スマブラの細かい作り込みは64時代から続くクリエイターのこだわりだった

任天堂のゲーム
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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

2018年12月8日にNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)で発売された『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』ですが、つい先日早くも4周年を迎え、Twitterなどでを中心に大きな盛り上げを見せました。

私も未だに遊び続けていて、最近では『パックマン』のトリッキーな戦い方が面白いなぁ…とオンラインでも使っているところです。

最後のDLCだったソラの参戦も1年以上前のことと考えると時の流れの早さを感じますが…今後も『スプラトゥーン3』などと併せて遊び続けていきたいと思います。

細かなところまで作り込まれたスマブラシリーズ

そんな『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』は大人数でワイワイ遊べる楽しいパーティゲームが根本ですが、参戦しているファイターや遊べるステージ、さらにはアイテムやアシストフィギュアなどなど…非常に多くの要素が登場しています。

『マリオ』1人を取ってもファイアボールやポンプによる攻撃、アピールしたときの帽子投げ、ステージに入場したときのドカンからのジャンプ…原作を意識したモーションは非常に細かく、その作り込みはかなりのクオリティです。

中でもDLCで参戦を果たした『ペルソナ5』のジョーカーの勝利画面や、『キングダム ハーツ』のソラの『最後の切りふだ』などの再現度の高さは相当で、配信前から大きな話題を呼びました。

ゲームはプラットフォームのスペックが上がれば上がるだけ作り込める余地も増え、ゲーム機本体がニンテンドースイッチになったことでより進化を遂げた…という側面もありますが、1999年のインタビュー記事を読むとこの細かな作り込みは初代『大乱闘スマッシュブラザーズ』から意識されていたようです。

当時のインタビュー記事はこちら

そこで今回は歴代のスマッシュブラザーズを追いながら、どのような作り込み方がされてきたのかを簡単に紹介してみようと思います!

限られた制約の中でも目まで描き込みたい初代スマブラ

1999年1月にNINTENDO64で発売された初代『大乱闘スマッシュブラザーズ』は、マリオやカービィといった任天堂の人気キャラクターが共演することで話題になり、総勢12人ものキャラクターを操作可能でした。

現在から考えると少なく感じるかもしれませんが、友達と4人同時に楽しめる対戦格闘ゲームは当時としても珍しく、発売してからじわじわと評価を上げていきました。

しかしNINTENDO64で4人分のキャラクターをよどみなく動かすにはかなり切り詰める必要があったらしく、キャラクター1人につき200ポリゴン程度しか使う余裕もなかったそうです。

当時発売されていた『ポケモンスタジアム』ではポケモン1体につき600~1200ポリゴン使われていたそうなので、比べるとスマブラはかなり少なく、フレームレートを落とさず多くのキャラクターを動かすのには相当な苦労がうかがえます。

4人対戦のことを考えて1画面のポリゴン数を1000程度に抑えるには、1キャラクターあたりを200ポリゴン、背景を150ポリゴンと非常に厳しい制約での制作になり、どうしてもキャラクターの足が三角形になってしまったり、ステージの飾りが少なくなってしまったりと心残りもあったそうです。

キャラクターの表情を作るテクスチャなども容量を抑えるため小さく作らなければならず、チーフデザイナーの若山さんはもう少し大きな絵を使いたいというと、処理を軽くしたいプログラマーは『そんなに細かく描かなくても誰も分からないよ』といわれたり、当時のやり取りを明かしています。

初代スマブラはネスの『PKサンダー』などがキャラクターに当たると電気でしびれ、体の中の骨が透けて見えるような演出がありましたが、これもプログラマーには無駄だといわれたものの1つだったそうです。

しかしそんな限られた制約の中でも演出にはこだわっていて、例えばステージの『ハイラル城』は任天堂から資料をもらっていたものの、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が発売される前から作っていたステージで、実際に発売された時のオカリナを見て『こんなに綺麗だったんだ!』と驚き、お城の見え方や背景の山の位置までそれを見ながら作り直されました

さらにスマブラのハイラル城は時間設定が朝なのですが、実際の時のオカリナとは朝日の登る方角が違っていたことに気づき、細かな部分ですがここもこだわりを持って直したとインタビューで答えています。

とにかく『スマブラのパワーアップ』を重ねたDXとX

2001年にはニンテンドーゲームキューブが発売され、同年の11月にはスマブラ2作目に当たる『大乱闘スマッシュブラザーズDX』が発売されました。

桜井さんが運営しているYouTubeチャンネル『桜井政博のゲームを作るには』ではスマブラDXの企画について紹介していて、そこでも『スマブラを飛躍的にパワーアップさせる』ことがコンセプトだとコメントしています。

操作できるファイターの数はもちろん、グラフィックの向上にモーションの作り込み、エフェクト、アイテムの種類なども大幅に進化し、画面を見比べればそのパワーアップは一目瞭然です。

開発中はファイターもせいぜい16体くらいが関の山だろう…と桜井さんも思っていましたが、最終的には基本ファイター14体、隠しファイター5体に加えて『モデル変えファイター』が6体存在しています。

モデル変えファイターは『ユーザーはより多くのファイター参戦を望んでいる』という考えのもとで発案され、必殺技とモーションを同じにすることで制作時間を節約、『ある』か『ない』であれば『ある』方が良いだろうと無理を通して参戦が実現しました。

