どうもみう太です(ΦωΦ)
2018年6月13日にE3にて『Nintendo Direct』が配信されましたが、なかなか注目のタイトルが目白押しでしたね。
そして何より後半の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』を大々的に取り上げていて、これまでのすべてのキャラクターが参戦という事に本当に驚きました。
『ウルフ』や『アイスクライマー』、そして『スネーク』などの復活も非常に嬉しいのですが、何気に『ゼルダ』や『ガノンドロフ』の衣装が変わっている事も密かに高ポイントです。
時オカ時代の『ガノンドロフ』
『大乱闘スマッシュブラザーズ X』や『大乱闘スマッシュブラザーズ for 3DS / Wii U』では、ガノンドロフは『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』のデザインがベースになっていましたが、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)版の最新作では、1998年に発売された『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のデザインが踏襲されています。
トワプリ時代のガノンドロフも荘厳な雰囲気があって格好いいのですが、『時のオカリナ』時代のガノンドロフもまた違った恰好よさがあり、これはなかなか良い変化かもしれません。
『ガノンドロフはイイ男』というのは、実際に『時のオカリナ』の開発時から1つのテーマになっていて、デザインや性格の決定にはかなりの紆余曲折があったそうです。
そもそも『ガノンドロフ』とはどんな人物か
スーパーマリオの悪役と言えば『クッパ』、カービィのライバルと言えば『デデデ大王』、サムスの宿敵と言えば『リドリー』といったように、リンクと因縁の関係にあるのが『ガノンドロフ』です。
『ゼルダの伝説』シリーズは作品によって時代や舞台が違うので、主人公の『リンク』は特徴は一致しているものの、基本的にすべて別人の『リンク』となっています。
(『ムジュラの仮面』とか一部例外はある)
それに対して、作品によって姿は異なるものの『ガノンドロフ』は(ほぼ)すべて同一人物であり、毎回長き眠りから覚めてはハイラルの世界を征服しようと目論みを立てています。
このキャラクターは作品によって『ガノンドロフ』と『ガノン』に分かれていますが、大まかに言えばガノンドロフが『人型』であるのに対して、ガノンは『豚』や『イノシシ』の化身のような姿をしているのが特徴的です。
ガノンドロフとして初登場したのが『ゼルダの伝説 時のオカリナ』であり、100年に1度しか男が生まれない砂漠の民『ゲルド族』に生まれ、王の座に即位します。
ゲルド族は元々は義賊として活動をしていましたが、ガノンドロフはその考えに反して大盗賊となり、最終的にはハイラル王を裏切って殺害した後に『力のトライフォース』を手にし、その強大な力を利用して魔物を束ねあげ、ハイラル全土を支配する『魔王』として君臨しました。
その後『時の勇者』と呼ばれるリンクと対峙し、リンクが勝利する事で『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』や『ゼルダの伝説 風のタクト』へ、リンクが敗北する事で『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』へと歴史が分岐するのですが、いずれにせよ『ガノンドロフ』としての始まりが描かれたのが『ゼルダの伝説 時のオカリナ』になります。
ただの『悪』ではないスタッフのこだわり
そんなガノンドロフですが、1999年当時のインタビューによると、当初はもっと純粋な『悪』としてデザインをされていたそうです。
というのも、それまでのラスボスであった『ガノン』はトライフォースの力が暴走して魔物に変異した姿であって、ハイラルにとって絶対的な悪と呼べる存在でした。
そこでキャラクターデザインの滝澤 智さんは、初めて人間としての盗賊ガノンドロフを描くに当たって、コンプレックスを抱いた卑屈な人間像をイメージし、非常に歪んだ性格を表したキャラクターデザインにしました。
しかし、それに対してスクリプトを担当していた大澤さんは『そうではない』と意見を出し、北斗の拳の『ラオウ』のような、もっとカリスマ性のある良い男だと注文した事から、現在のデザインに作り直されています。
最終的にはあまりデザインには活かされませんでしたが、フランスの俳優である『クリストファー・ランバート』がモデルになっているとの事です。
また、作り直しになったのはデザインだけでなく、声についてもスタッフのこだわりがあったようです。
当時のガノンドロフの声を担当した長嶝 高士さんは、ゲームの映像を見て『悪党らしさ』を前面に出した演技をしていました。
しかしこれに対しても、シネマシーンディレクターであった森 直樹さんは長澄さんに『そういうんじゃなくて、ワルはワルでもかっこいい、シブいワルの声にしてくれ』とお願いをして、改めて悪でありながら威厳のあるキャラクターに仕上がっています。
時のオカリナでは最後、ガノンドロフから『ガノン』に変身しますが、これは『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の最後の切り札でも再現されています。
最終形態をこれまでのシリーズと同じように『ブタ』にするかは当時かなり悩んだようですが、宮本 茂さんの意見を探ってみたところ、意外と『こだわりはない』という事を滝澤さんは知り、自由にデザインをしようと考え、最終的にちょっとブタの感じを残した怪物に落ち着きました。
宮本さんの『こだわりはない』というのは、宮本さんは元々キャラクターのデザインからゲームを作るのではなく、ゲームを作る上で必要なキャラクターを生み出す手法を取る事が多いクリエイターでしたので、『ゲーム内でブタにする必要があればすれば良いし、無いなら人のままでも良い』というニュアンスだったのかもしれません。
魔王の威圧感がありながら、ブタの化身のような禍々しさも持っているガノンのデザインになりましたが、当時スタッフの間では『改源』という風邪薬のマスコットに似ていると言われており、『カゼの神さま』と呼ばれていた事もあったそうです。
後の時代に繋がる大切なデザイン
『ゼルダの伝説』シリーズにおいて宿敵と呼べるガノンドロフですが、『時のオカリナ』時代のガノンドロフは歴史的にも最も若く、知的でありながら野心に溢れるヤンチャな感じも少しあるかもしれません。
しかし、長い時を経て復活した『ゼルダの伝説 風のタクト』では、威厳はありながら落ち着いた言葉遣いであり、どの時代においても、緑の衣をまとった勇者と対峙する事を運命として受け入れているような心情が描写されています。
かつては『大盗賊』としてハイラルを支配しようとしていましたが、風のタクトでは砂漠という厳しい環境で育った事から、『ハイラルに吹く風が欲しかった』と豊かな大地を渇望していた事が語られており、絶対的な悪でありながらも平穏を望んでいるような、どこか寂しさを感じさせる人物像になっていました。
幾度と復活を繰り返してきたガノンドロフも、風のタクトの最終決戦では自らの『終わり』を示唆するようなセリフを残し、運命を断ち切ったリンクに対してどこか満足げな顔で息を引き取っています。
最新作である『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ではすでに自我を保っておらず、『厄災』と呼ばれる思念体になっていますが、違う世界線ではまた別の『終わり』があった事を知っていると、起源とも言える『時のオカリナ』時代のガノンドロフの見方も変わってくるかもしれません。
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