【ゼルダの伝説】自称妖精の『チンクル』はなぜ海外で嫌われているのか調べてみた

任天堂のゲーム
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こんにちは、こんばんは、『みう太』と書いて『みうた』と申します!(Xアカウント

任天堂から発売されているゲームといえば『スーパーマリオ』や『星のカービィ』など様々なタイトルが挙げられますが、長い歴史の中で魅力的なキャラクターも数多く登場しており、誰にでも『推しの1人』がいるのではないかと思います。

中でも『ゼルダの伝説』は、物語の本筋に関わらないサブキャラクターまで個性が強く、世代を跨いで高い人気を誇るキャラクターも少なくありませんでした。

今や常連となった『チンクル』の海外人気

そんな数ある『ゼルダの伝説』シリーズのキャラクターの中でも、特に圧倒的な存在感を放っていたのが、『チンクル』という謎の人物です。

彼は2000年発売の『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』で初登場し、深くシワの入った顔、少々だらしないお腹周り、そして全身緑色のタイツと、一見すれば不審者のような出で立ちをしていました。

そんな唯一無二の個性とキャラクター性を持ったチンクルは当時から賛否両論で、特に海外においては彼を嫌う声も少なくなかったようです。

日本ではチンクルが主役のゲームも発売されたり、一定の人気を博していたように思えますが、なぜ海外ではあまり受け入れられていなかったのか、今回は調べてみようと思います!

『ムジュラの仮面』が硬派なファンタジーだったからこそ

まず初登場作品の『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』は、1998年発売の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の続編的な立ち位置で、リンクはオカリナを奪ったスタルキッドを追いかけるうちに、パラレルワールドである『タルミナ』に迷い込んでしまいます。

タルミナはなんと少しずつ月が地上に近づいており、3日後には滅亡を迎える運命にありましたが、リンクは『時のオカリナ』の力で時間を巻き戻しながら、タルミナを救う方法とハイラルに帰る方法を探っていきます。

『こんどのゼルダは【こわさ】がある。』というキャッチコピーの通り、これまで以上に不気味な演出が多く、中にはキャラクターの『死』や『精神崩壊』を想起させるものまで盛り込まれていました。

それだけホラーやダークの要素が散りばめられた本作は、シリアスで硬派なファンタジーとして受け止められていて、世界の滅亡を目の当たりにしているからこそ、キャラクターの隠れた本性が面白く描かれていました。

一見普通の人間でも、後ろ暗さや腹黒さが見えるからこそ魅力的に感じるのですが、その中でチンクルは内面の描写より『全身タイツ』のインパクトが大きく、いわばビジュアルでの『出オチ』といっても過言ではありません。

リンクの暮らしていたハイラルとは違うパラレルワールドとはいえ、この奇抜な姿はシリーズにおいても異質な存在で、特に海外では『ゼルダの世界観にそぐわない』という意見が多数を占めていたようです。

実際に海外のゲームニュースサイト『IGN』では『Die,Tingle, Die! Die! Campaign(チンクル死ね!キャンペーン)』という記事が掲載され、『チンクルは死すべきか?』というアンケートでは『Yes』が100%を占めました。

記事を見るとチンクルが射殺されるコラージュ画像があり、個人的には少しやり過ぎではないかと感じるのですが、『死すべき』の投票が100%であるように、悪ノリが発展した結果とも思えるので、実際どこまで嫌われていたのかは定かではありません。

ただ、記事には『気の狂ったピエロの変人』『ゼルダの世界でもっとも嫌われている存在』などとも書かれているので、それだけゼルダの世界にいてほしくなかった…と思う人が一定数いたのも間違いなさそうです。

海外ではなじみのない『キモかわいい』文化

海外でそれだけ嫌われていたチンクルですが、そもそも前提として、じゃあ日本では大人気だったのか…と言われれば、決してそうではありません。

それでも海外に比べて受け入れられているのは、日本の文化として『気持ち悪い』の中に『かわいい』や『面白い』を見い出すからであり、『キモかわいい』という言葉の存在がそれを裏付けています。

