こんにちは、こんばんは、『みう太』と書いて『みうた』と申します!(Xアカウント)
1985年にファミコンで発売された『スーパーマリオブラザーズ』は、世界でもっとも売れたゲームソフトとしてギネスにも認定されていて、バラエティ豊かなステージ構成や豊富なアクションは、後世のゲームにも大きな影響を与えました。
当時の社長である山内博さんも「これはすごいね。地上と、空の上と、水中さえ行くことができる。こりゃ、みんな驚くだろうね」と太鼓判を押すほどで、40年近く経った今でも十分楽しく遊べる完成度の高さは、ファミコン40周年企画の国民投票「ファミコンといえば?」でも、49.7%もの得票率で本作が1位に輝いています。
そんなスーパーマリオブラザーズの面白さを引き立てている魅力といえば、ワールドに合わせた様々な敵キャラクターも挙げられるのですが、一筋縄では倒せない強敵も当時からすでに存在しており、中でも行動の限られる水中の敵『ゲッソー』は苦手な方も多かったのではないかと思います。
※この記事は2019年10月4日に公開した記事を再構築したものです。
もはや陸海空を問わずに活躍できるゲッソー
そんなクッパ軍団の海の手下『ゲッソー』は、『スーパーマリオブラザーズ』の取扱説明書でも「しつこくマリオを追い回す見張り役」と紹介されていて、実際にマリオを見つけるとフヨフヨと漂うように接近してきます。
この斜めにスライドするようなゲッソーの動きが、慣れていないプレイヤーには見極めにくく、ファイアマリオでなければ簡単には倒せないのもあって、まさに「出会いたくない敵」の上位といえる存在でした。

そんなゲッソーはその後も活躍の場を増やし続け、「水中ステージといえばゲッソー」といっても差し支えないほどの知名度になりましたが、なんと近年では『マリオパーティ』や『マリオテニス』にまで参戦していて、水中のみならず地上や空中に出てくる作品もしばしば見られます。
そこで今回はそんなゲッソーの歴史を振り返りながら、「いつから水の外にも出てくるようになったのか」を調べてまとめてみようと思います!
バグから生まれた?空を平然と漂う『空中ゲッソー』

ゲッソーが初めて水から出てきたのは意外にもかなり昔の話で、初登場作品の『スーパーマリオブラザーズ』からわずか1年後、続編の『スーパーマリオブラザーズ2』では、早くも空中を浮遊しながら動く『空中ゲッソー』が登場しています。
動きは水中のゲッソーとまったく同じで、ファイアボールがなくとも踏みつければ倒せる敵ではあるのですが、不規則かつ素早い動きは捉えるのが難しく、下手に手を出して返り討ちにあってしまった方も少なくないようです。
スーパーマリオブラザーズ2は、基本的に前作のルールやアクションを再利用して作られた「マイナーチェンジ版」とも呼べる作品で、意図的に難易度も高く設定されており、空中ゲッソーはそんな高難易度化に伴って生み出された新たな敵キャラクター、ということになります。

これまで水中に生息していたゲッソーがなぜ空中に存在するのかは、当時の取扱説明書を見てもまったく記載されておらず、プレイヤーからすれば「実は空も飛べる生物だった」と認識を改めるしかありません。
しかしこの空中ゲッソーは、実は前作『スーパーマリオブラザーズ』でも見ることができて、そのためには「256W」や「アンダーカバー」と呼ばれるバグ技を使い、隠されたステージを呼び出す必要がありました。
表向きは「隠されたステージ」としていますが、実際は特殊な操作をすることでコースを読み込むための進数を狂わせ、本来あり得ないハズのルームを呼び出す行為で、後に任天堂も「ファミコンやカセットを壊す可能性がある」と警告を出している、危険なバグ技です。

それでも「隠されたステージが遊べるバグ」という見出しは、当時のユーザーの興味を引くのに十分な魅力を持っていて、ゲーム雑誌を始めとしたメディアでもたびたび取り上げられ、実際に「ファミコンが壊れた」という問い合わせも多く寄せられたそうです。
そんな256Wで遊べるステージは、あらゆる要素がツギハギで作られたような支離滅裂なもので、「真っ暗で何も表示されない」「開始と同時にタイムアップになる」といったクリア不可のステージも珍しくなく、様々な要素がランダムで取り入れられているからこそ、地上ステージにゲッソーが表示されることもありました。
このバグから生まれた空中ゲッソーが『スーパーマリオブラザーズ2』に引き継がれた…とは言い切れませんが、本作には256Wを彷彿とさせる公式の隠しステージ「ワールド9」が存在するので、少なからず影響力はあったのではないかと思います。
これまでとは違う風貌で陸に出てきた『スーパーマリオサンシャイン』

