ヨッシーが初めて主役になったパズルゲーム『ヨッシーのたまご』が、ポケモンの礎にもなっていた

マリオのゲームの話

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今や『スーパーマリオ』シリーズに欠かせない存在となったヨッシーは、1990年に『スーパーマリオワールド』で初めて登場して以来、35年以上にわたりマリオの頼れるパートナーとして活躍を続けています。

ヨッシーが主人公を務める作品も数多くあり、2026年5月21日にはシリーズ最新作、『ヨッシーとフカシギの図鑑』がNintendo Switch 2向けに発売、「不思議な生き物を調査する」という、これまでとは違ったコンセプトが注目されていました。

あまりこれといった特徴のなかった『パンジーさん』も、リンゴを与えると色が変わったり、地面にヒップドロップで埋めると芽が出たり、新たな生態がいくつも見つかっていて、よりマリオの世界を深掘りできる作品になっているようです。

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ヨッシーが初めて主役を飾った『ヨッシーのたまご』

そんなヨッシーが主人公のゲームといえば、1995年発売の『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』が有名ですが、実は初めて主役を飾ったタイトルは、1991年に発売された『ヨッシーのたまご』です。

『スーパーマリオワールド』がスーパーファミコンのソフトだったのに対し、『ヨッシーのたまご』はファミコンとゲームボーイで同時発売され、当時のパズルゲームは子どもだけでなく、主婦層からも支持を集めるジャンルとして人気を博していました。

ちなみに、ルイージが1983年の『マリオブラザーズ』で初登場してから、主役作『ルイージマンション』(2001年)まで18年を要したのに対し、ヨッシーは初登場からわずか1年で主役デビューを果たしていて、これはまさに異例のスピード出世と言えます。

現在はNintendo Switch Onlineで配信されており、『ヨッシーのたまご』も気軽に遊べる環境が整っています。しかし、世界累計売上は480万本以上を記録したヒット作でありながら、直接的なリメイクや続編はこれまで出ておらず、「懐かしの名作」として扱われているようです。

今回は、そんな『ヨッシーのたまご』について、基本的な遊び方から開発秘話、当時の背景などを調べて、簡単に紹介してみたいと思います!

「たまごの欠片」がカギを握る、珍しい操作方法のパズルゲーム

『ヨッシーのたまご』は、画面上から次々と落ちてくるキャラクターのブロックを消していく、いわゆる落ち物パズルゲームに分類されます。しかし、『テトリス』や『ドクターマリオ』のような「落ちてくるものを直接操作する」方式とは大きく異なっていました。

最大の特徴は、プレイヤーがマリオを操作して下側の土台(トレー)」を動かす点で、土台は左右2列ずつを入れ替えることができ、落ちてくるブロックを受け止めながら積み上げていきます。積み上げ式のため、ブロックは横に並べて消すことはできず、同じ種類のキャラクターを縦に2つ重ねることで消去できます。

登場するブロックはクリボー、テレサ、ゲッソー、パックンフラワーの4種類のキャラクターに、たまごの欠片である「うえたまご」と「したたまご」を加えた合計6種類です。

このゲームを一躍面白くしているのが、たまごを完成させてヨッシーを生み出す仕組みです。「したたまご」の上にキャラクターを何体か積み重ね、その上から「うえたまご」で挟んで、たまごを完成させると、挟んだキャラクターを一気に消去でき、間に挟んだ数に応じてヨッシーが誕生します。

通常、キャラクターを2つ重ねただけでは5点しか入りませんが、たまごを完成させると最小でも50点、多く挟むほど大きなヨッシー(はねヨッシーなど)が生まれ、最大500点もの高得点になります。

シンプルな画面は一見地味に見えますが、土台の入れ替えとたまご作りの組み合わせがこのゲームの醍醐味で、35年以上が経った今でも他に類を見ないシステムの作品です。当時はパズルゲームがブームだったこともあり、子どもから大人まで幅広い層に遊ばれました。

ひとりでひたすらも、友達と対戦もできた「3つのモード」

『ヨッシーのたまご』には3つのゲームモードがあって、A TYPE は時間無制限でひたすらスコアを競う、いわゆるエンドレスモードです。レベルが上がるごとに落下速度が速くなり、10個以上のたまごを完成させるとボーナス画面に進むチャンスがあります。

さらに、100個以上のたまごを完成させると、右下に表示されているヨッシーが音楽に合わせて踊り出すという隠し要素もあって、当時の公式ガイドブックでは「2万点以上」を目標としていました。

B TYPE はステージクリアモードで、最初からキャラクターが積まれた状態でスタートし、すべて消し去るとクリア、レベルが上がるほど最初に積まれているブロックが増え、難易度も徐々に上がっていきます。公式ガイドブックではレベル28がひとつの目標とされていました。

そして2-PLAYER が名前の通り対戦モードで、通信ケーブルや2Pコントローラを使って友達と対戦できます。2P側はルイージを操作し、たまごを完成させると挟んだキャラクターの数に応じて相手の画面にブロックを落とす攻撃が可能です。

勝利条件は自分の場のブロックをすべて消すか、相手の場をブロックで埋め尽くすかのどちらかで、スタート時のレベルも1~5の間で選べるようになっています。一度ブロックの数が減って安定すると、少しの攻撃では揺るがなくなるので、全消しを狙ったスピード勝負がカギを握ります。

現在はNintendo Switch Onlineに加入していれば、フレンドとのオンラインプレイも気軽に楽しめるので、対戦のハードルはかなり下がっており、昔より手を出しやすい環境になっています。

