『スプラトゥーン3』に登場するフデの元ネタとなった3人の画家について調べてみた

任天堂のゲーム
広告

どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

2023年6月から開幕が予定されている『Splatoon3(スプラトゥーン3)』の『2023夏 Sizzle Season』ですが、予告映像によると新ステージや新ブキも複数追加されるようで、私もどのような使い心地なのか気になるところです。

先日は新ブキ『S-BLAST92』のモデルになった『スーパースコープ』について簡単に調べてみましたが、こういった遊び心の見えるのがスプラトゥーンの面白いところだと思います。

偉大な画家の名前を冠した『フデ』ブキ

新シーズンではまったく新しいブキが2種類追加されますが、フデ系統の新ブキ『フィンセント』も大きな話題を集めていて、機動力と射程を兼ね備えた性能はなかなか強力なのではないかと思います。

サブウェポンが『カーリングボム』、スペシャルウェポンが『ホップソナー』なのも相まって、地上戦においては無類の強さを発揮する…かもしれません。

フデは初代『スプラトゥーン』から実装されているカテゴリではあるものの、現在まで『パブロ』と『ホクサイ』の2種類しか実装されていなかったので、フィンセントの登場はまさに待望のものでした。

フデ系統の武器には、それぞれ歴史に名を残す偉大な画家の名前が付けられているのですが、私もその名前を聞いたことはあれど詳しく知らなかったので、今回はこの機会に調べてみようと思います!

生涯でもっとも多くの美術品を作った『パブロ・ピカソ』

まずフデ系統のブキで代表的なものといえば『パブロ』ですが、こちらは初代『スプラトゥーン』の発売からわずか9日後に追加され、当時はローラーの亜種として紹介されていました。

『キャンバス社』というスプラトゥーンの世界における画材メーカーが作ったブキで、持ち手の部分に絵の具チューブのようなインクタンクが取り付けられているのが特徴的です。

名前のモデルはスペイン生まれの画家『パブロ・ピカソ』で、彼は8歳という若さで初めて油彩を描き、その才能を目の当たりにした父親はのちに画材をすべて譲り渡し、自らは絵を描くのをやめたといわれています。

一般的にはパブロ・ピカソという名前が広まっていますが、フルネームは『パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・シプリアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ』と非常に長く、これは父や母、父方の祖父、母方の祖父、代父といった縁者の名前を含むスペインの文化が影響しているそうです。

ピカソの特徴は年代によって作風が大きく異なることと、その制作スピードの早さが挙げられて、1ヶ月猶予のあった美術学校の入学制作をわずか1日(あるいは1週間)で描き上げた…という逸話はその最たるものだと思います。

91歳で亡くなる前年まで創作活動を続けており、生涯でおよそ1万3500点もの油絵とデッサン、3万4000点の挿絵、10万点の版画、300点の彫刻と陶器を制作していて、もっとも多作な美術家としてギネスブックにも記録されています。

ゲルニカ:引用-西洋絵画美術館

作風が目まぐるしく変化したことから時期によって『青の時代』や『薔薇色の時代』など様々な呼ばれ方をしていますが、中でも有名なのが『キュビスムの時代』と呼ばれるもので、これはいろいろな角度から見た1つのものを一画面に収めた絵画のことです。

ピカソの人物画などに対して時に『子供の落書きみたい』と言われることもあるのは、本来1つの視点から描かれるハズである人物を、1枚の絵に多角的に収めようとしているのが理由にあります。

ちなみにピカソは絵画創作の多くにおいて、まず何もないキャンバスに1本の線を引くところから始まるらしく、スプラトゥーンにでも真っ先にステージに1本の線を引いていく姿はパブロにピッタリの名前なのかもしれません。

絵にすべてを捧げた世界的な浮世絵師『葛飾北斎』

初代『スプラトゥーン』にパブロが追加されてからおよそ1ヶ月半後、インク効率が悪い代わりに攻撃力や射程に優れた『ホクサイ』が追加され、こちらも近距離戦において高い性能を誇っています。

『スプラトゥーン2』における『ヒーローブラシ』はこちらがベースになっているので、フデ系統のスタンダードと呼べる存在でもあり、『スプラトゥーン3』ではパブロより先に解放されるようになりました。

モデルは日本の浮世絵師『葛飾北斎』で、人物画や花鳥画、名所絵、さらには春画などまで幅広い浮世絵を手掛けており、その作品数は生涯で3万点にも及ぶといわれています。

中でも版画集『富嶽三十六景』は世界的に有名で、激しくうねる高波を描いた『神奈川沖浪裏』はまるで写真のように一瞬を正確に切り抜いており、日本のみならず西欧の画家にも多大な影響を与えたそうです。