1996年に『スーパーマリオ64』が発売されると、新たに広い世界を自由に探索できる「3Dマリオ」がシリーズ化し、ゲッソーも2002年発売の『スーパーマリオサンシャイン』にてマリオの前に立ちふさがりました。
しかし本作のゲッソーはこれまでの作品と見た目が少し違い、水中や空中をフヨフヨと漂うのではなく、長い触手を使って地面を這うように移動し、突き出た口からスミを吐いて攻撃してきます。
そして何より印象的なのは、港町リコハーバーのコンテナに潜んでいた親玉『ボスゲッソー』で、マリオの何倍もあろうかという巨体からムチのように繰り出される触手の攻撃は、その速さと勢いからもかなりのパワーを秘めているのが分かります。

通常のゲッソーと違い、マリオがジャンプで踏みつけてもダメージを与えることはできないのに対して、こちらに伸ばしてきた触手は無防備であり、掴んで引っ張れば思いのほか簡単にちぎることが可能です。
これまでのゲッソーは短い手足で動き回る姿が可愛らしかったですが、ボスゲッソーは可愛いだけでなく「不気味さ」も併せ持ったデザインをしていて、何より引きちぎったボスゲッソーの触手が地面を跳ねまわる様子は、当時驚いた方も多かったのではないかと思います。
同じくスーパーマリオサンシャインで初登場した『クッパJr.』や『ボスパックン』に比べると、ボスゲッソーの出番は少々控えめですが、近年でも『マリオテニス エース』などではストーリーモードのボスとして登場しているので、今後もたびたび見かける機会はありそうです。

ただ後の作品と並べてみると、ボスゲッソーというキャラクターがこの姿で定着したのに対し、普通のゲッソーはやはりイメージと違ったのか元のデザインに戻され、スーパーマリオサンシャインのゲッソーだけかなり異質なビジュアルをしているのが目立ちます。
『ゼルダの伝説』シリーズには、同じ名前ながら姿の違う『海のゾーラ』と『川のゾーラ』が存在しましたが、もしかしたらゲッソーも『水中のゲッソー』と『陸のゲッソー』で分かれる可能性があったのかもしれません。
しかし冷静に考えてみれば、そもそもイカが地上を移動するのであれば「空に浮かぶ」より「地を這う」のが普通で、結局「リアリティ」より「ゲッソーらしさ」が優先されて描かれるようになったのは面白いところです。
意外とどこにでも行けることが分かった『ペーパーマリオ』

今やおなじみとなった『ペーパーマリオ』シリーズの原点といえば、『スーパーマリオRPG』の後継作として2000年に発売された『マリオストーリー』で、本作にもゲッソーは中ボスとして登場しており、キノコタウンの下水道にてマリオの行く手を遮りました。
本来イカは海に生息しているものなのですが、ゲッソーといえど川どころか下水道に住み着いているケースは珍しく、その体の大きさからしても、なかなかたくましい生命力を持っているのではないかと思います。
2004年に発売された続編『ペーパーマリオRPG』でも、ゲッソーはゴロツキタウンの地下に潜んでいて、画面に収まりきらないほどの巨体で天井に貼り付き触手を伸ばしてくる、まるでダイオウイカのような姿にまで成長していました。

そんなペーパーマリオシリーズの魅力といえば、マリオを助けてくれるバラエティ豊かな仲間たちの存在で、『クリスチーヌ』や『ビビアン』など未だ根強い人気を持ったキャラクターも少なくありません。
残念ながらゲッソーが仲間になる作品はないものの、『ペーパーマリオRPG』ではルイージも独自の冒険をしていたらしく、『キック』という名前のゲッソーと共にゴロゴロ火山に赴いて、巨大な石像の怪物を打ち倒した話を聞かせてくれます。
実際はルイージがキックを投げようとしたときに躓き、誤って溶岩に落としてしまったため、それを深く恨んだキックは「ルイージがもっとひどい目に合うのを見届けたい」と同行しているのですが、そもそもゲッソーが灼熱の火山まで行けることに驚きです。

