『ゼルダの伝説』のガノンドロフのかっこよさは『時のオカリナ』が原点だった

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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

2023年5月12日に発売が迫る『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』も、4月13日には3rdトレーラーが公開され、新しい冒険に胸を躍らせている方も多いのではないかと思います。

前作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では怨念だけの姿となった『厄災ガノン』がラスボスでしたが、今回はミイラから復活したのか『ガノンドロフ』も登場するようで、どのように物語に関わってくるのか気になる今日この頃です。

※この記事は2018年6月22日に投稿した記事を再構築しています。

開発もこだわったデザインの『ガノンドロフ』

『ゼルダの伝説』の主人公といえば『リンク』でおなじみですが、シリーズによって舞台となる時代が違うため、リンクは同姓同名の別人…ということも少なくありません。

ところがリンクの宿敵『ガノンドロフ』は、時代を超えて封印と復活を繰り返しており、基本的にすべて同一の存在として扱われています。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は公式Twitterにて『女性ばかりのゲルド族において、百年に一度だけ生まれる男として生を受ける。』と説明されていて、まるでここ百年で生まれたかのような言い方にも取れるので、名前を引き継いだ別のガノンドロフではないか…という予想もあるようです。

しかし全体のデザインは過去のガノンドロフを踏襲したまま力強いものに変化していて、これまでのシリーズで考えれば悪の親玉のハズですが…、どこか渋みのある落ち着いた雰囲気を感じます。

ガノンドロフが初登場したのは1998年発売の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』で、当時は『魔盗賊』としての荒々しさや若さを持ちながら、狡猾といえるほど知恵も働き、ハイラル全土を手中に収めようと暗躍しました。

そのビジュアルは今でも高い人気を持っていますが、『ガノンドロフはイイ男』というのは実際に『時のオカリナ』の開発時から1つのテーマになっていて、デザインや性格の決定にはかなりの紆余曲折があったそうです。

ゲルド族の王であり、100年に1度生まれる男性

マリオの悪役といえばクッパ、カービィのライバルといえばデデデ大王、サムスの宿敵といえばリドリーといったように、リンクと深い因縁を持つのが『ガノンドロフ』です。

今や任天堂を代表する悪役として根付いていますが、ガノンドロフのデザインが決まるまでを紹介するには、そもそも『ガノンドロフがどのようなキャラクターなのか』から説明する必要があります。

先ほども少し触れたように、『ゼルダの伝説』シリーズにおいて主人公の『リンク』は作品によって別人なのに対し、ガノンドロフは時代を超えて現れる同一人物として描かれています。

作品によって『ガノンドロフ』と『ガノン』に分かれていますが、大まかにいえばガノンドロフが『人型』の状態で、ガノンは『ブタ』や『イノシシ』のような姿に変異しているのが特徴です。

人間であるガノンドロフの初登場した『ゼルダの伝説 時のオカリナ』では、100年に1度しか男が生まれない砂漠の民『ゲルド族』に生まれ、しきたりの通り王として育てられます。

ゲルド族は元々は義賊として活動していましたが、ガノンドロフはその考えに反して大盗賊となり、最終的にはハイラル王を裏切って殺害、のちに『力のトライフォース』を手にし、その強大な力を利用して魔物を束ねあげ、ハイラル全土を支配する『魔王』として君臨しました。

『大乱闘スマッシュブラザーズ』では肉弾戦を得意としているイメージですが、自らの魔力で影武者となる『ファントムガノン』を生み出したり、浮遊しながら魔法弾を放ったり…数々の魔法も使いこなしています。

ファントムガノンがリンクに敗れると『不甲斐ないやつ』とガノンドロフは憤り、次元の狭間に消し去ってしまう様子はその非情さがうかがい知れました。

その後リンクの勝敗によって『ゼルダの伝説 風のタクト』や『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』へと歴史が分岐しているのですが、『ガノンドロフ』としての始まりが描かれたのは『ゼルダの伝説 時のオカリナ』に他なりません。

ただの『悪』では終わらないスタッフのこだわり

そんなガノンドロフですが1999年当時のインタビューによると、当初はもっと純粋な『悪』としてデザインしていた様子がコメントされています。

というのも、それまでの過去作でラスボスだった『ガノン』はトライフォースの力が暴走して魔物に変異した姿であり、ハイラルを脅かす『絶対的な悪』そのものでした。

そこで『時のオカリナ』のキャラクターデザインを担当した滝澤智さんは、初めて人間としての盗賊ガノンドロフを描くに当たって、コンプレックスを抱いた卑屈な人間像をイメージし、どこか歪んだ性格をデザインにも盛り込んでいたそうです。

