こんにちは、こんばんは、『みう太』と書いて『みうた』と申します!(Xアカウント)
マリオの悪役といえば、カメ一族を率いる大魔王『クッパ』がまず真っ先に思い浮かびますが、かつてマリオ城を乗っ取ったトレジャーハンター『ワリオ』も忘れてはならない存在で、初登場から30年以上が経った今でも(自称)ライバルとして活躍の場を広げています。
「マリオ」と「悪い」を掛け合わせたその名前の通り、自分勝手で下品な性格、「虫歯菌すら食べてしまうので虫歯にはならない」と豪語するほどで、作品によってはオナラやゲップをすることも珍しくありません。
しかし彼の強みはその恵まれたフィジカルで、1994年発売の『スーパーマリオランド3 ワリオランド』では主役に抜擢、持ち前のパワフルさを活かしてキャプテン・シロップ率いる海賊、『ブラック・シュガー団』とお宝の奪い合いを繰り広げました。
マリオには持ちえない「無敵」の打たれ強さ
今やマリオファミリーでおなじみの存在となったワリオですが、ニンテンドードリームのインタビュー記事によれば、意外にも最初のデザインはかなりいい加減に作られたらしく、「ワリオ」という名前すら「とりあえず」の仮の名前だったそうです。
そんなワリオの代表作といえば『ワリオランド』シリーズで、これまで8本もの作品がリリースされており、2025年2月14日にはNintendo Switch Onlineで『ワリオランドアドバンス ヨーキのお宝』が配信されたのも、記憶に新しいところではないかと思います。
ワリオランドは『スーパーマリオブラザーズ』と同じく2Dのアクションゲームですが、最大の特徴はワリオの「不死身ともいえる生命力の強さ」で、作品によっては全身が燃えようが落石に潰されようがミスにならず、むしろそれが謎解きに関わってくることさえありました。
アクションゲームの常識破りともいえるこのシステムは、ワリオの生みの親である清武博二さんが発案者で、それはマリオでは不可能な「不死身」をテーマにした結果だとコメントされています。
マリオより幅の広いキャラクターとして期待された『ワリオ』

まず、『ワリオランド』シリーズにおけるワリオがなぜ「不死身」ともいえるほどの能力を身に付けたのかといえば、どうやら清武さん自身アクションゲームが得意ではなく、「ミスをしても死なない不死身のキャラクターだったら楽になるんじゃないか」と思ったところから始まったそうです。
しかし不死身をテーマにしたゲームを作ろうとしても、マリオをそのまま使うわけにはいかないため、それなら「ワリオを主人公にしてみよう」という話になり、なんと初登場からわずか1年3ヶ月という短期間で主人公に大抜擢されました。
実際、1994年発売の『ワリオランド』におけるワリオは、トゲや刃物といった尖ったものに触れない限りダメージを受けず、小さな敵なら横からぶつかるだけでひっくり返せるほどのパワーを備えています。

清武さんによれば、マリオは「こうじゃなきゃいけない」という形があるのに対して、ワリオは当時まだ明確なキャラクターも定まっておらず、もっと幅の広いキャラクターになってほしいと考えていて、それが「不死身」という思い切った設定にまでつながっていたようです。
今思えば「下品・不潔・お金好き」という、マリオ作品にしてはかなりアクの強い個性を持って生まれたワリオでしたが、だからこそどんな攻撃を受けてもギャグマンガのように立ち直れたり、オナラを攻撃の手段に用いたりと、結果的にマリオでは成しえない個性にまで成長したのは間違いないと思います。
ただ、実際に初代ワリオランドをプレイしてみると、大半の敵キャラクターは何かしらの武器を持っていることが多く、ワリオに有効な攻撃も繰り出してくるので、思ったより「不死身」という印象はまだ薄かったかもしれません。

具体的に不死身の設定が生まれたのは、1998年に発売された続編『ワリオランド2 盗まれた財宝』からで、本作はワリオに体力や残機の設定がなく、攻撃を食らっても基本的には手持ちのコインをばら撒くだけなため、ゲームオーバーの概念すらありません。
また、一部の敵の攻撃を受けると紙のようにペラペラに潰れたり、ドロドロのゾンビになったり、ワリオの姿そのものを変えてしまうことがあって、それをゲーム内では「リアクション」と呼んでいました。
このリアクションはのちの作品にも引き継がれ、マリオとは違った独自性を確立し、パワフルかつタフなアクションだけでなく、意外にも頭をひねった謎解きの数々もワリオランドシリーズの魅力として根強いものになっていきます。
唯一無二の個性だからこそ、マリオと合わせにくい?

