『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』は何が『怖い』のか?要素を3つ紹介してみる

任天堂のゲーム
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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

1986年目に1作目が発売され、今や任天堂を代表するアクションアドベンチャーゲームとなった『ゼルダの伝説』ですが、2023年5月12日には最新作『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の発売も控えており、今から楽しみにしている方も多いのではないかと思います。

気が付けば2019年のE3で初報が発表されてから4年近く経っていて、時の流れの早さに驚きつつ、テレビCMが放映されているのを見るといよいよだ…と実感も強くなる今日この頃です。

『怖い』がある『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』

そんな歴史の長い『ゼルダの伝説』シリーズですが、2000年4月27日に発売された『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』は今日でちょうど23周年を迎え、SNSでも大きな盛り上がりを見せているようです。

本作は『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の続編に当たり、ユーザーもある程度ゼルダの知識を持っているのが前提に開発されたのもあって、『おもてなし』ではなく『挑戦状』だったと過去のインタビューでもコメントされていました。

そして『ムジュラの仮面』のキャッチコピー『こんどのゼルダは【こわさ】がある。』という通り、ホラー的な要素が多分に含まれていて、今でもトラウマとして記憶に残っている方は多いようです。

すでにいろいろなところで見られるテーマではありますが…、今回は私も改めて『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』で見られた怖い要素をいくつか取り上げてみようと思います!

『仮面の変身』と、開発者の夢にも出たキッカケのシーン

本作はタイトルに『ムジュラの仮面』と付くように『仮面』が大きな役割を担っていて、リンクが『デクナッツの仮面』『ゴロンの仮面』『ゾーラの仮面』などを身に付けることで、なんとその姿に変身できました。

リンクは『フックショット』や『爆弾』など様々なアイテムを活用できるのに対して、デクナッツであれば軽い体重を活かしてデク花で空中を滑空したり、ゴロンであればその体を丸めて高速で走り回ったり…、それぞれの特性を活かしたギミックや謎解きが印象的です。

しかしこの変身のために使っている仮面はもちろん普通のアイテムではなく、この世に未練を残し留まった魂から生まれたものであり、リンクはその亡き者たちの想いも背負うことになります。

そしてリンクの変身シーンは非常にインパクトが強く、仮面を装着するたびにまるで魂が乗っ取られているかのような叫び声をあげるのに加え、仮面の顔まで苦悶の表情に変形しました。

これら仮面は死者の魂の前で『いやしの歌』を奏で、その魂を癒してあげることで手に入るのですが、『ゾーラの仮面』を残すゾーラ族の『ミカウ』はまさにリンクの目の前で息を引き取るのも、なかなかにショッキングなシーンだったと思います。

また、未だ明確に答えが出ていないのが『デクナッツの仮面』の魂の持ち主で、『スタルキッド』の呪いによって手に入るデクナッツの仮面だけは、いったい誰がどのような理由で命を落としたのか明らかになっていません。

『ウッドフォール』にある『デクナッツ城』の執事に話を聞くと、彼の息子が行方不明になっていること、リンクの変身したデクナッツの姿が息子に似ていることが判明し、恐らく執事の息子の魂が仮面に宿っているのではないか…と思われますが、どのような経緯があったのかは不明です。

ちなみに当時激務に追われていたディレクターの青沼英二さんは、デクナッツのイベントを考えすぎるあまり、デクナッツに追いかけまわされる夢を見たとインタビューでコメントしています。

そして出社後『デクナッツの最初のシーンができました』と言われ確認すると、それはまさに逃げるリンクがデクナッツに追いかけられるシーンで、思わず『なんで、おれが見た夢を知ってるの?』と聞いてしまったそうです。

世界を食らい尽くそうとする恐ろしい顔の『月』

『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』において『仮面での変身』に並ぶ代表的な要素といえば、世界の中心地となる『クロックタウン』の真上に見える『月』に他なりません。

この世界は『時のオカリナ』の舞台となったハイラルのパラレルワールドで、どことなく登場する人物などに既視感はありながらも、どうやら月に関してはハイラルと大幅に違うようで、その不気味な顔は1度見たら忘れられないインパクトがありました。

本作の舞台となる『タルミナ』は3日後に月が落下し滅亡する運命であり、それを阻止するためにリンクは世界を奔走しますが、日に日に近づいてくる月や、その影響でたびたび発生する地響きが恐怖心を掻き立ててきます。