しかし、それに対してスクリプトを担当していた大澤さんは『そうではない』と意見を出し、北斗の拳の『ラオウ』のような、もっとカリスマ性のあるイイ男だと注文したことから、現在のデザインに作り直されています。

最終的にはあまりデザインに反映されていませんが、フランスの俳優である『クリストファー・ランバート』がモデルになっていて、確かにいわれてみれば目鼻立ちがかなりしっかりしています。

また、リテイクになったのはデザインだけでなく、声についてもスタッフのこだわりがあったようで、録り直しをお願いしたことを明かしています。

当時のガノンドロフの声を担当した長嶝高士さんは、ゲームの映像を見て『悪党らしさ』を前面に出し、いかにも『悪そうなやつ』の演技をしていました。

しかしこれに対しても、シネマシーンディレクターであった森直樹さんは長澄さんに『そういうんじゃなくて、ワルはワルでもかっこいい、シブいワルの声にしてほしい』と注文し、最終的に重みと威厳のある声が採用されています。

確かに『ゲルド族の盗賊』という文字だけではどことなく小物っぽさも感じますが、『盗賊』よりも『魔王』の方にフォーカスしたことで、よりカリスマ性を強調したキャラクターに仕上がったのかもしれません。

ブタにするかどうかかなり悩んだ『魔王ガノン』

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の最終決戦にてガノンドロフが追い詰められると、死の間際にトライフォースの力が暴走し、二足歩行の巨大な悪魔のような『魔王ガノン』に変貌しました。

これは『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』の『最後の切りふだ』でも再現されているほか、巨大なボスとして登場したのも記憶に新しいところです。

1991年に発売された『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』は、『時のオカリナ』でリンクが敗北した未来が描かれていて、闇の世界の力を吸収した影響かより魔獣に近づいており、槍を持った巨大なブタのような見た目をしています。

『時のオカリナ』でも最終形態を同じように『ブタ』にするかは当時かなり悩んだようですが、プロデューサーである宮本茂さんの意見を探ったところ、意外と『こだわりはない』ことを滝澤さんは知り、いっそ自由にデザインしてみようと思ったそうです。

滝澤さんは『時のオカリナ』がオリジナルの作品ではなく、『神々のトライフォース』の歴史に出てきた『七賢者の封印戦争』を描いているという意識があったので、最終的に悪魔的でありながら前作のブタらしさを少し残したデザインに落ち着きました。

宮本さんの『こだわりはない』というのも関心がないわけではなく、ゲームを作るうえでその要素が必要かどうかを考えて、不要であればブタにこだわらなくても良い…というニュアンスだったのではないかと思います。

最終的に『魔王ガノン』の名前にふさわしい威圧感がありながら、ブタの化身のような禍々しさも併せ持ったデザインになりましたが、当時スタッフの間では『改源』という風邪薬のマスコットに似ていることから『カゼの神さま』なんて呼び方もされていたそうです。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』でもガノンは巨大な魔獣の姿をしているものの、1万年にも及ぶ封印からか自我が崩壊しており、破壊のみを求めるまさに『厄災』になり果てていました。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のガノンドロフは今のところ人間の姿しか明かされておらず、果たしてまたしても魔獣の姿になるのか…今から気になるところです。

後の時代に繋がる大切なデザイン

『ゼルダの伝説』シリーズにおいて宿敵と呼べるガノンドロフですが、『時のオカリナ』時代のガノンドロフは歴史的にもっとも若く、知的でありながら野心に溢れる若々しさが感じられました。

しかし長い時を経て復活した『ゼルダの伝説 風のタクト』では、威厳はありながら落ち着いた言葉遣いになっていて、『どの時代においても緑の衣をまとった勇者と対峙する』ことを運命として受け入れ、達観したような心情が描写されています。

かつては『大盗賊』としてハイラルを支配しようとしていましたが、『風のタクト』では砂漠という厳しい環境で育ったことから、『ハイラルに吹く風が欲しかった』と豊かな大地への渇望を吐露し、絶対的な悪でありながらも平穏を望んでいるような、どこか寂しさを感じさせる人物像になっていました。

『風のタクト』のガノンドロフはリンクに敗れると自らの『終わり』を示唆する言葉を残し、運命を断ち切ったリンクに対してどこか満足げな顔を浮かべながら海の底へと沈み、息を引き取っています。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』も『風のタクト』とは違った方向性で落ち着きを持っているように見えますが、数えきれないほど長き年月を経た今になってもハイラルに対する支配欲を持っているのかは気になるところだと思います。

前作において厄災ガノンは『復活を諦めない妄念から暴走した姿』とゼルダ姫から語られており、果たしてその執念があってこその復活だったのか…今から遊ぶのが楽しみです。

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