こんにちは、こんばんは、『みう太』と書いて『みうた』と申します!(Xアカウント)
1994年から始まるスーパードンキーコングシリーズの主人公、ドンキーコングの宿敵といえば、クレムリン軍の親玉であるキングクルールに他なりません。
彼は幾度となくドンキーコングの前に立ちふさがり続け、2018年には『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』についに参戦、狡猾なのにどこかコミカルな性格は、まさに「任天堂の悪役」を体現しているようです。
しかし、そんなシリーズおなじみのキングクルールは、実は作品によって設定が固まっていない部分も多く、今後はこのスマブラを基準に描かれていくのではないか…と個人的に思っています。
シリーズおなじみ、でも登場は意外と久しぶり
キングクルールの初登場作品は、1994年にスーパーファミコンで発売された『スーパードンキーコング』で、本作ではクレムリン軍を率いてコングファミリーの貯め込んだバナナを奪い、ディディーコングまでタルに閉じ込めジャングル奥地に放り捨てる悪事を働いています。
その後も『スーパードンキーコングGB』や『ドンキーコング64』などでラスボスを務め、ドンキーコングのライバルという地位を確かなものにしました。しかし、実は2007年の『ドンキーコング ジャングルクライマー』以降のシリーズ作品には登場しておらず、意外と近年は出番に恵まれていなかったようです。

2008年には『スーパーマリオスタジアム ファミリーベースボール』に登場し、マリオシリーズへの初進出を遂げましたが、これ以降のマリオ作品にはまだ登場しておらず、スマブラSPに参戦するまで実に11年もの歳月を要しています。
調べてみると『スーパーマリオ』のクッパや、『ゼルダの伝説』のガノンドロフなどと比べて作品ごとに設定が異なる部分も多かったので、今回はそんな「キングクルールの設定のブレ」について調べてみようと思います!
実は日本と海外で呼び名が統一されていない

キングクルールは任天堂のキャラクターですが、当時スーパードンキーコングを開発した『レア』はイギリスの制作会社で、キングクルールは『King K. Rool』と表記されており、実際にスマブラSPの英語版においても発音は「キング・ク・ルール」になっています。
しかし、日本では初登場時から「キングクルール」と表記されていて、途中で区切るような呼び方は意識されていませんでした。スマブラSPのアナウンスもそのまま「キングクルール」と発音しているので、海外とは呼び名が微妙に異なります。
海外ではクッパが『Bowser(バウザー)』だったり、キノピオが『Toad(トード)』だったりと、呼び名が違うことも珍しくはありませんが、1999年に発売された『ドンキーコング64』に限っては日本版でも「キング・ク・ルール」と表示されている場面があり、その表記にはまだブレがあったようです。
セリフが未だ少なく、一人称も安定していない

スーパードンキーコングシリーズは歴史が長く、これまでにも様々なタイトルがリリースされてきましたが、その多くはアクションゲームで、キャラクターのセリフとなるテキスト量は総じて控えめでした。
それもあってか、任天堂の中でもしゃべり方の定まっていないキャラクターは意外と多く、作品によってキングクルールも「俺様」「ワシ」「我輩」と一人称がバラバラだったりします。
一人称に関していえば、例えばクッパも当初は「おれさま」や「ワシ」を主に使っていましたが、1996年発売の『スーパーマリオRPG』以降は「ワガハイ」で統一されており、今や多くのユーザーにとってなじみ深いものになっています。
スーパーマリオRPGに匹敵…とまではいかずとも、キングクルールもこれまでのタイトルで何か印象的なセリフを残していれば、一人称ももう少し根付いていたのかもしれません。
その肩書はクレムリン軍団の王?それともボス?

ゲームに登場する悪役、ひいてはボスともなれば「肩書」が用意されていることも多く、例えばクッパなら「大魔王」、デデデなら「大王」と、そのキャラクターの立場を端的に表す言葉が名前に付いています。
キングクルールはその肩書もイマイチ定まっておらず、ドンキーコング64では「クレムリン軍団の王」と呼ばれていましたが、『ぶらぶらドンキー』や『ジャングルクライマー』では「ボス」、『たるジェットレース』では「総帥」と呼ばれていました。
キングクルールという名前からは「王」がもっとも分かりやすいですが、スマブラSPにおいても「総帥」と紹介されているので、今後はどの作品でも総帥という肩書に統一されるのではないかと思います。

ちなみに意味としてはどれも大差ありませんが、総帥は「ボス」や「親玉」よりフォーマルかつ権威が強調された言葉で、規模の大きな組織のトップに対して使われることが多い肩書です。
かつてのクレムリン軍は盗賊のような「荒くれ者集団」なイメージでしたが、総帥という言葉が使われるのであれば、長い歴史の中で少しずつ成長を重ね、いつの間にか立派な軍隊と呼べる規模にまで発展していたのかもしれません。
キャプテンクルールはキングクルールと同一人物?

