『スーパーマリオRPG』のマリオはピースをしない?ポーズが変更された歴史を紹介してみる

任天堂のゲーム
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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

2023年11月17日の発売まであと1ヶ月ほどとなった『スーパーマリオRPG』ですが、27年前のスーパーファミコン版を遊んでいた人はもちろん、完全初見でのプレイを楽しみにしている方も多いのではないかと思います。

本作の面白さはオリジナル版だけでも十分に証明されていますが、リメイク版では合体攻撃やボスとの再戦など新要素も用意されてるらしく、私も発売が待ち遠しい今日この頃です。

いつしかしなくなったマリオの『ピースサイン』

そんな『スーパーマリオRPG』の魅力といえば、マリオやクッパといったキャラクターたちのコミカルなやり取りで、キレのあるオーバーリアクションは見ているだけでも楽しくなってきます。

しかし一部のシーンにおいてリメイク版ではモーションやポーズが違うらしく、X(旧Twitter)では『マリオがピースサインをしなくなりました』というポストが話題になっていました。

いわれてみれば確かに昔のマリオはよくピースサインをしていましたが、近年のマリオ作品でピースを見かけることは減り、あまり印象にもないかもしれません。

調べてみるとどうやらある時期から意図的にピースサインを減らしていたようなので、そんな『マリオのポーズの変化』について今回は簡単に紹介してみようと思います!

もっとも古いピースサインは『スーパーマリオブラザーズ2』?

マリオは1981年稼働のアーケードゲーム『ドンキーコング』で初登場し、その後も『マリオブラザーズ』や『レッキングクルー』など数多くのタイトルで主役を担ってきました。

特に知名度を高めたのが1985年発売のファミコン用ソフト『スーパーマリオブラザーズ』で、本作は全世界で4000万本以上を売り上げ、『世界で最も売れたゲームソフト』としてギネスにも認定されています。

しかし当時のゲームは容量の都合もあって細かなグラフィックを用意するのも難しく、マリオはあくまで16×16ピクセルのドット絵を基本に描かれていて、明確なピースサインをしたことはありませんでした。

『マリオがピースサインをしている』というイメージに紐づけた最初のきっかけは、1986年に発売された『スーパーマリオブラザーズ2』と思われ、本作のパッケージでは手をピースにしたマリオが描かれています。

グラフィックの制約上ゲーム内でピースをすることはなくとも、その後も公式イラストや取扱説明書の挿絵などでピースしていることは多く、なんとなくマリオの定番ポーズとして扱われていたようです。

1990年になりスーパーファミコンが発売されるとグラフィックはより向上し、『スーパーマリオワールド』ではゴールのたびにピースしたり、『スーパーマリオコレクション』ではボーナスステージにピースしたマリオが描かれていたり、ゲーム内でも頻繁に見かけるようになりました。

他にも当時発売されていた子供向けの知育絵本や、お菓子のおまけに付いているカードやシール、ゲームのCMなどでもピースしたマリオがたびたび描かれていたので、ゲームを遊んでいなくても見たことのある人は多かったのではないかと思います。

それだけ代表的なポーズとなればグッズも多く作られていて、私もかつてピースサインしたマリオをかたどった目覚まし時計を持っていましたが、今になって思えばなかなか貴重なものだったのかもしれません。

このイメージはゲームキューブの発売される2001年頃まで続き、気が付けば『マリオのピースサイン』は15年近くにわたって使われてきたデザインだったようです。

パーティゲームや外伝作でも『喜び』の表現として多用

マリオのピースサインは『スーパーマリオブラザーズ』本編のみならず、様々なキャラクターが共演するパーティゲームや、冒頭で少し触れた『スーパーマリオRPG』などの外伝作品においてもたびたび使われていました。

例えば1992年に発売された『スーパーマリオカート』は記念すべきマリオカートシリーズの1作目ですが、マリオがゴールし上位を取った場合、ハンドルから手を放し両手を突き上げてピースするほどの喜びようを見せています。

次回作の『マリオカート64』以降はマリオがピースをしなくなったので、あまりここまでオーバーなリアクションは印象にないかもしれませんが、当時は『喜び』の感情表現としてピースサインが多用されていたようです。

