『ゼルダの伝説』のリンクが『かわいい』のは宮本茂のかつてのこだわりが影響していた

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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

多くの方が待ち望んでいるであろう『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』も、発売日が2023年5月14日にまで迫っており、紹介トレーラーを見るだけで私も今からワクワクしています。

2023年4月22日には『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のストーリー紹介動画も公開されていて、前作を遊んでいなかった方にも入りやすい配慮はありがたいところです。

『かっこいい』だけじゃない歴代のリンク

そんな『ゼルダの伝説』といえば主人公はゼルダ…ではなくリンクでおなじみですが、本作はシリーズによって舞台となる時代が違うので、名前は『リンク』で統一されていても作品によって別人であることが少なくありません。

衣装や身体的特徴が似通っていたとしても、別人であればそれぞれ年齢や経歴が違うのも当たり前で、作品によって『かっこいいリンク』『かわいいリンク』など…感じる印象も違ったと思います。

近年のリンクは比較的『かっこいい』印象が強いですが、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のリンクはハイラルの英傑として勇ましくもありながら、どこかお茶目で可愛らしい雰囲気を出していました。

近年でも見られる『リンクの可愛らしさ』は過去のインタビューを遡ると、『ゼルダの伝説』の生みの親である宮本茂さんのこだわりが根本にあるようです。

『かっこいいリンク』のきっかけになった『時のオカリナ』

『ゼルダの伝説』はこれまでに様々なタイトルが発売されてきましたが、プレイヤーにとって最初に『リンクがかっこいい』と感じた作品は、1998年発売の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』ではないかと思います。

実際に『時のオカリナ』のリンクは過去作と比べても目鼻立ちがしっかりしていますし、ピアスなどをつけてオシャレな雰囲気も強く出ていました。

しかし過去のインタビュー記事を読むと、当初のリンクのデザインは特徴的なだんごっ鼻だったらしく、『100%かっこいい』というものではなかったようです。

ところが当時キャラクターデザインを担当した小泉歓晃さんはそのリンクを奥さんに見せたところ、『任天堂のキャラクターはみんな鼻に特徴があるのね』『男前のキャラクターはいないの?』と言われたことがショックで、鼻の形などを整え、現在のリンクのデザインに描き直したとコメントしています。

小泉さんも『あのリンクは奥さんの好みなの?』という質問に対して『そうです』と断言していて、まさか奥さんの意見が反映されるとは…プロデューサーの宮本さんもそれは予想できなかったかもしれません。

しかし初代『ゼルダの伝説』から作り続けてきた宮本さんには、リンクをただのかっこいいヒーローにはしたくないという思いがあって、そこから『子供のリンク』を絶対に出したい、という考えにもつながったそうです。

『時のオカリナ』のおとなリンクは16歳なのに対して、初代『ゼルダの伝説』のリンクは12歳の少年で、インタビューからは『お茶目で子供らしいキャラクター』のイメージを大切にしたかった宮本さんの気持ちが読み取れます。

もちろん開発に関しては『おとな + こども』の両方のモーションが必要になりましたが、おとなリンクの動きをこどもリンクに活用することで技術的な問題を解決し、これまでの『ゼルダの伝説』のような可愛らしいリンクの一面も表現できるようになりました。

また、こどもリンク時代にガノンドロフに出会うことで、おとなリンクが再会したときに『あの時の小僧か…』とガノンドロフに言わせたり、物語上でもグッとくる演出が表現できたと手ごたえを明かしています。

今や『かわいいリンク』の代表にもなっている『風のタクト』

『時のオカリナ』で登場したおとなリンクですが、2000年に発売された続編『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』は一転こどもリンクでの冒険が描かれ、最後まで大人のリンクになることはありませんでした。

『ムジュラの仮面』は『こんどのゼルダは【こわさ】がある。』というキャッチコピーの通り、全体的におどろおどろしい雰囲気がありながら、リンクの『子供らしさ』が1つの癒し要素になっていたのも印象的だったと思います。

そして続く2002年に発売された『ゼルダの伝説 風のタクト』ではさらにデザインが一変し、ネコ目で大幅にデフォルメされた、いわゆる『トゥーンリンク』がシリーズに初登場しました。

国内外問わず大きな人気を誇っていた『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の路線から正統進化するのではないか…と思われていた中、トゥーンレンダリングで描かれた色鮮やかな世界は当時大きなインパクトを与えました。