ドンキーコングと敵対したクレムリンといえば、スーパードンキーコング2では海賊の姿をした『キャプテンクルール』が、スーパードンキーコング3では科学者の姿をした『バロンクルール』がラスボスとして登場しています。
彼らは名前こそ違いますが、キングクルールが扮した同一人物とされていて、かつてはレアの公式サイトでも3人並んだ画像に「クルールの持つ多くの顔」というタイトルが付けられていました。
ところが、2008年に発売された『大乱闘スマッシュブラザーズX』のフィギュアにおいては、キャプテンクルールは「キングクルールの兄」と説明されていて、その設定に食い違いが見られます。

ゲームデザインを担当したグレッグ・メイレスさんは、Twitterにてキングクルールとキャプテンクルールの兄弟説を否定し、バロンクルールも含めて同一のクレムリンであることを改めて明言しました。
スマブラSPでも、キングクルールの通常必殺技はキャプテンクルールを彷彿とさせるラッパ銃での砲撃になっているので、やはりスマブラDXでの兄弟説は誤りであり、同一人物という設定を反映させたものになっているようです。
キングクルールの弟も日本と海外で違う関係性に

そんなキングクルールにも兄弟がいて、ドンキーコング64では弟の『クランジー』が登場しました。彼は他のクレムリンとは比べ物にならないほどの巨体で、さながら怪獣のようですが、悪事を好まない心優しい性格をしています。
キングクルールの弟という説明は、任天堂の公式サイトにも記載されていますが、海外では血縁関係が明言されておらず、あくまでクレムリン軍団の手下のひとりとして扱われているようです。
似たような例としては、スーパーマリオシリーズに登場する7人のコクッパが挙げられて、彼らも当初はクッパの子供と紹介されていました。しかしクッパJr.が登場するとその関係も変化し、現在コクッパは『クッパ7人衆』という呼び名で、クッパの優秀な部下という扱いになっています。

ただ、クランジーは設定が変化したのではなく、日本と海外で明確に立場が違うので、今後はどちらに合わせて扱うのか、そもそもクランジーというキャラクターが今後も登場するのかは気になるところです。
ちなみにスーパードンキーコング3では、バロンクルールが妻の存在をほのめかすセリフを発しますが、実際に妻らしき人物は今のところどのゲームにも登場していません。
また、レアの旧公式サイトでもバロンクルールの妻については「開発の我々も妻がいるかは知らない」と回答していて、イギリスのコメディ番組『The Smell of Reeves and Mortimer』をパロディしたジョークだったらしく、今後あまり表には出てこない要素のようです。
今後のキングクルールは「しっぽ」がデフォルトに?

キングクルールを始めとしたクレムリン軍団の大半は、ワニをモチーフにしたキャラクターなので、大きな口や鋭いキバ、長いしっぽなどが特徴になっています。
しかし1999年から放送されていた3Dアニメ版ドンキーコングでは、3Dの動きの作業量を減らすためにキングクルールから尻尾がなくなり、その影響もあってか、その後しっぽのあるゲームとないゲームが混在しています。
具体的にいえば、レアの開発したタイトルのキングクルールはしっぽが生えていますが、ファミリーベースボールなど外部のスタジオが開発した作品ではしっぽが生えておらず、後年になるほど「しっぽのないキングクルール」がスタンダードになっていたようです。
ところが、およそ10年ぶりに復活を果たしたスマブラSPのキングクルールにはしっぽが生えていて、もしこのデザインが広く知れ渡ったのであれば、今後は本編においてもしっぽ付きのキングクルールが登場するかもしれません。
スマブラのデザインが今後の指標になるかも
というわけで今回は、ドンキーコングのライバルであるキングクルールについて、今ひとつ固まっていない設定についてまとめてみましたが、スマブラへの参戦は今後の作品への大きな指標になるのではないかと思いました。
少なくとも「キャプテンクルールと同一人物なのか?」「しっぽは生えているのか?」といった部分で悩むことは減り、より高い解像度でボスとしても出しやすくなりそうです。

一方で性格に関してはまだ不明瞭な部分も多く、スマブラではコミカルな動きが目立ちますが、スーパードンキーコングでは勝つために「死んだふり」など手段を選ばなかったり、ドンキーコング64では逃げ出した部下を容赦なく処刑したり、冷酷な一面も持ち合わせているので、次はどのよう性格で描かれるのかは注目したいところです。
やはりスマブラのイメージを踏襲すると、近年のクッパやデデデ大王のような憎めないキャラクターになりそうですが、「クルール」という名前は「残忍な」という意味を持つ英単語「Cruel」から取っているとのことなので、本来はもっとラスボスらしい純粋な悪を目指していたのかもしれません。
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