ピーチ姫はかつて英語で『毒キノコ姫』と呼ばれていた理由と変化を調べてみた

任天堂のゲーム
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どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)

2023年も気が付けば残り2ヶ月ほどにまで迫ってきましたが、今後もリメイク版『スーパーマリオRPG』や『ゼロの秘宝後編 蒼の円盤』などのリリースが控えており、今から待ち遠しく思う方は多いのではないかと思います。

10月20日には『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』も発売されたばかりですし、年末年始にかけて遊ぶゲームには困らなそうだなぁ…と思う今日この頃です。

かつて英語では名前が違った『ピーチ姫』

『スーパーマリオ』に関する話題はこれからも目白押しで、2023年11月に『スーパーマリオRPG』、冬に『マリオカート8DX コース追加パス第6弾』、2024年には『マリオvs. ドンキーコング』『ルイージマンション2 HD』などがリリース予定となっています。

中でも2024年3月22日発売の『プリンセスピーチ Showtime!』は、長い歴史の中でも珍しいピーチ姫が主役のタイトルで、『剣士』や『パティシエ』など様々な姿に変身できるらしく、個人的にもかなり注目している1作です。

ピーチ姫といえば『スーパーマリオブラザーズ』において欠かせないヒロインでしたが、クッパに繰り返しさらわれるうちに度胸が付いたのか、近年はかなりアクティブな性格になり、マリオと共に冒険することも少なくありません。

しかしそんなピーチ姫は、かつて海外では『毒キノコ姫』とまったく違う名前で呼ばれていたらしいので、いつから全世界で共通の『ピーチ』になったのか調べてみようと思います!

キノコ王国のすべてを救うカギだった『スーパーマリオブラザーズ』

マリオ初登場のゲームといえば1983年にアーケードで稼働した『ドンキーコング』ですが、当時ドンキーコングにさらわれたヒロインはピーチではなく『レディ』と呼ばれていて、現在の『ポリーン』に当たります。

ピーチ姫が登場したのは1985年にファミコンで発売された『スーパーマリオブラザーズ』で、本作におけるクッパはキノコ王国を滅亡まで追い込んでおり、さらに国の王女であるピーチ姫もさらってしまいました。

近年のクッパはピーチ姫に好意を抱いていて、マリオへの挑戦状の意味を込めてピーチをさらうことも多いですが、当時はそのような特別な感情を持っておらず、ピーチ姫の強大な魔力を封じるためにさらった…といわれています。

しかし海外の取扱説明書を読むとピーチ姫は『Princess Peach』ではなく『Princess Toadstool(プリンセス・トードストール)』と記載されていて、今とは違った名前が付けられていたようです。

『Toadstool』とは直訳すれば『ヒキガエルの腰掛』、ひいては食べられないキノコ全般を指す言葉で、つまり『Princess Toadstool』は日本語で『毒キノコ姫』と、かなりインパクトのある名前でした。

なぜこのような名前になったのか理由は定かではありませんが、予想するのであれば各城に捕虜として捕まっていた『キノピオ』や、マリオのパワーアップアイテムである『スーパーキノコ』の模様が関係していたのかもしれません。

当時ディレクターを務めた宮本茂さんのインタビューによると、キノコでマリオの体が大きくなるのは『不思議の国のアリス』をモチーフにしていたらしく、確かに同じような水玉模様のキノコも出てくるようです。

この模様のキノコは幻覚作用を持った『ベニテングタケ』がモチーフで、海外版スーパーマリオブラザーズに限っては説明書でも『Super Mushroom』ではなく『Magic Mushroom』と記載されていることから、毒キノコをベースにしていた可能性は高いのではないかと思います。

ちなみにベニテングタケは確かに毒を持ってはいるものの、1900年以降のアメリカでは幸運のシンボルとしてクリスマスカードに描かれることも増えていて、決して悪いイメージが先行しているわけでもなかったようです。

『スーパーマリオ64』をきっかけに全世界で名前が『ピーチ』に

そんな『Princess Toadstool』と呼ばれていたピーチ姫が、海外で初めて『Princess Peach』と呼ばれたのは1993年にスーパーファミコンで発売された『ヨッシーのロードハンティング』です。

本作は当時の任天堂としても珍しいガンシューティングゲームで、マリオはヨッシーの背中に乗ってステージを進みながら、舞台となる『ジュエリーランド』の平和を守るためクッパ軍団と戦います。

しかしこのゲームを遊ぶには周辺機器である『スーパースコープ』が必須で、別途9,800円の専用コントローラーを購入するのは子供にはハードルが高く、ゲームの完成度は高いもののそこまで広く普及はしませんでした。

