どうも、みう太(@arai_miuta)です(ΦωΦ)
Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)と言えば大手メーカーのゲームだけでなく、豊富なインディーゲームが配信されているのも特徴ですが、タイトルの追加されるペースが早くてなかなかすべてチェックできない今日この頃です。
インディーゲームは1,000円~3,000円といったお手頃な価格で楽しめるタイトルも多いですが、数が多すぎてどのタイトルを買うか…いつも迷ってしまいます。
60人の船員の身元を読み解く『Return of the Obra Dinn』
そんな中、2019年9月5日に配信された『ニンテンドーダイレクト』では、『Return of the Obra Dinn(リターン オブ ザ オブラ・ディン)』というインディーゲームが紹介されました。
『オブラ・ディン号の帰還』というタイトルで知っている方もいるかもしれません。
これはもともとSteamなどのPC向けに開発されたゲームですが、その独特なグラフィックとゲーム性から高い評価を受け、2019年10月18日にニンテンドースイッチ版がリリースされています。
※動画では5分20秒頃から紹介
このゲームでは、1802年に大型帆船『オブラ・ディン号』がロンドンから東方に向けて出航しますが、6ヶ月後の1803年になっても予定されていた喜望峰(南アフリカ共和国)に到着せず、消息不明になっていました。
しかし、その4年後の1807年、オブラ・ディン号は突然イングランドのファルマス港に姿を現します。
ところが、その船体や帆はボロボロであり、生存者も1人も見当たらなかった事から、保険調査官である主人公はオブラ・ディン号に乗り込み、その損害査定書を作成するための調査を始めます。
当時オブラ・ディン号には52人の船員と8人の乗客、合計60人が乗り込んでいて、その名簿と人物のスケッチを見ながら名前を照らし合わせたり、死因を特定したり、時には誰が殺人を犯したのか考えたり…、といった推理系のアドベンチャーゲームです。
私も先日クリアしたのですが、これがとても面白かったので…、今回は如何にこのゲームがオススメなのかを紹介してみようと思います!
残留思念から人物の死亡シーンへリンクする
船内から乗組員の調査をすると言っても、オブラ・ディン号はすでに4年が経過していますし、あまり船内に身元を特定するようなものは残っていませんでした。
しかし、主人公は『ヘンリー・エバンズ』という人物から不思議な懐中時計と、このオブラ・ディン号で何があったかをまとめた手記、乗組員の名前と出身国が書かれた名簿、船内のスケッチを渡されており、これが本作の貴重な手掛かりになっています。
特に重要なのが懐中時計で、その見た目はドクロが描かれており不気味ですが、死体の近くで懐中時計を開くと残留思念を読み解き、その人物が死亡したシーンを見る事ができます。
乗組員の死亡シーンでは、その人がどのような死に方をしたのかだけでなく、時には誰が殺したのか…まで分かるかもしれません。
しかし厄介なのは、その人の死因や顔が判別できるだけであり、死亡した人や殺した人の名前までは分からない事です。
死亡シーンではその死に至るまでの会話ややり取りも少しだけ聞けるので、そこに直接誰かの名前が出てくれば特定もしやすいですが、時には女性の声、若者の声、英語ではなくロシア語…などの情報から推測しなければならない事もあり、些細なヒントも見逃さずに推理する必要があります。
人物の特定は様々な要素から推理する事が可能で、例えば『航海士』であれば普通の船員より少し身分の高い服を着ていると思われますし、『掌砲長』であれば武器の管理をしている人の可能性が高いです。
他にも『家畜番』や『料理人』、『船医』、『船匠』、『操舵手』などは船内でも特殊な役職なので、比較的特定しやすいかもしれません。
難しいのは『檣楼員』や『甲板員』といった労働を担当している船員で、これら役職の乗組員は人数が多く、少なくとも『船内で働いているから』という理由だけでは特定はできません。
オブラ・ディン号は主にヨーロッパの乗組員が多いですが、檣楼員や甲板員はロシア人、インド人、中国人、ペルシャ人など様々な国の人がいるので、その人の顔の作りや服装、アクセサリーなどから出身を推理する必要も出てきます。
これが非常に難しいのですが…、しっかりと1つ1つのシーンを観察すればちゃんと全員の見た目と名前が推測できるようになっていて、解けた時の快感は何とも言えないものがあります。
断片的ながら考察が楽しいストーリー
オブラ・ディン号の顛末をつづった手記は全部で10章に分かれていて、それぞれの章で異なった事件が起こります。
しかし、主人公は死体からその人物の死亡シーンへリンクするので、必ずしも順番にストーリーを見れるわけではなく、例えば1人目の死体から終盤の10章の様子が見れたとしても、次の死体からは9章ではなく、1章や2章といったもっと序盤の様子が見れるかもしれません。
また、1つ章の中でもいくつかのシーンに分かれているので、1人の死体からその章のすべてが分かるわけでもなく、プレイヤーとしては断片的なオブラ・ディン号の様子をつなぎ合わせるようにストーリーを把握していく事になります。
これが推理の難易度を上げている要因ですが、一方で断片的な情報から人物を特定したときの快感が大きく、『そういう事だったのか!』と思わされる事も少なくありません。