恐らくは顔のような形であるだけで、普通の月と変わらない存在だったのだと思いますが、物語終盤ではラスボスによって意思を与えられ、『オ、オデは…食う。ぜ、ぜんぶ…食う』とクロックタウンのみならず世界すべてを食らい尽くそうと考えていたようです。

例え街の外だったとしても、タイムアップになり月が落下すればリンクは衝撃波に飲み込まれゲームオーバーになってしまうため、どこへ逃げても決して助からないその破壊力を物語っていました。

この月は多くのプレイヤーの心に残っていたようで、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』のアシストフィギュアや、『ゼルダ無双』の必殺技にも再現されていたのは記憶に新しいところです。

そしてある意味でもっとも恐怖を感じるのが、世界が滅亡すると分かっていながら街から逃げようとしない人々で、当日になってもカーニバルを強行しようとする人、足が竦みながらも警備員として避難を誘導する人…、まさに『世界の終末』を身近に思わせる演出だったと思います。

例えば剣道場の師範は『ワシのように鍛え抜かれた達人クラスであれば恐れるものはない!』と息巻いていたのに対し、3日目の夜になると道場の隅で『死にたくない!』と震えていて、死に直面した人間の描かれ方は何とも身震いするものがありました。

メタ的なことをいえばゲームのシステム上お店のキャラクターなどは街から逃げないのですが、それでも会話の内容が切羽詰まったものに切り替わったり、恐ろしくありながら作り込みの深さにも感心するところです。

恐怖を煽る数々のイベントと『助からない世界線』

『ゼルダの伝説』といえばメインクエストのみならず様々なサイドクエストがあるのも魅力の1つですが、『ムジュラの仮面』においても印象的なイベントがいくつも用意されています。

特に有名なのが『ロマニー牧場』のイベントで、ここでは牧場の牛が次々と消える現象が起きており、牧場当主『クリミア』の妹である『ロマニー』からその原因となる魔物の撃退を依頼されます。

その魔物はまるで巨大な宇宙人のような風貌で、牛小屋に次々と押し寄せ、撃退できずにいると牛と共にロマニーまでアブダクションされてしまいます

宇宙人に連れ去られたロマニーは翌日牧場に戻ってきますが、かつての快活な様子は一切見られず、どこかうつろな表情で意識も混濁しており、精神崩壊した様子は見るだけで心苦しいものがあります

幸いにもイベントの難易度は意外と低く、マップさえ解放されていれば宇宙人の位置も見えるので、多少操作に慣れていれば十分クリア可能なのはありがたいところです。

しかし一方で深く考えると怖いのが、例えばこのイベントはクリアすると『牛乳の入ったビン』がもらえますが、多くのプレイヤーはクリアした後『時の歌』を奏でて1日目に巻き戻すことになると思います。

そしてゲームとしては『あきビン』をすでに入手できているので、改めてこのイベントを繰り返し遊ぶ意義も薄くなり、次のループからロマニーは助からない世界線が続くことにもなってきます。

『ムジュラの仮面』の世界には困っている人が何人もいて、リンクは彼らの助けになることで様々なイベントが進行していきますが、それは何度も繰り返しているループのうちの1回でしかなく、常に『助けられる世界線』と『助けられない世界線』が共存しており、すべてがハッピーエンドにはなり得ない構造といえます。

デクナッツ王に釜茹での拷問にかけられる『サル』、迷いの森でケガをしたまま戻ってこない『コウメ』、不思議な卵を産んでから声が出なくなってしまった『ルル姫』、たとえラスボスを倒したとしても、彼らが助けられていない世界線ではどうなっていたのか…あまり考えたくはないところかもしれません。

見た目だけではない『こわさ』がある

というわけで今回は『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』で味わえる『怖さ』をいくつか取り上げて紹介してみましたが、分かりやすい演出的な怖さだけでなく、パラレルワールドやタイムパラドックスならではのじわじわくる恐怖感もこのゲーム特有のものだと思います。

他にもクロックタウンの『ナベかま亭』のトイレから飛び出てくる『謎の手』、イカーナ渓谷のオルゴールハウスでギプドと化した『パメラの父親』などは印象的で、確かに子供が遊ぶには十分トラウマになり得るインパクトがありました。

今年で23年目を迎える『ムジュラの仮面』は今なら『Nintendo Switch Online + 追加パック』に加入すれば誰でも遊べますし、開発が『挑戦状』というほど確かなやり応えもあるので、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の前に遊んでみるのも面白いと思います。

『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D』のインタビューでは『64版はヒントが少なすぎた』と開発も反省するほどでしたが、それだけしっかり『ゼルダ脳』が鍛えられる…かもしれません。

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