ただ、クリスチーヌによれば「陸でも平気な珍しいゲッソー」とコメントしているので、やはり通常のゲッソーは水辺を離れられないらしく、マリオの世界においてもかなり特別なゲッソーだったのかもしれません。
しかしその経緯はともかく、ゲッソーが仲間として付いてくるのはなかなか魅力的で、劇中作として語られる『スーパールイージ』の冒険も追体験してみたいところです。
2024年5月にはニンテンドースイッチ向けにリメイクされた『ペーパーマリオRPG』が発売されましたが、DLCやスピンオフ作品としていつか『ペーパールイージRPG』が発売されたら…、それはそれでなかなか面白いのではないかと思います。
実は何度か参戦の経験がある『スポーツゲーム』

2018年に発売された『マリオテニス エース』では、追加のアップデート要素としてゲッソーが参戦し、当時大きな話題を集めました。パワーに優れるわけではありませんが、大きく曲がるスピンを持ち味にしたトリッキータイプで、トップスピンのスピンの強さは、なんと全キャラクター中でも1位です。
これまでの作品を踏まえれば、コート上でもゆったりと空中を漂っているのかな…?と思いきや、実際はその短い足で懸命にコートを走り回っていて、ここまでアグレッシブなゲッソーは過去にも例がありませんでした。
コートへの入場シーンでは、水バケツに浸かったままジュゲムに運ばれてきて、試合中も体から常に水しぶきを上げているので、十分に保水さえしていれば、陸上での活動も少なからず可能だったのかもしれません。

そんなまさかの参戦を遂げたゲッソーですが、実はスポーツゲームに挑戦したのはこれが初めてではなく、2008年にWiiで発売された『スーパーマリオスタジアム ファミリーベースボール』でも、スローボールとチェンジアップを武器にマウンドに立っています。
特別パラメータが高いわけではありませんが、意外にも欠点のないオールラウンダーな能力を持っていて、バットを構えて打席に立つ(浮く)姿は何ともいえないシュールさがあります。
ただ、当時はまだマリオテニスのように地上を歩くのではなく、どちらかといえば空中ゲッソーをベースにしているようで、三振したときは原作さながらギザギザと斜めに飛んでいくような、独特の挙動でバッターボックスから離れていきました。

また、スポーツゲームではありませんが、2007年には『マリオパーティ8』にもプレイアブルキャラクターとして参戦していて、おなじみのマリオファミリーたちとミニゲームを交えながら、熾烈なスター争奪戦を繰り広げました。
『マリオパーティ8』はWiiリモコンを使ったミニゲームが多かったので、過去のシリーズに比べると直接的にパンチやヒップドロップで戦うゲームは控えめでしたが、代わりに水上スキーやスノーボード、綱渡りなどなど、「これがゲッソーにできるの…?」と思えるほど多種多様なアクションに挑戦しています。
近年のマリオパーティにも『ガボン』や『ハックン』など、意外性の強いキャラクターがたびたび参戦しているので、いつか再びゲッソーもプレイアブル化されたら個人的には嬉しいところです。
ただの「見張り役」には収まらない活躍
というわけで今回は、スーパーマリオシリーズの水中ステージに欠かせない敵キャラクター『ゲッソー』について、その活躍の歴史を簡単に紹介してみました。
当初は「海の見張り役」という地味な設定しかなかったハズですが、初登場からわずか1年で空を漂う「空中ゲッソー」に進化し、そのまま陸上で活動するどころかスポーツにまで興じる個体が出てきたのは、いろいろな意味で大躍進といえそうです。

まだまだパーティゲームへの出番はこれからといったところですが、地上でも問題なく行動できる描写が定着すれば、今後はもしかしたら『マリオカート』や『マリオゴルフ』といったシリーズにも参戦してくるかもしれません。
他のキャラクターと比べて喜怒哀楽がほとんど表情に出ない分、動きでのリアクションは意外と大きくて可愛かったりもするので、そんな機会がどんどん増えることを期待したい今日この頃です。
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