あまりこの記事でストーリーのネタバレは書けませんが、このオブラ・ディン号は普通の『事故』だけでは片づけられない大きな事件が起きていて、また人物の死亡シーンを辿るというシステムから、予想外なショッキングな場面も数多く見られます。
60人の船員は真面目に働く人もいれば、特定の人物と確執を持っている人がいたり、とある野望の為に独断で行動する人がいたりと様々であり、ふとした場面からそういった関係が見え隠れするのも面白いところです。
そして、このゲームの主人公はあくまで『保険調査官』の仕事として調査しているのであり、決してこの謎の真相を解き明かしたり、知的好奇心を満たすために推理をしているのではありません。
その為、例え船員がどのように壮絶な死を遂げていたとしても、主人公は私情を挟まず淡々と事実を手記に書き込むだけであり、これが『考察はプレイヤー次第』という公平さと没入感を生み出しています。
最後は推理とプライドの戦い
このゲームの説明を聞いていると、とにかく色々な要素から推理が必要な難しいゲーム、という印象を持つかもしれません。
しかし、推理が苦手な人でもこのゲームはクリアができるように配慮されています。
オブラ・ディン号の手記には、その船に乗っていた人の名前や安否、死因などを書き込んでいくのですが、正しい情報を3人分書き込むと確定の演出があって、自分の推理が正確であった事が分かります。
これは逆に言えば、当てずっぽうであっても3人分正解が書ければ進展するという事で、時に推理が不完全であっても無理やり手記を埋められます。
例えば、オブラ・ディン号には3人のロシア人が働いていて、あるシーンをよく観察すれば『どの3人がロシア人なのか』までは簡単に推測ができます。
しかし、その3人のそれぞれの名前までは特定するのが難しく、もしかしたら最後の最後に推理を重ねてようやく特定できるレベル…かもしれません。
ところが、この3人の正しい情報で確定できるシステムを活用すれば、1人目のロシア人にA、2人目のロシア人にB、3人目のロシア人にCの名前を入れて、確定しなければ今度は1人目にB、2人目にC、3人目にAを入れて…と繰り返す事で、いつかは3人の情報を確定できます。
これは一種の救済措置であって、システムを利用した解き方ともいえますが、ちゃんとゲーム内の情報でも解けるように作られてはいるので、活用するかしないかは個人の判断に委ねられます。
時として消去法も推理には必要になりますが、こういった謎解き系のアドベンチャーゲームは最初の1回目が最大の面白さになるので、あまりシステムに頼りすぎるのも楽しみを半減させてしまうかもしれません。
プレイヤーのプライド…というと大げさかもしれませんが、もしも自分の手ですべてを解き明かしたいと思うのであれば、ちゃんとゲーム内の情報をまとめて推理するのがオススメです。
万人が楽しめるかというと難しい
個人的にはこのゲームを多くの方に遊んでみて欲しいのですが、とはいえ物々しい雰囲気からライトユーザーが手を出すには敷居も高く、だれでも楽しめるゲームかと言えば、少し違うかもしれません。
まず、『Return of the Obra Dinn』はすべてのグラフィックがモノトーンで描かれていて、そのおかげもあって多少緩和はされていますが、乗組員の死亡シーンはグロテスクな場面もあり、そういった表現に慣れていないとなかなか手を出しにくいところがあります。
また、かなり細かな部分まで観察、推察が必要になるので、ある程度まとまった時間を作って進めていかないと、プレイの度にどこまで推理したかを忘れやすく、思ったように進める事が難しくなってきます。
私は数日間で一気にクリアしてしまいましたが、少しずつしか時間が取れない方はゲーム内の情報をメモにまとめたり、スクリーンショットを保存したり、何か手元に手がかりが残るように工夫するとより楽しめると思います。
そして何より、このゲームの最大の敵が『3D酔い』です。
私はこれまで『マインクラフト』や『フォールアウト4』を遊んでも3D酔いにはならなかったのですが、このゲームはカメラを360度動かし続けるのと、白と黒の2色しかないグラフィックが相まって、長時間プレイしていると少し気持ち悪くなってしまいました。
ニンテンドースイッチ版の携帯モードなら多少は軽減される…気もしましたが、テレビやモニターでプレイする場合はあまり無理のない範囲で解き進めていくのが良いと思います。
難しいけどぜひ遊んで欲しい
という訳で今回は、個人的にとても面白かった『Return of the Obra Dinn』の紹介でした。
その独特な雰囲気から何となく手を出しにくい方もいるかと思いますが、謎解きアドベンチャーゲームとしてはとても完成度が高く、ぜひ色んな方に遊んでみて欲しいと思います。
現在Steam版の他、ニンテンドースイッチ版とPS4版もリリースされていますが、スリープモードなどを活用して少しずつ遊ぶのであれば、手元でできるニンテンドースイッチ版が個人的にはオススメです。
価格は2,250円(税込)で、間違いなくそれに見合った価値があると思いますが、推理もののゲームの宿命として『1周目がもっとも面白い』ので、例え全員分の推理ができなかったとしても、最初は攻略情報などを見ずにプレイしてみて欲しいタイトルです。
そして、クリアした後に改めて断片的な情報を1つにつなぎ合わせてみると、またそこから新しい発見がある…かもしれません。
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