その人生はまさに絵につぎ込まれていて、75歳の時点で『70歳より前に描いた絵はつまらんものだったが、73歳の頃には生き物や草木を描くコツが分かってきた。100歳の頃には神に近づき、その後描く点は命を帯びるだろう。』と、生涯をかけて絵を極めようとしていました。

90歳という長寿をまっとうしましたが、死の間際には『あと5年だけ寿命をいただければ私は本当の絵が描けるのだ』と言い残し、その絵に対する熱意は計り知れないものがあります。

神奈川沖浪裏:引用-Wikipedia

一方で絵以外のことに関しては無頓着で、部屋が荒れたり汚れたりするたびに引っ越すので転居の回数は93回にも上り、室内は食べ物の包みなどが散乱、9月下旬から4月頃まではコタツから決して出なかったそうです。

また、類稀なる才能を持ちながら常に貧乏だったらしく、これはお金に執着がないからこそ報酬も包みを解かず放置し、米屋や薪屋が来ると金額も数えずに包みごと投げつけて渡していたといわれています。

ちなみにスプラトゥーンのホクサイには持ち手に墨壺の装飾があり、タコのモチーフが入っていますが、これは有名な春画『蛸と海女』が元ネタになっているのかもしれません。

死後に評価を上げた炎の画家『フィンセント・ファン・ゴッホ』

『2023夏 Sizzle Season』から追加される『フィンセント』は、これまでのフデに比べると扇状の穂先をしていて、見たところホクサイ以上に振るのが遅い代わりに射程が長いようです。

名前の由来はオランダの画家『フィンセント・ファン・ゴッホ』で、この特徴的なフデの形は恐らく魚のヒレ(フィン)にもかけているのではないかと思います。

ゴッホといえば『ひまわり』の絵が非常に有名ですが、商会に勤めるも解雇されたり、聖職者を目指して神学部の受験勉強をするも挫折したり、紆余曲折を経て本格的に絵を勉強したのは27歳になってからだったそうです。

ゴッホの創作活動はわずか10年にも満たず、油絵や水彩画など合わせて2100点もの作品を残しましたが、生前に売れた絵は『赤い葡萄畑』の1枚だけだったらしく、死後に親族が展覧会を繰り返したことで徐々に人気を高めました。

いくら絵を描いても成果が上がらず、追いつめられると精神的に不安定になることも多かったので、共同生活していた友人のゴーギャンとも衝突し、自らの耳を切り落として娼館で働く19歳の少女に『君は僕を忘れないでくれるね。』と手渡した事件も記録されています。

晩年は精神を安定させるため療養生活をしていましたが、1890年に彼は自らの胸を拳銃で撃ち抜き、37歳という若さでこの世を去りました

ひまわり:引用-SOMPO美術館

この短くも鮮烈な生き方から『炎の人』『炎の画家』などと呼ばれるようになり、彼を題材にした映像作品は100本にも及ぶらしく、その影響もあって『狂気の天才画家』『浮世絵離れした感性の芸術家』という印象がより広まっているようです。

ゴッホは葛飾北斎を始めとした日本の浮世絵にも強く興味を持っていて、収集や模写をするだけでなく、代表作『タンギー爺さん』の背景には浮世絵がいくつか描き込まれています。

ピカソ、葛飾北斎も速筆で知られていますが、ゴッホは晩年の5年間でほとんどの作品を描き上げていて、単純計算すると1日1枚以上の絵を完成させていることになり…そのスピードはまさに常軌を逸しています。

3人とも『早描き』の名人なのは偶然?

というわけで今回は『スプラトゥーン』に登場する『フデ』系統のブキについて、名前のモチーフになっている偉人を簡単に紹介してみましたが…、正直この数千文字の記事ではまとめきれないほどの歴史や逸話を持っているので、あくまで興味のきっかけ程度になれば幸いです。

調べてみると3人ともまさに芸術に憑りつかれたような人物で、絵を描くのが異様に早いのですが、スプラトゥーンの『連打で素早くフデを振れる』というコンセプトと合わせている…のかもしれません。

フィンセントの登場はホクサイから数えると8年がかりの新ブキで、今後のアップデートでもう1種くらい追加される可能性も十分あり得ると思います。

個人的に速筆の偉人といえば、絵画ではありませんが漫画家の『手塚治虫』が真っ先に浮かぶので、つけペンのような『オサム』なんてブキがあったら面白いな…なんて思う今日この頃です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました