『マリオ』と『ゼルダ』は似ている?その本質と差別化について考えてみた

任天堂のゲーム
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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

2019年6月のE3にて発表された『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は当初から大きな期待を集めていましたが、2023年5月12日についに発売を迎え、多くの方が今もハイラルを冒険しているのではないかと思います。

私も発売日に購入し、このブログの更新が滞るくらい遊んでいるのですが…、まだまだ先は長そうなので時間をかけてゆっくり楽しみたい今日この頃です。

『マリオ』と『ゼルダ』の本質はまったく同じ?

そんな2023年は4月28日に映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が公開、5月12日には『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の発売…、と注目のイベントが立て続けに起こり、どちらも大きな話題を呼んでいます。

両作品とも任天堂を代表する看板タイトルで、昔から高い人気を誇っていましたが、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が発売された1998年当時、プロデューサーの宮本茂さんはインタビューにて『マリオとゼルダ、自分としては全く同じですね。』とコメントしていました。

当時発売されていた『スーパーマリオ64』と『時のオカリナ』を比較しても、それぞれに違った面白さが詰まっていたように思えますが、改めて考えてみると確かにベースは近いところにあったのかもしれません。

というわけで今回はそんな『スーパーマリオ』と『ゼルダの伝説』の共通点や、差別化されている部分について簡単に考えてみようと思います!

ゲームとしての『構図』はマリオもゼルダも同じ

当時の宮本さんによれば『ゼルダの伝説』と『スーパーマリオ』の違いは『戦闘があるかどうか、成長という要素が入っているかどうかの違いだけ』とコメントしていて、ゲームとしての本質は同じであると考えていたようです。

まず『スーパーマリオ64』といえばマリオらしいジャンプ系のアクションを中心に、15個のコースに散らばった『スーパースター』を探しながらクッパを倒すのが目的になっていました。

スーパースターは全部で120個にも及び、コンプリートを目指すにはかなりのやり込みが必要でしたが、1つ見つけ出せばそのたびに仕切り直しにもなるので、空いた時間にちょっとずつ遊べるテンポの良さも魅力的です。

一方で『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は『ハイラル』という広大なフィールドに作り込まれたダンジョン、各地に用意されたサブイベントの数々と、どちらかといえばじっくり遊ぶタイプのゲームで、当時寝る間も惜しんで遊んでいた方は多かったのではないかと思います。

操作性にも大きな違いがあり、まず当時のリンクにはジャンプボタンがなく、マリオのような機敏な動きが苦手な代わりに剣や弓矢、爆弾、フックショットなどなど…様々なアイテムを活用したアクションが特徴的でした。

この互いのアクションだけを見るとかなり違いがあるように思えますが、ゲームの進め方としては『3Dのフィールドで必要なものを探す』ことがどちらも基本で、探索の楽しさが醍醐味になっているのも共通しています。

開発当初はそれがさらに顕著だったらしく、『社長が訊く』のインタビューによれば『時のオカリナ』は『スーパーマリオ64』と同じような規模感で考えていて、舞台も『ガノン城』だけで良いとすら思っていたそうです。

最初期の構想ではガノン城に様々な部屋があって、それぞれ『暗闇の草原』や『海』など違った世界へ通じており、もしこちらの案が採用されていたら…まったく違う『ゼルダの伝説』が生まれていたのかもしれません。

ただ、そういったアイデアの多くは『スーパーマリオ64』の方で使ってしまったので、その画面の動き方やゲームの目的が似ていながら、どのような点で差別化を図るかがテーマになったとコメントされています。

マリオの『シズル感』とゼルダの『かび臭さ』

2つのタイトルを並べたときに、宮本さんは『におい』が絡むような質感のゲームにしたく、表現方法もかなり研究されたそうです。

『スーパーマリオ』は『熱い』『冷たい』のサッパリした『シズル感』があるゲームと表現されていますが、シズル感とは『目にした瞬間、感覚的に意欲を刺激されること』を指していて、とにかくゲームの画面から伝わる『分かりやすさ』が重視されていました。

確かにマリオは炎に当たるとお尻を燃やしながら飛び上がったり、重いものにつぶされると体がぺしゃんこになったり…、その見た目だけで感覚的にマリオの状態が伝わるようになっています。

一方『ゼルダの伝説』は『かび臭さ』の表現が目標にされていて、文字だけ見るとあまりポジティブに感じないかもしれませんが、これはその世界の土のにおいやダンジョンのにおいなど、本来視覚だけでは伝わらない感覚を表現したい…ということに他なりません。