1996年発売の『スーパーマリオRPG』においても、本作のマリオは他のキャラクターと違って言葉を発しない代わりに様々なリアクションで感情を表していたので、バトルに勝利したとき、仲間に回復してもらったとき、何かイベントに成功したときなどなど…ピースサインを見る機会はかなり多くありました。

本作は任天堂ではなく『ファイナルファンタジー』で知られる『スクウェア』が開発を担当していましたが、他のメーカーからとってもそれだけマリオのピースは象徴的なものだったのかもしれません。

とはいえ、さすがにドカンに入るだけでもピースサインをするのは不自然といえば不自然だったので、リメイク版で違うポーズになったとしてもそこまで違和感はなさそうです。

NINTENDO64の時代になると『マリオテニス64』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』など様々な外伝作やスピンオフ作品が発売され、アクションのみならず様々なジャンルのゲームにマリオが出演するようになりました。

しかし当時の3Dゲームは使用できるポリゴンの数に制限があり、指の形まで分かる精密なモデルを作るのも難しく、手が球体のようになっていてそもそもピースができない…なんて作品も少なくありません。

それでも1998年に発売された『マリオパーティ』などでは、キャラクター選択画面でマリオを選んだときのグラフィックがピースだったり、一度根付いたイメージはなかなか崩れるものではなかったようです。

子供っぽさを払拭するための『Vサイン禁止』

ポリゴンの制約上ピースサインの難しいNINTENDO64時代でしたが、1996年に発売された『スーパーマリオ64』ではパワースターをゲットしたときにピースが分かるよう指まで作られていて、決めポーズとして定番のものになっていました。

しかしそんな中、1999年に糸井重里さんの運営するサイト『木の上の秘密基地』にて宮本茂さんとのインタビュー記事が掲載され、マリオが低学年向けのキャラクターになりつつあることを懸念していたようです。

当時の記事はこちら

これを宮本さんは『ドラえもん的展開』と呼んでいて、これは『ドラえもんが子供向け』というわけではなく、もともと大人でも楽しめる作品がマーケティングの都合で子供向けに色付けされている、という考えに基づいています。

実際に藤子不二雄先生の描く漫画作品はホラーや哲学的なものも多く、例えば本人とダメージを共有するドラえもんの人形が包丁でバラバラにされそうになったり、『ポータブル国会』という自分で考えた法律をその通りに施行させる道具があったり…必ずしも子供向けとはいい切れません。

マリオも本来幅広い年齢層が楽しめるゲームだったハズですが、獲得した子供からの人気がいつしか『子供向け』というイメージに変わってしまい、これがゲームの対象年齢を狭めてしまっていると分析しています。

そこで宮本さんはデザインやグラフィックも含めトータルでもっと良いものにしようと思い、まず提案したのが『Vサイン』と『作り笑い』をやめよう、というものだったそうです。

実は宮本さんはかねてからピースサインをやめようと話していましたが、多くのマリオ作品を手掛けてきた手塚卓志さんはピースサインが好きで、続けるうちにいつの間にか決めポーズとして浸透しすぎてしまったとコメントしています。

思い返してみれば2002年にゲームキューブで発売された『スーパーマリオサンシャイン』ではマリオはピースサインをしなくなり、パッケージが少し勇ましい顔つきだったり、足を組んでビーチで眠るイラストがあったり、確かに少し大人っぽくなった印象はあるかもしれません。

以降の作品においてもマリオのピースサインはほとんど見られず、代わりに帽子を外してアピールしたりオシャレなものが増え、現在の『子供だけでなく大人まで』親しめるデザインに変化していったようです。

長い歴史で変わるものと変わらないもの

というわけで今回は『スーパーマリオRPG』のマリオがピースをしないことに関連して、マリオのポーズの変化について簡単に紹介してみました。

あれだけマリオにとって定番だったピースサインも今や見かけることは少なくなりましたが、かといっていきなりイメージを転換したのではなく、『マリオらしさ』の本質を大切にしながらデザインを変えてきたのが分かります。

マリオだけでなく年々ピーチ姫がアクティブになったり、クッパがコミカルに描かれるようになったのも、宮本さんが『対象年齢を限定したくない』とコメントした通り、より活躍の幅を広げるための変化なのではないかと思います。

とはいえ今は『Nintendo Switch Online』で懐かしのマリオシリーズも遊べるようになっているので、久しぶりにピースサインが印象的なタイトルをプレイしてみるのも面白いかもしれません。

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