こんにちは、こんばんは、『みう太』と書いて『みうた』と申します!(Xアカウント)
1985年に『スーパーマリオブラザーズ』が発売されてからもう間もなく40周年、マリオ作品には敵味方問わず、様々なキャラクターが登場しました。その総数はもはや数えきれないほどで、近年は「ポリーン」や「ガボン」といった往年のキャラクターも改めて注目されています。
2024年10月に発売された『スーパー マリオパーティ ジャンボリー』は、そんなマリオファミリーたちの集大成ともいえるタイトルで、なんと22人ものキャラクターが登場しました。マリオやルイージのみならず、チョロプー、ハックンといったクッパ軍団まで参戦したのは予想外だったと思います。
そんなパーティ系のタイトルにおいて、長い歴史を持ちながら未だ謎に包まれているのが「ワリオ」と「ワルイージ」の関係性で、互いに相性の良いパートナーでありながら、特別な「仲間」ともまた違うそうです。
「良き相棒」としか語られていない関係性
今やマリオファミリーの一員として欠かせないキャラクターになっている「ワリオ」と「ワルイージ」ですが、この2人はお互いパートナーとして描かれながら、出自や経歴はまったく異なっていて、その接点はあまり語られていません。
ワリオの初登場作品は1992年発売の『スーパーマリオランド2 6つの金貨』で、当時はマリオに並ぶ悪役としてデザインされ、本作のラスボスも務めました。意外にもマリオと直接対決した作品はこれくらいで、その後は『ワリオランド』や『メイド イン ワリオ』などに舞台を移し、活躍の場を広げています。
対してワルイージは2000年発売の『マリオテニス64』が初登場作品で、ワリオのパートナーとして電撃参戦し、ヒールでありながらコミカルなデザインとアクションが注目を集めました。
しかし、そんなワリオとワルイージの関係を示す情報は今もほとんどなく、過去のインタビューでも「ワリオとの関係って何なんですか?」という質問に対し、「良き相棒」であることくらいしか考えていないと答えられています。
また、かつてNintendo of Americaのサイトでは「兄弟」と紹介されていて、かなり公式でも認識にブレがあったようなので、今回はワルイージの出自を中心に振り返りながら、ワリオとの関係を改めて探ってみようと思います!
キャメロットが生み出した異色のキャラクター
そもそもワルイージというキャラクターが誕生した経緯は少し特殊で、『マリオテニス64』の開発を担当していた制作会社『キャメロット』は、ゲームに登場させるキャラクターの選定に当時頭を悩ませていました。
『マリオゴルフ64』より多くのキャラクターを登場させようとすると、これまでのマリオファミリーだけでは数が足りず、クリボーやバッタンまで案として出ていたそうです。これは当時出番の少なかったデイジーやキャサリンが抜擢された理由でもあって、実は後の作品にも大きな影響を与えていました。
そしてダブルスのチーム戦を考えたとき、ワリオのパートナーに当てはまるキャラクターが見つからず、任天堂に「新しいキャラクターを作ってもらえますか?」と意見を出したのですが、「それは難しい」と断られてしまいます。
そこでキャメロットは「僕らで考えてみていいですか?」と任天堂に聞いたところ、「考えるぶんには自由です」と返答をもらい、そこからワリオの相棒を作る「ワルイージプロジェクト」がスタートしました。
とはいえ「ワルイージ」という名前や、細い体などおおよそのイメージはすでに固まっていて、Lを逆さまにした帽子のマーク以外はほぼすべて最初から完成していたそうです。このデザインを任天堂に見せたところ、あっさりとOKをもらい、キャメロットとしても「通るんだ!」と驚いたとコメントしています。
そんなワリオのパートナーとして生み出されたワルイージですが、マリオテニス64はゲーム内にセリフやストーリーがないので、プレイヤーからすれば謎の多い存在でした。キャメロットが「ワリオと血はつながってない」というのに対し、Nintendo of Americaでは「兄弟」と紹介されたように、そもそも当初は設定自体が曖昧だったのかもしれません。
公式サイトの紹介ページによれば、他のマリオファミリーは「苦労人だけど、間が抜けているワルイージに好意的」だったらしく、思ったより悪い印象は持たれていなかったようです。
とはいえ、ルイージに強烈なライバル心を燃やしているのは間違いなく、むしろ「マリオブラザーズを破ってスーパースターの座を狙っているのかも…」と書かれている通り、ワルイージとしてはそこまで慣れ合うつもりもなかったのがうかがえます。
これだけ共通の特徴がありながら、ワリオと血のつながりがないとなれば、あくまで「マリオたちを倒す」目的のために手を組んだのであって、少なくとも旧来からの知り合いや友人だった、というわけではなさそうです。
ワリオ&ワルイージがより深掘りされたGC時代