自身の看板となるタイトルを持ったワリオは、その後も『マリオカート』や『マリオパーティ』といった外伝作品だけでなく、『マリオ&ソニック オリンピック』や『いただきストリート』、更には『大乱闘スマッシュブラザーズ』などにまで活躍の場を広げました。
アクションゲームの『ワリオランド』シリーズは、2008年発売の『ワリオランドシェイク』を最後に展開が止まっていますが、一方で2003年に発売された『メイドインワリオ』シリーズは今もなお新作が発売されており、短時間で遊べるプチゲームを詰め込んだそのスタイルは、「新しいハードの説明書」という役割も担っています。
しかしスーパーマリオシリーズ本編でマリオと共演した作品は意外にも少なく、ラスボスを務めた『スーパーマリオランド2』を除けば、スーパーマリオ64のリメイク作である『スーパーマリオ64DS』くらいで、ある意味それだけ「ワリオ」というキャラクターが独立していたともいえます。

近年のマリオ作品である『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』や『スーパーマリオ 3Dワールド』などでも、マリオやルイージのみならずピーチ、キノピオ、更にはロゼッタやデイジーまでプレイアブル化しているのに対して、未だワリオがプレイアブルになったことはなく、操作できるゲームは思ったより多くありません。
これは「ワリオが平和のためにマリオたちと動く理由がない」というのもありますが、個人的にはアクションゲームにおけるワリオの独自性が強すぎるがゆえに、「スーパーマリオブラザーズ」の世界でマリオたちと足並みを揃えるのが難しいのではないか、と思います。
例えば2Dマリオでは、「3段ジャンプ」や「壁キック」などのアクションを駆使したスピーディな攻略も魅力のひとつなのに対して、ワリオランドにおけるワリオはこれらのアクションを使うことができず、システムの根本から似ているようで実はかなり異なるものだったりします。

『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』では、敵にぶつかってもダメージを受けないお助けキャラとして「ヨッシー」や「トッテン」までプレイアブル化されていますが、パワーに全振りしたワリオがその枠に当てはまるか…といえば疑問で、むしろ機動力のないワリオの存在がコースを作るうえでの制約にもなってしまいそうです。
それだけワリオランドがワリオにもたらした個性は大きく、「幅の広いキャラクターになってほしい」という清武さんの願いの通り、マリオファミリーの中でも唯一無二の能力を手にしましたが、それが結果としてマリオとの共闘を難しくしているのかもしれません。
個人的にスーパーマリオブラザーズでのプレイアブル化が難しいのであれば、悪役としてマリオと敵対した『スーパーマリオランド2』を含む、スーパーマリオランドシリーズ3部作をまとめてリメイクした作品…なんてのも面白いのではないかと思います。
現代の新しい『ワリオランド』をまた遊びたい
というわけで今回は「ワリオ生誕に関する設定秘話」を簡単に紹介してみましたが、やはり『ワリオランド』がユーザーに与えた印象は根強く、マリオではあり得ない「不死身」という特徴を与えたことで、ただ「下品な悪役」にとどまらない活躍を見せていました。
一方で近年は『メイドインワリオ』シリーズでの展開がメインになっていて、ワリオランドの新作は15年以上発売されておらず、せっかくのパワフルなアクションがあまり活かされていないのは少し残念なところです。

個人的にゲームボーイカラーで発売された『ワリオランド3 不思議なオルゴール』は、当時だけでなくNintendo Switch Online版も100%クリアするくらいやり込んだ思い出のゲームなので、やはりあの時のような「リアクション」を取り入れた冒険を現代でもう一度楽しめたらな…と思います。
とはいえ、最近ではマリオも「ゾウマリオ」や「ギガネコマリオ」といった規格外のパワーアップを見せているので、ワリオもそれに負けないくらい大きなスケールの変化が必要になってくるのかもしれません。
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