当時の参考記事はこちら

そして2008年にWiiで発売された『大乱闘スマッシュブラザーズX』からスマブラのパワーアップは加速し、ファイターごとに用意されている『最後の切りふだ』、プレイヤーの手助けをしてくれる『アシストフィギュア』なども初めて導入されました。

このころから『スマブラは未来永劫続いていくシリーズではないだろう』と考え、ベストなものを作るとしたらどうなるか、すべてを総動員させられるラストチャンスだとしたらユーザーにとって何が嬉しいかを考えて制作したと語られています。

当時の社長が訊くはこちら

音楽も1つのステージにつき複数の曲が実装されたことで『オレ曲セレクト』が導入されましたが、そのBGMの数は膨大で、契約や知財管理をしている部署によると『これ1本で普通のソフト30本分』にも及んでいたそうです。

そしてスマブラXにおける目玉がひとり用モード『亜空の使者』で、これはスマブラDXのときに『ストーリーが欲しい』という意見を多くもらい、『オールスターの贅沢』をより味わえるように別のゲームを1本作る勢いで導入されました。

桜井さんも『ちからわざを選びました』というほど無茶をしたそうですが、キャラクターの動きが共通していても走る速度などはひとり用モードに合わせてすべて調整されていたり、その作り込みは相当なものになっています。

亜空の使者では基本的にキャラクターがしゃべらず、物語を理解するには分かりにくい…など不満点も少なくありませんが、ボスパックンやレックウザといった巨大なボスと戦ったり非常に強い独自性を持っていました。

より細かなところまで作り込まれる『for』と『SPECIAL』

そして2014年には『大乱闘スマッシュブラザーズ for 3DS / Wii U』が発売され、Wii U版はシリーズ初のHD画質に対応したこともあって非常に細やかな作り込みがされています。

グラフィックや演出などはもちろんですが、本作から新ファイターの参戦PVも作られるようになって、歴代の特殊武器を繰り出す『ロックマン』や、シャフトのアニメーションで描かれた『パルテナ』などのPVは大きな話題にもなりました。

本作から参戦を果たした『ファイアーエムブレム 覚醒』の『ルキナ』は原作で左目に聖痕を宿しているのですが、これはスマブラにおいても再現されていて、普通にプレイしているだけではまず気づけないほど細かな作り込みです。

また、ステージも時間によって移り変わる『ヨッシーウールワールド』や『スカイロフト』などが新たに追加されましたが、スターフォックスをモチーフにした『オービタルゲート周域』は非常に壮大なステージ構成になっていて、完成までに1年かかったとMiiverseで明かされていました。

飛行するアーウィンを足場にしたり飛来するミサイルに飛び移ったり…非常にダイナミックなステージで、ステージ選択時にZLやZRを押しながら選ぶとフォックスたちの通信によりどのような状況なのか分かるのも芸の細かいところです。

2018年12月には最新作『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』が発売され、桜井さんは2019年12月27日から2022年8月23日までの間『きょうの一枚』と銘打ってスマブラSPのスクリーンショットをTwitterに投稿していましたが、改めて1枚絵で見るとキャラクターや小物、背景の細かいところまでしっかり作られていて、再現度の高さに驚きます

例えば『MOTHER2』をモチーフにしたステージ『マジカント』では『ダンジョンおとこ』がギミックとして登場しますが、その中をアップで見てみるとダンジョン職人の『ブリック・ロード』の顔まで再現されています。

他にも『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のステージ『始まりの塔』は、ゲームプレイ中は塔の上部しか見えないにも関わらず下の大地まで原作と同じように作られていたり、アシストフィギュア『うんてんしゅ』の運転するバスの内装まで再現されていたり…目につかない部分まで作り込まれています。

細かな作り込みを挙げようと思えば数えきれないほどで、たまには大乱闘だけでなくステージやキャラクターをじっくりとカメラモードで見てみるのも新たな発見があるのではないかと思います。

受け継がれてきた作り手のこだわり

というわけで今回は『大乱闘スマッシュブラザーズにおける開発のこだわり』を簡単に紹介してみましたが、NINTENDO64の初代スマブラでも限られた制約の中で可能な限り原作を意識した作り込みがされているのはさすがでした。

スマブラが対戦アクションゲームな以上フレームレートを落とすわけにはいかず、その処理を軽くするためならできるだけ無駄な部分を省きたい…というのが当然の考えですが、それでもキャラクターの目まで細かく描きたいという当時のこだわりが、現在のルキナの聖痕などにまで引き継がれているのかもしれません。

制約に縛られて背景に150ポリゴン程度しか使えなかった初代と比べると、スマブラSPのステージは原作さながらのように風景が作り込まれていて、ハードの進化をもっとも感じるシリーズでもあると思います。

スマブラXの開発の際に、岩田社長は桜井さんがディレクターでなければ新作を出すつもりがなく、桜井さんも毎回『最後のスマブラ』のつもりで作っているとインタビューで答えていますが、多くのユーザーの願いを叶えて『キングダム ハーツ』まで参戦したスマブラが今後どうなるのか…気になるところです。

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