ゲームフリークと任天堂を繋いだ、実は記念すべきゲーム

1990年前後は、『テトリス』や『ぷよぷよ』をはじめとした落ち物パズルゲームが大ブームとなっていました。任天堂としても、幅広い層に遊んでもらえるパズルタイトルの開発は急務となっていたそうです。

そんな中、任天堂が開発を依頼したのが、後の『ポケットモンスター』で世界的に知られることになるゲームフリークで、『ヨッシーのたまご』は、ゲームフリークにとって初めて携わった任天堂発売のソフトになります。

ゲームフリークは、田尻智を中心に1989年に設立された小さな会社で、当時は「カプセルモンスター」(後のポケモン)の企画を任天堂に持ち込んでいました。しかし、RPGの開発経験が浅かったこともあり、制作は難航、長期化により資金面で苦しい状況に陥っていました。

そこで任天堂の横井軍平がゲームフリークに声をかけ、『ヨッシーのたまご』などの案件を紹介したと言われています。この仕事を通じて、ゲームフリークは開発資金を確保するとともに、任天堂との信頼関係を築くことができました。

当初、本作はヨッシーとは無関係の普通のパズルゲームとして企画されていました。ゲームフリークが「2つの列を反転させる」というアイデアを試作したところ、CPUの処理落ちによって列がねじれ、ひっくり返るような独特の動きが偶然にも発生しました。

これを見た横井軍平は、「たまごで挟んで中からヨッシーが生まれる」というアイデアを提案し、現在のゲーム性が生まれたそうです。

また、プロトタイプの段階では「ヨッシーがエサを食べるゲーム」で、プレイヤーがエサを動かすものでしたが、横井から「土台を動かしたらどうか」とアドバイスを受け、プレイヤーが下側のトレーを操作する独自のシステムが完成しました。

『ヨッシーのたまご』は、単なるパズルゲームとしてだけでなく、ゲームフリークの歴史において重要なポジションを占めていて、この作品で得た資金と経験、そして任天堂とのつながりが、後の『ポケットモンスター』の礎になったと言っても過言ではありません。

発売中止となった幻のリメイク版『スーパーヨッシーのたまご』

『ヨッシーのたまご』は世界で480万本以上を売り上げた人気作でありながら、残念ながら直接的なリメイクや続編はこれまでほとんど発表されていません。しかし、実は過去に何度かリメイクの動きがあったことが明らかになっています。

過去の書籍によれば、ファミコン版発売後、スーパーファミコン向けに『スーパーヨッシーのたまご』が開発されていたそうです。新たな敵キャラクターやステージ、グラフィックの強化などが予定されていましたが、残念ながら製作途中で中止となり、未発売のままお蔵入りとなってしまいました。

しかし2024年8月、ゲームフリークへの不正アクセス事件による情報流出がきっかけで、2007年頃にニンテンドーDS向けに開発された『スーパーヨッシーのたまご』の試作ROMが発見されています。

※画像はファミコン版のタイトル画面

このDS版は、タイトル画面に「1995」と表示されるなど、スーパーファミコン版の要素を移植したテスト用デモだったとみられています。オリジナルに忠実なリメイク要素が含まれていましたが、あくまでテスト用のROMだったため、製品として発売されることはありませんでした。

任天堂は2003年にゲームキューブ用ソフト『NINTENDOパズルコレクション』を発売し、『ドクターマリオ』『ヨッシーのクッキー』『パネルでポン』をリメイク収録しました。しかし、この作品にも『ヨッシーのたまご』は残念ながら収録されず、リメイクの機会を逃しています。

現代で改めてリメイクされる可能性も十分残されていますが、プレイヤーが下側の土台を操作するという独自性の高さ故に、ただグラフィックを現代風に差し替えただけでは、「リメイクらしい新しさ」を出すのは少し難しいゲームでもあるのかもしれません。

地味だけど実は重要な作品だった『ヨッシーのたまご』

というわけで今回は、ヨッシーが初めて主役を務めたゲーム『ヨッシーのたまご』について、簡単に紹介してみました。

今では『ヨッシーアイランド』シリーズをはじめとした、アクションゲームの印象が強いヨッシーですが、昔は『ヨッシーのたまご』『ヨッシーのクッキー』『ヨッシーのパネポン』など、数々のパズルゲームを代表するキャラクターでもありました。

中でも『ヨッシーのたまご』は、ゲームフリークと任天堂の初めての共同作品として、開発資金や信頼関係を築き、結果的に『ポケットモンスター』誕生の礎となった可能性が高い作品で、歴史的な意義を持つ一作と言えるようです。

本作の最大の魅力は、何と言っても独自性の高いゲームシステムです。下側の土台を入れ替えながらたまごを完成させ、ヨッシーを生み出す爽快感は、他の落ち物パズルの「連鎖」とは違った楽しさがありました。「たまごの殻でキャラクターを挟んで一気に消す」というアイデアも、ヨッシーのキャラクター性もうまく表現していて、秀逸なゲームデザインだと思います。

さすがに30年以上前の作品なのでグラフィックや演出はシンプルですが、中毒性のあるルールは今遊んでも十分に面白く、Nintendo Switch Onlineに加入していれば誰でも気軽にプレイできるので、リメイクに思いを馳せながら一度プレイしてみるのも良いかもしれません。

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みう太(みうた)

長野県出身のwebデザイナー。山奥の小さな集落出身で、物理的にあまり町へ行って遊べなかったので、幼少期から暇があればゲームを遊んでいた。
特に任天堂のゲームが好きで、初めて遊んだゲームは『ヨッシーアイランド』。
ニンテンドースイッチの初報に合わせて、任天堂の最新情報を取り扱うブログ『ユウガタネコ』をオープン。その後はより独自の記事を書くように方向転換し、2025年に『マリオの知らない世界』へリニューアルした。

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