そのため『Princess Peach』の名前はほとんど浸透せず、実際に1996年発売の『スーパーマリオRPG』では再び『Princess Toadstool』に戻ってしまっています。

ピーチという呼び名が定着したのは1996年6月発売の『スーパーマリオ64』で、本作以降は海外でも『Princess Peach』と表記されるようになりましたが、一方で説明書やゲーム内の手紙には『Princess Toadstool』とも併記されていて、名前の変更による混乱を抑えるための措置が見て取れました。

『Toadstool』の名前が最後に使われたのは2003年に発売された『マリオゴルフ ファミリーツアー』の海外版、『MARIO GOLF: Toadstool Tour』で、『Princess Peach』が定着した当時としては『なんでToadstoolなんだろう…?』と疑問に感じた子供もいたのではないかと思います。

また、どうやら海外では『Peach』という単語を『魅力的な女性』の俗語として扱う一方、転じて『乳房』『密告』『裏切り』などの意味で使うこともあるらしく、ちょっと名前に付けるには抵抗があったのではないか…ともいわれています。

とはいえ、例えば『She is a peach.』という文章を訳すれば『彼女はピーチです。』という意味と同時に、『彼女は素敵な人です。』という意味にもなるので、今思えばヒロインにはピッタリの名前だったのかもしれません。

ちなみに今やもう1人のプリンセスとしておなじみになった『デイジー』は、1989年発売の『スーパーマリオランド』が初登場作品でしたが、こちらは最初から『Princess Daisy』と呼ばれていたので、やはり『Princess Toadstool』のという名前の異質さはかなりのものだったようです。

ピーチ姫の名前から置き去りにされた『キノピオ』

晴れて『毒キノコ姫』から正式に『ピーチ姫』へと名前を変えることができたピーチですが、一方である意味もっとも大きな影響を受けたのが、キノコ王国の住民である『キノピオ』です。

彼らは『スーパーマリオブラザーズ』時代からピーチ姫の従者として登場し、今や『進め!キノピオ隊長』などでは主人公も務め、マリオシリーズには欠かせない存在にまで成長を遂げました。

しかし海外においてキノピオは『Toad』と呼ばれていて、意味を直訳すれば『ヒキガエル』であり、キノコの見た目からはおよそ連想できない名前が付けられています。

これはピーチ姫の旧名『Princess Toadstool』の一部を由来にしているのが理由で、『Princess Peach』に変更された後もキノピオは変わらず『Toad』のままになっており、キノピオだけがピーチ姫の改名に置いていかれた形…といえます。

ちなみに現在キノピオは固有の名前を持ったキャラクターも存在していて、例えば2002年発売の『スーパーマリオサンシャイン』では黒ぶち眼鏡に白いひげが特徴的な『キノじい』が初登場、のちの作品でもピーチ姫のお付きとしてたびたび活躍しました。

そんなキノじいの英語名は『Toadsworth』で、名前の中に入っている『worth』は『価値のある』という意味を持っており、いわば『有能なキノピオ』であることを示す名前にされているようです。

また、2003年の『マリオカート ダブルダッシュ‼』でレーサーとして初登場した『キノピコ』も、キノピオの『Toad』に女性系の『-ette』を付け足した『Toadette』という英語名で、かなり分かりやすいものになっています。

一方2018年発売の『スーパーマリオブラザーズU デラックス』では、キノピコが『スーパークラウン』を入手すると新たに『キノピーチ』へ変身できるようになりましたが、こちらは『Peachette』という英語名で、『Toad』が名前から完全になくなっていました。

そもそもキノピオとは個人の名前ではなく、あくまで種族全体の名前なので、キノピオの姿に属したものでなければ『Toad』とは呼ばないのかもしれません。

キノコ王国で考えれば『ピーチ』の方が不自然だったのかも?

というわけで今回は『ピーチ姫はかつて英語でPrincess Toadstoolと呼ばれていた話』について簡単に紹介してみましたが、そもそもの出身を考えると『キノコ王国』なのに『ピーチ』という名前の方が不思議といえば不思議でもありました。

実際にNintendo of Americaは『スーパーマリオブラザーズ』をローカライズする際、ピーチという名前ではあまりにキノコ王国との関係性が薄いと感じ、『Princess Toadstool』に変更した…という話もあるようです。

しかしそうはいってもさすがに『毒キノコ姫』は少しイメージが悪いですし、良い意味の英単語として使われる『ピーチ』に統一されたのは、今思えば英断だったかもしれません。

2023年11月17日に発売予定のリメイク版『スーパーマリオRPG』は、どこまでオリジナル版のセリフやテキストが再現されているのかも注目されていますが、少なくとも『Princess Toadstool』がそのまま残っていることはなさそうです。

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