マリオと比べるとリンクのリアクションは控えめで、体が燃えた場合も大げさに叫ぶのではなく、苦痛の声を上げながら火を振りほどくような動きを取ったり、ゲームらしくありながらリアリティを感じる演出が少なくありませんでした。

また、壁や床にはあえて汚れのようなテクスチャが貼られていたり、装飾品にも模様が彫られていたり、『ここにはどんな人が住んでいたのか』『これはいつ作られた物なのか』などが伝わるような、その場面場面の『空気感』が大切にされていたと思います。

『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』のインタビューにて、当時3Dシステムディレクターを務めていた小泉さんは『マリオとゼルダは対で作られている』とコメントしていますが、実のところは両方とも『3Dの箱庭アクション』で、その違いは明確には分からないとも答えています。

対になっているのはそのアクションやゲーム性ではなく、演出の仕方、伝わってくる空気感、アニメ的か写実的か…といった部分が大きかったのかもしれません。

『スーパーマリオ64』はNINTENDO64で発売された最初のタイトルで、駆け抜けるように開発されたためやり残したことが多かったらしく、『時のオカリナ』ではやりきれなかったことをつぎ込もう!とかなり演出には力が入っていたようです。

その『空気感』は現代まで続く魅力の1つとして定着

どちらのシリーズも高い人気を誇っていますが、2017年には『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』と『スーパーマリオ オデッセイ』の両作品が発売され、今でも多くのユーザーに親しまれています。

『スーパーマリオ オデッセイ』は『帽子の国 カブロン』『滝の国 ダイナフォー』などいくつもの国に分かれていて、オープンワールドではなく『スーパーマリオ64』の系譜を受け継ぐ従来の『箱庭アクション』が踏襲されていました。

すべての世界が地続きでないからこそ、リアルな頭身の人間が生活する『都市の国 ニュードンクシティ』や、カラフルで絵本のような『料理の国 ボルボーノ』など…それぞれの国に強い個性を持たせることができて、これまでのシリーズとはまた違った世界観が描かれていたのも印象的です。

『スーパーマリオ』のシズル感は変わらず引き継がれていて、溶岩や火山は見るからに熱そう、雪山や氷の湖は触れるだけで凍えそう、と視覚から伝わる情報は十分に表現されていました。

対して『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は従来と異なるオープンワールドになり、広大なハイラルを好きなように冒険できる自由度の高さと作り込みの深さが相まって、『ゲーム・オブ・ザ・イヤー』を始めとした数々の賞を受賞しました。

『ゼルダのアタリマエを見直す』とされた本作は、『時のオカリナ』と比べるとコンセプトも大きく違い、まさに『新しいゼルダの第一歩』と呼ぶにふさわしいタイトルだったと思います。

しかしゲームの本質は変わっておらず、『手元のアイテムでここを進むにはどうすれば良いんだろう?』『この先には何が隠されているんだろう?』といった謎解きや探索の面白さはまったく色合わせていませんでした。

また、当時意識されていた『かび臭さ』の表現も変わっておらず、雨の降った大地は土のにおいがするような、ダンジョンや洞窟は閉鎖的なジメジメしたにおいを感じるような、より進化を遂げた空気感の演出は地味ながら大きな要素でもあります。

『スーパーマリオ』と『ゼルダの伝説』はゲームとしての本質が似ていながらも、それぞれの演出や個性を重視し、現代まで『表現における対の作品』として発展を続けてきたのが見て取れます。

マリオが好きならゼルダも楽しめるのかも?

というわけで今回は『マリオとゼルダの共通点と差別点』について簡単に調べてみましたが、一見すれば両方とも3Dアクションゲームなだけではないか…?と捉えがちなところ、世界を探索してアイテムを探す根本は共通していて、開発陣もかなり本質的に似ているタイトルと考えていることが分かりました。

ゲーム開発のノウハウも共通していて、『スーパーマリオ64』ができたときに『時のオカリナ』も半分できたようなものだよね、という話もされていたそうです。

思えば私も小さいころは『ゼルダの伝説』シリーズに怖いイメージを持っていて、『風のタクト』が発売されるまであまり遊べていませんでしたが、すんなり入り込めたのは『スーパーマリオ』を遊んでいた影響もあったのかもしれません。

たまには『スーパーマリオ』と『ゼルダの伝説』のアクション面だけでなく、それぞれの世界の纏う『空気感』も意識して遊んでみると、またより深くゲームを楽しめるのではないかと思います。

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