開発も当初は『時のオカリナ』路線を考えていましたが、『それが新しいものを生み出す進化につながるのか?』と模索していたところ、デザインマネージャーの春花良紀さんが突然『猫目リンク』のデザインを生み出し、『これなら見栄えの良いアクションが作れる』とアイデアが膨らんだ…と過去のインタビューで答えています。

ディレクターの青沼英二さんも最初はあまり良い反応をしていませんでしたが、実際にキャラクターの動くデモを見ると『こいつらがすごくかわいくなってきた!』と好感触で、このデフォルメされた路線での開発は早めに決まったそうです。

それでもこの大幅な路線変更は賛否も大きく、特に海外では『ネコ目リンクは子供っぽい』というイメージがより強かったのもあって、反対意見が大多数を占めていたと開発陣も答えています。

しかし任天堂には『ゼルダ・サイクル』という言葉があって、これは『最初はネガティブな意見も時が経つとポジティブに変わる』というもので、実際に『ゼルダの伝説 風のタクト』も11年後のHD版では非常に大きな反響を呼んでいました。

当時のインタビュー記事はこちら

『風のタクト』のリンクは12歳で、『時のオカリナ』のこどもリンクよりは年上ですが、宮本さんの描きたかった『かっこいいだけではないリンク』が間違いなく残されているように思います。

様々な世代を超えたからこそ広がったリンクの魅力

その後も『ゼルダの伝説』シリーズは様々な形で展開され続けていき、『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』など据置ハードのタイトルでは大人のリンクが、『夢幻の砂時計』など携帯ハードのタイトルでは子供のリンクが多く活躍するようになりました。

もちろんどの作品のリンクも『かっこよさ』と『かわいさ』の要素を持ってはいますが、トゥーンリンクを除けば、近年はかっこいい大人リンクの方が印象も強いかもしれません。

そして2017年に発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のリンクは年齢は明らかでありませんが、『青年』とされていて、ハイラルの英傑らしくかつては単身で数多くの魔物を切り伏せるような勇ましさも見せています。

一方でこれまでの作品以上にノリが良くお茶目な一面も増えていて、依頼をこなした後に謎の老人にパラセールをせびる、そもそも頼まれごとを『今忙しい』と断る…など、過去作では考えられないほどかなりの自由人として描かれました。

また感情表現も豊かで、宝箱を蹴飛ばして開けようとしたときに靴を履いていないと痛がったり、料理が上手にできたときガッツポーズをして喜んだり、プレイヤーの行動によって様々なリンクの姿を見れるのも魅力の1つです。

本作のリンクは過去作と比べて明確に『美形』に扱われていて、その中性的な出で立ちは男性禁制の『ゲルド族の街』に入る際、女装をまったく疑われないどころか『かわいい』と評されるほどでした。

かつてリンクといえば『かっこいいリンク』に人気が集まり、対して子供っぽいリンクには否定的な意見も少なくありませんでしたが、こういったお茶目さが残っているのも『時のオカリナ』の宮本さんのこだわりが引き継がれているからではないかと思います。

また、かつて不評だったネコ目リンクが現在高い評価を得ているのも、『トワイライトプリンセス』のリアルなリンクや、『スカイウォードソード』の絵画調なリンクなど、様々な世代を経たことで『その作品ならではの魅力がある』と理解してもらえるようになったから…と開発は分析しています。

『ブレス オブ ザ ワイルド』のリンクが写実的ではないにも関わらず『かっこいい』『かわいい』と思えるのは、ユーザーもこれまで様々な作品のリンクを見てきたことで『このリンクの良さ』をより感じ取れるようになったから…なのかもしれません。

最新作でもいろいろな表情のリンクが見たい

というわけで今回はリンクがかっこいいだけでなく、どことなくお茶目だったり、可愛らしく見えるのは初代『ゼルダの伝説』から続くこだわりだった、という話を紹介してみました。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は『ゼルダのアタリマエを見直す』というコンセプトで開発されていましたが、それはキャラクターの生い立ちや性格にも大きく反映されていていたようで、より『リンク』というキャラクターが深く描かれるキッカケにもなったと思います。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』では前作から数年が経過していて、トレーラーを見る限りリンクもかなりたくましくなっているように思えますが…、果たして今作はどのような表情を見せてくれるのか気になるところです。

そもそも数年前にあの厄災ガノンを打ち破ったリンクであれば、最初からかなりの力を持っているようにも思えるので、多少はリアクションも前作より大人びている…?のかもしれません。

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