海外でも『Ugly Cute(醜いけどかわいい)』という言葉はあるのですが、これはパグやブルドッグ、映画グレムリンのギズモなど、見た目が少し奇妙でも愛らしさがある場合に使われる言葉で、どうやら海外ではチンクルに『愛らしさ』を見い出せなかったようです。

特に西洋文化では、『気持ち悪い』と『かわいい』は明確に分かれていることが多いらしく、第一印象で『気持ち悪い』のカテゴリに入ってしまったチンクルのイメージを払拭するのはさすがに難しかったのだと思います。

2006年に発売した初の主人公作品『もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド』は、海外の展開も視野に入れ、大人のセクシーなお姉さん『ピンクル』が登場しましたが、北米では法人からダメ出しを受け、結局現在も発売されていません。

欧州では日本から1年遅れで満を持して発売されたものの、結果は玉砕だったとコメントされており、次回作『いろづきチンクルの恋のバルーントリップ』も日本のみの発売になってしまいました。

続編でも結果的には『火に油を注ぐ』ことに…?

それだけ『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』におけるチンクルはインパクトの大きいものでしたが、彼が今後もシリーズおなじみのキャラクターになるとは誰も思っておらず、むしろ『ムジュラの仮面』さえクリアすればもう会うことはない…と考えていた方も多かったのではないかと思います。

しかし2002年に発売された次回作『ゼルダの伝説 風のタクト』にもチンクルは再登場、タウラ島の牢屋に捕らわれている彼を助けてあげると、『チンクルシーバー』というアイテムをリンクに託し、自分の島へ帰っていきました。

このチンクルシーバーはストーリーのクリアに必須ではないので、いっそのことチンクルを牢屋から出さずに話を進めれば…と思うかもしれませんが、実は物語の終盤では絶対にチンクルの力を借りることになります。

というのも、本作は世界中に散らばった『トライフォースのかけら』を探し出すため『トライフォースのマップ』が必要で、これを世界で唯一解読できるのがチンクルでした。

見た目や言動の奇抜さに反してかなり有用な技術を持っているのですが、なんとこのマップを解読してもらうには1つにつき398ルピー必要で、最終的には合計3184ルピーもの大金を支払う必要があり、よりチンクルへの不満を抱いたプレイヤーも少なくないようです。

また、チンクル本人はリンクに対して『何して遊ぶ?』と問いかけるのに対し、弟たちは年中無休で肉体労働を強いられていて、この作品以降のチンクルは『がめつい』や『意地悪』な性格で描かれることも増えました。

ただ、カートゥーン風のグラフィックで描かれた『ゼルダの伝説 風のタクト』は、発売当時そもそも海外で賛否が分かれており、それも相まってチンクルへの当たりが強かった可能性はありそうです。

一方過去のインタビュー記事によれば、任天堂には『ゼルダ・サイクル』という言葉があって、これは『ゼルダはネガティブな意見も時間が経つとポジティブに変わる』という意味であり、『風のタクト』も今では多くの人に受け入れられてもらえてるとコメントしていました。

海外でこれだけ嫌われていたチンクルも、シリーズ本編のみならず『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『ゼルダ無双』にまで登場しているのを考えると、長い年月を経て少しずつポジティブな意見に変わってきているのかもしれません。

なんやかんやと残り続けるキャラクターなのかも

というわけで今回は『チンクルは海外で不人気だった』という話をまとめてみましたが、とはいえ一時期は主人公を担ったこともありますし、どれだけ悪評を集めようとも生き残り続けるキャラクターなのではないかと思います。

また、チンクルを嫌う意見が集中していたのは2000年代の前半で、ソーシャルメディアやファンコミュニティの活発になった今となっては、一種の『ゼルダのお約束』として少しずつ受け入れられているようです。

日本でもタレントの江頭2:50さんや出川哲郎さんは、かつて『抱かれたくない芸人』や『キワモノ芸人』と呼ばれていましたが、一貫したキャラクターから今や『好感度芸人』にまで変化していて、チンクルもこれに近いのかもしれません。

再び主人公に返り咲けるか…は定かではないものの、5年後、10年後も変わらず『チンクル チンクル クルリンパ!』を披露している可能性は十分に高そうです。

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