そんなキャメロットの構想から生まれたワルイージですが、逆にいえば純粋な任天堂のキャラクターではなく、その扱いは少々複雑だったりします。マリオテニス64以降も様々なパーティゲームに参戦しながら、ワルイージ個人にスポットが当たったことはなく、『スーパーマリオ』シリーズの本編にもまだ登場していません。
一方で、キャメロットが開発したタイトルに関してはワルイージの出番も多く、特に2003年発売の『マリオゴルフ ファミリーツアー』や、2004年発売の『マリオテニスGC』においては、ワリオとワルイージの2人を軸にしたオープニングムービーが用意されていました。
どちらのオープニングにおいても、ワリオとワルイージは終始ペアとして扱われていて、マリオファミリーに勝つため闘志を燃やしています。マリオテニスGCにおいてはクッパと手を組み、過酷なトレーニングを乗り越えて立ちふさがる辺り、意外と悪知恵だけでなく努力や根性も持ち合わせていたのが印象的です。
ただ、マリオゴルフのオープニングでは、ワリオがバンカーでフルスイングしてワルイージに砂をかけ、それを受けてワルイージも露骨に機嫌を悪くしたりと、やはりどこか互いに自己中心的な考えであるのも見え隠れします。
キャメロットのインタビュー記事でも2人の関係について、「相棒だけど仲間じゃない、 助け合っていない間柄でしょうね。」と答えていて、お互い利用できるからペアで行動しているものの、あくまで各々の目的のため手を組んでいるだけ、というスタンスのようです。
ちなみに、マリオテニスGCのオープニングでマリオたちと対立していたワリオ・ワルイージペアですが、実はトーナメントモードをクリアすると「NG集」が見れて、あのオープニングのやり取りは台本のある演技だったことが明かされます。
NGシーンではマリオとルイージ、ワリオ、ワルイージに加えてクッパまで、思わぬハプニングにみんなで笑い合っていて、表向きこそライバルを演じていても、実はすでにマリオファミリーの一員として、思った以上に溶け込んでいたのかもしれません。
知名度は十分。ただ表立った活躍は未だ少なめ…
そんなワルイージはその後も様々なパーティゲームに登場し、『大乱闘スマッシュブラザーズ』のアシストフィギュア、『ドクターマリオ ワールド』のドクター、amiiboの発売など、様々な場面で見かけるようになりました。
ある意味キャメロットの看板キャラクターでもあって、スポーツ系のゲームでは個別のユニフォームが用意されたり、ビールマンスピンやムーンウォークなどアクロバットな動きをしたり、優遇されている作品も少なくありません。
一方で外伝的な作品にしか登場していない影響か、言葉遣いや性格にはちょっとずつブレがあって、特に初期タイトルにおいては語尾が「ざんす」だったり、「デイジーに片思い」していたり、どうにかキャラクターを確立しようと試行錯誤していた背景がうかがえます。
ワリオとの関係も作品によって様々で、例えば2006年発売の『スーパーマリオストライカーズ』に登場するスタジアム『アンダーグラウンドアリーナ』は、ワリオとワルイージの共同出資でつくられた施設らしく、利益につながりそうなことであれば積極的に協力していたようです。
『マリオ&ソニック』シリーズを始めとした他の作品でも、ワリオと行動を共にすることは多く、2018年発売の『マリオテニス エース』においては、2人がゾル神殿で見つけたラケットをきっかけに物語が展開していきます。
ただ、いずれもワリオがいるからこそのワルイージであり、ワルイージ個人として何か騒動のきっかけになったことはまだありません。ワリオより悪知恵が働く…というキャラクターだったのですが、ワリオも悪いことに関しては十分知恵が回るので、より突き抜けた個性がもうひとつなければ、表立った活躍を増やすのは難しい、という現実がありそうです。
兄弟に匹敵する欠かせないパートナー
というわけで今回は「ワリオとワルイージの繋がり」を中心にまとめてみたのですが、海外で掲載されていた「兄弟」という設定は今や残っておらず、互いに「マリオブラザーズを倒す」ため利用し合うパートナー、という関係性のようです。
結局どこで知り合ったのか、普段から何か繋がりはあるのか、などは未だに明かされていませんが、長い年月をかけて今や2人のコンビネーションは、マリオブラザーズにも匹敵するレベルになっています。
一方、スポーツ系のゲームにおいてはヒールとして登場しながら、その考え方は意外と実力主義で、勝つためにあらゆる手段を講じようとも、マリオたちを直接貶めることはほとんどなく、あくまで「下克上を果たす」信念に基づいているのかもしれません。
2023年までワルイージの声優を務めていたチャールズ・マーティネーさんは、ワルイージの出番が限られていることに対して「彼が主役のゲームがあっても良いと思う」とコメントしているので、いつか彼の魅力を深掘りしたタイトルが開発されないか、期待したいところです。
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