性は薄くなっていて、『思い出を探すキツネとジョセフのつながりが面白い』という方がいれば、『探索要素を省いて普通の物語として見たい』と感じる方もいると思います。

決してこのゲームが悪いわけではありませんが、なかなか没入できない理由には言語の壁があって、本作はアメリカで制作されたゲームなのでジョセフのセリフは英語で語られていて、設定から日本語字幕を入れなければ物語を追うことすらままなりません。

日本語訳はしっかりしていて意味が分かりにくい部分はほとんどありませんが、1度に表示される字幕のテキストがかなり多く、改行もないため正直かなり読みにくくなっています。

また、100%物語を楽しむのであればジョセフの語りが挿入されるたびに足を止めて話に聞き入った方が良いのですが、探索を優先するあまりジョセフの話を聞き流してしまうと深く理解できないままゲームが進んでしまいます。

少なくとも事前情報として、本作のゲーム内容は探索をベースにしたアクションゲームですが、あくまで本質はキツネとジョセフの半生を描いたアドベンチャー要素という点は覚えておいた方が良いと思います。

『1度きりの体験』にすべてが込められた演出

『The First Tree』は3時間程度でクリアできる遊びやすいボリュームで、世界に散らばった『光』を集める収集要素もありますが、何回も繰り返して遊ぶゲームとはいえません。

周回プレイに意味がない…というよりは『1回のプレイにすべてが込められている』タイプで、結末を知らない状態で遊ぶからこそ価値のあるゲームだと思います。

もちろんエンディングに関するネタバレなどを知ってしまうと魅力も半減してしまうため、この記事では詳しく書きませんが…、あまり他のタイトルでは類を見ないギミックが組み込まれています。

注意点としてはセーブのタイミングがチャプターをクリアした時のオートセーブに限られているので中断しにくい点と、人によっては3D酔いをかなり引き起こしやすい点が挙げられます。

私は『マインクラフト』や『APEX』などを遊んでも3D酔いしなかったのですが、『The First Tree』に関しては少し気持ち悪くなってしまいました。

(3D酔いを実感したのは『オブラディン号の帰還』以来かもしれません)

できれば1回のプレイで最初から最後まで通しで遊んでみて欲しいところですが、中断セーブがしにくい以上、3D酔いの心配があれば無理せず1チャプターずつ進めていくのが良いかもしれません。

万人受けではないけど間違いなく心に残る

というわけで今回は簡単な『The First Tree』のレビューを書いてみましたが、少なくともこのゲームは遊んだ人の心に残るものではないかと思います。

ジョセフの半生は基本的にセリフで語られるので具体的な映像がありませんが、キツネの行動や世界に散りばめられた思い出の品を通してイメージすることができて、エンディングの演出はかなり心揺さぶられるものでした。

一方でマップ機能が実装されていない、チャプターごとにしかセーブができないといった不親切さに3D酔いを起こしやすいゲームデザインも相まって、すべての人が楽しめるか…と言われると難しいところです。

少なくともアクションゲームを期待してプレイするとかなり肩透かしをくらうので、物語性を重視したゲームを好む人にこそオススメです。

何かに失敗してゲームオーバーになったり、取り返しがつかなくなることはないので、逆にいえばアクションが苦手な人でも心配せずにプレイできると思います。

価格は1,000円ですが、セールで半額以下になっているときもあるのでその時を狙うのも良いかもしれません。

Steam版の購入はこちら

Nintendo Switch版はこちら

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